#1 「対話の基礎」|参加型リーダーシップの大きな第一歩
武蔵野大学の公開授業「武蔵野大学環境システム学科 Co-Creation Lab 解のない課題に伴走できる人材に求められる【参加型リーダーシップ入門】」。
この記事では、2021年のプログラムの第1回目として行われた「対話の基礎」について受講生の視点からレポートします。(講座概要はこちら)
「解のない課題」に、カラフルな私たちで取り組み始める
このnoteが紹介する一連の講座では、現在の社会にある様々な「解のない課題」に向き合うために、「参加型リーダーシップ」という形の”リーダーシップ”を学んでいます。「なんかマズイ気がする」「なんとかしなくちゃ」と様々な課題に気づいた私たちが、「望む方向へと歩みを進めるためにどのような実践をしていくのか」ということを、ともに学び練習していこうというのが大きなテーマ。
その第1回で学ぶ「対話」は「参加型リーダーシップ」の大事な大事なツールのひとつです。
「解のない課題」に向き合うとき、参加型リーダーシップでは「みんなで話していくやり方」にチャレンジします。
講座の冒頭、メインホストの牧原ゆりえさん(#0で紹介)は、こんな風に言いました。
「大事なことを、みんなで話していく」。その大きな一歩が、今回の記事で紹介する「対話の基礎」を学ぶことです。
お互いにとっての、ふかふかの土になる
皆さんは、”対話”を通じて生まれる関係を、どんな風にイメージするでしょうか。
私たちは、一人一人が「なんとかしたい」という大事な思いや、「こんなことが出来るかも」というアイディアを持っていると思います。
そんな私たちを、色んな可能性を秘めた「種(タネ)」だとしましょう。
タネが安心して根を張ったり芽を出すために必要な要素のひとつは、ふかふかの「土」。この講座が”対話”を通じて目指すのは、タネである私たちが、お互いにとっての「土」になるような関係性です。
私たちに元々ある、たくさんの可能性。たとえば、「こんな風にやってみたい」という意欲や「こんな風に誰かの力になってみたい」という思い。そう思っていることを安心して「はい✋」と口にし始められるように、お互いがにえ合えるような関係を作っていくことを目指します。
まずは「自分をホスト」しよう
参加型リーダーシップのバックグラウンドにあるのは、「ホールシステムアプローチ」という考え方。「困ったら、みんなで集まって知恵を出そう」というように、課題や未来を話すために大規模な話し合いをしていくやり方です。
とはいえ、「とにかく大規模であればいいのか」というとそうではありません。たとえば、「別に私には関係ないです」とか「私はそれでいいです」と言う人ばかりがたくさん居たとして、安心して何かを発言出来たり、豊かな知恵が集まったりするでしょうか。おそらくNOでしょう。
参加型リーダーシップが大事にしている「対話」では、それぞれが大事な思いやアイディアを持って集まり、(一人一人が持っているものが完璧じゃなくても)「誰かが一言言ってくれたおかげで別の人が何かひらめくかもしれない」「それを聞いて私自身が何か思いつくかもしれない」、そんな話し合いをしていくことを目指します。このような、それぞれが異なるからこそ生まれる豊かな時間をつくるには、私たちがユニークでカラフルなまま、私たちらしく居られることが本気で大事です。
だからこそ、初めの呼びかけはこうです。「自分をホストしながら参加しよう」そして「チェックインしよう」。
「自分をホストする」は、私が私らしく居られるように、まずは自分が自分をもてなすこと。
「チェックイン」は、対話の時間をみんなで大切にし合うために、何か一言お話したり、非言語で今のご機嫌を表現したりすることで「よし、対話の時間に入るぞ」と自分を整えること。
そのように、みんなで話す前に、自分たち自身を整えるようにご自身を導くことも、ここで学べる偉大なリーダーシップです。
参加型リーダーシップで大切にしている「対話(ダイアログ)」の意味
参加型リーダーシップでは、「対話しよう」と呼びかける際、かならず問いに向かってみんなで話すというやり方で話し始めます。この講座のなかでも、「対話が大事なんです!」と伝えるだけでなく、実際に問いを用意して対話する時間をたくさん過ごします。
なお、どうしても日本語の「対話」と聞くと、「口を開いてお話している」というようなイメージも浮かびそうですが、ここでは「話している」ということだけでなく、それぞれが問いに向かって考え/感じていることを持ち寄ることを大事にしています。
持ち寄る方法は、「話す」以外にも、「描く」や「身振り手振り」など様々。ですから、この講座では、「話す」のイメージのつよい日本語の「対話」だけでなく、ギリシャ語の「ダイアロゴス」に由来する「ダイアログ」という言葉も大事にしています。
参加型リーダーシップが大事にするのは、問いに向かってみんなでダイアログすることを通じて、私たちの目の前にある課題の、パターンや構造、思い込みなどにみんなで気づき、より課題の”モト”に働きかけやすくすることです。
そして、一緒にダイアログするなかで「ここが○○だから大事なんだよね」「ここが大事だから△△していくんだよね」と共に感じられるような「意味」をつくっていくことで、より課題に対して共創(Co-creation)しやすくなることを目指しています。
ダイアログは、「なんとかしなきゃならないこと」にみんなでアプローチしていく、実践のための知恵です。
ダイアログのプラクティス(実践・練習)
「解のない課題」を前にして、もしかしたら「立ち止まってもいられない!」のような状況のなか、わざわざ「立ち止まって話そう」とする。
そのためには、限られた時間のなかで、質の高いダイアログをしていくことが必要です。
その時に私たちができることは、「誰かものすごいファシリテーターを用意する」ような方法だけでなく、「そこにいる一人一人が”よりよいダイアログのためにこのように行動してみよう”という軸やコツのようなものを持っておく」ということで叶うものがたくさんあります。
質の高いダイアログのためには、コツが必要。ですから、「自分をホストすること」や「チェックイン」などを学び、プラクティス(実践・練習)していきます。
私たちが学び練習しはじめたことは、例えばこんな感じのことでした。
いくつかの練習をしながら「対話」をやってみた私たち(受講生)は、こんな風に感じています。
ご一緒しませんか。
お読みいただき、ありがとうございます。
上の受講仲間の言葉にもあるように、まさに、「いまの時代を生きる自分のあり方に影響する学びがここにある」と私自身も感じています。
「解のない課題」にみんなで取り組もうとするとき、ぜひみんなで対話の実践・練習をしながら「よし、ダイアログしよう」とチェックインして、お話する時間を作っていきませんか。
この講座を運営しているコミュニティでは、対話の練習会を様々な形で開いています。ぜひご関心のある方、ご一緒しましょう。
【関連リンク】
◆【参加型リーダーシップ入門2022】特設サイト
2022年秋のご案内を掲載しています!
https://musashino-cocreationlab2022.mystrikingly.com/
◆対話の基礎講座「対話Basics/グラフィックBasics」
月に1度のオンライン講座です。
https://peatix.com/event/3224913/view
◆参加型リーダーシップのトレーニング「Art of Hosting」
2017inAyabe:https://aohj2017.weebly.com/
2018inMakinohara:https://artofhostingmakinohara.mystrikingly.com/
2019inNagara:https://artofhostinginjapan.weebly.com/nagara-2019.html
2019inSapporo:https://artofhostingsapporo2019.mystrikingly.com/
2022inIwakuni:https://artofhosting2022iwakuni.mystrikingly.com
◆一般社団法人サステナビリティ・ダイアログ
本講座を運営している、サステナビリティ・ダイアログのホームページ
https://www.sustainabilitydialogue.vision/
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