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誕生日はBook Hotel神保町で

記念日には、特別にスキなことをしよう!
映画、美術館、ビュッフェにおしゃれカフェもいいけれど、よーく考えたら?
そんなとき、Instagramで真っ白なホテルの部屋が目にとまった。Book Hotel神保町の最上階にある、MANGA ART ROOMというらしい。
紙の本、読むのスキ!マンガもスキ。ひと晩中だって読みたいくらいスキ。
それなら予約するしかない。
誕生日は、Book Hotel神保町へ。



白の洞窟/MANGA CAVE WHITE


「わたしの本」を見つけるホテル、それがBook Hotel神保町だ。
今夜泊まるのは、その12階にある壁も天井も本棚もベッドも全て真っ白な、その名も「白の洞窟/MANGA CAVE WHITE」!

まずは本のショールームのようなホテルの1Fでチェックイン。
2F「恋に恋して」、3F「今日は泣きたい気分」‥‥
フロアごとにテーマ別の本棚があるので、エレベーターで全フロア各階停車しながら並んでいる本たちをみていく。
4F「えぇ‥エッセイ」5F「考えて、考えて、考えて」6F「ライフスタイルを整える」7F「あなたも気分は芸能人」8F「本で旅行気分」‥‥9Fの「徹夜でミステリー」はこわい本と出会うと困るので通過、10F「優しい気持ちになりたくて」11F「ビジネス書どど〜ん!」、そして。
いよいよ12F「MANGA ART ROOM」へ到着。

当ホテルでは「現実」の持ち込みを固く禁止しております。一晩中ひたすら、作品たちの世界に溺れていただくためです。

MANGA ART ROOM JINBOCHO

了解した。
「現実」のあれこれは、一旦遠くに放りなげよう。

最上階のエレベーターを降りると、特別な一夜への入口が。
部屋に入る。ルームカードキーを壁に差しこむとゆっくりと電気がつく。すぐ目の前に白い本棚。
左を見るとまた白い本棚。本棚をくぐるとその奥にベッドルームが。なるほど白の洞窟である。
部屋の中をすすんでいくと印象的なギザギザの白い階段が。
奥に回り込んでとがった階段を上っていく。足もとにも本が並んでいるので蹴とばさないように。
おお!上にも白いベッドルームが。左右の本棚に並んでいる本の表紙に囲まれて、やはり洞窟のようである。
どこで、何を、読むのか読まないのか、ぜんぶ自由。


       どこで寝るのがスキ?

「スキなことだけしたいくま」
キャラメとブラウニ©︎mu

    

ブックマッチングサービスは〝300円のBookおみくじ〟?


「ブックコンシェルジュがあなたにぴったりの本をお選びいたします」
このホテルには、そんなブックマッチングサービスがある。
宿泊2日前までにメールアンケートに答えると、それにもとづいて本が2冊選ばれる。ホテルのチェックインの際、手渡された本はこちら。

大人が楽しめるドイツの童話風小説「ちいさなちいさな王様」と、文庫本のエッセイ1冊が選書された。

この「ちいさなちいさな王様」がおもしろかったこと!他人ひとが選んだ本なのに、あまりに好みなのでびっくりした。
アンケートの答えから、自分の中身がのぞかれているような気がしてくる。
うまいことぴったりの本を差し出されたら、うむ、さすがブックコンシェルジュ!と感心すればいいし、もし今ひとつな本だったら、ああ、ブックコンシェルジュといえど他人ひとさまの中身は読みきれなかったか、とほくそ笑めばいい。
宿泊者なら、300円で引けるBookおみくじのような不思議な体験ができて、このプライス。
おすすめである。


まだ読みたいのにまぶたが閉じる、まだ読みたいのに夜が明ける


ちいさな王様の話をしてもいいだろうか。
ちいさな王様の世界では、子どもは大きく生まれて何でも知っている。そして、年をとるにつれ体が少しずつ小さくなって、いろいろなことを少しずつ忘れていく。そう、こちらの世界とは反対なのだ。
子どもの心を忘れてしまった人に向けた物語なのか?いや、子どもの心がないとついていけないかもしれない。
自分には子どもの心がたっぷり残っていると自覚している。
ああ、記憶に残る1冊に「ナルニア国物語」と回答したからバレたのか。
読み終わってあれこれ考えてしまう1冊だった。

そんなふうに1冊読んだらあっという間に夜になる。
夜食のドーナツとコーヒーをお供に、部屋にあるマンガを片っ端から開いてみる。
1巻だけ読んで、次の作品に手をのばす。
続きも気になるけれど、部屋じゅうにあるマンガをどれもこれも見てみたい。
おもしろい。こんな作品知らなかった。この装丁こってるなあ!これ、読みたかった作品だ‥‥
どんどん時計はすすんで日付がかわり、まぶたが重くなる。
時間が足りない。
まだまだ読みたいのに‥‥


ありがとう、Book Hotel神保町


ホテルのチェックアウトは11時。
シモンズのふんわかベッドでのんびりうとうとするもよし、早起きして昨晩の続きを読むもよし。

朝7時にアラームをかけてどうしても読みたかったのはこちら。
「LIFE MEETS ART/世界のアーティスト250人の部屋」

マンガではないが、いちばん出会えてうれしかった1冊。
購入してゆっくり読んでみたい。

昨日の夕方、このホテルに足を踏み入れてからの全ての時間が特別で、これまで体験したことのない、とびきりの誕生日を過ごすことができた。

足に刺さりそうなギザギザの白い階段を上がるときは、あたかも「お手を触れないでください」と注意書きのあるオブジェに、へへへと笑って舌を出しながら登っていくようないたずらっ子の気分を味わえる。
部屋にあったドリップコーヒーはなぜか大好きな深煎りのマンデリンだった。
最初に読んだのは7Fの本棚から借りてきた、矢部太郎著「大家さんと僕」だったが、その中で矢部さんと大家さんはほうじ茶を飲む。そして部屋にあったお茶パックは、なぜか緑茶や麦茶ではなくほうじ茶だった。
備えつけの電気ポットは前から気になっていたBALMUDAのもので、素早くお湯が沸いていい使い心地だった。
そして何より、自分だけでは見つけられない、たくさんの本に出会えた。

ありがとう、Book Hotel神保町。
次に来るときは、神保町の古きよき喫茶店も巡ってみたい。そしてチェックインは1分でも長く本が読めるよう、15時ぴったりにするつもりだ。
また特別な時間と想像もしない本たちとの出会いを期待して。

朝日の中のマンガたち。
Frieren、PLUTO、SPY×FAMILYの英語版が並んでいた。


ちなみにMANGA ART ROOMにはもうひと部屋、何もかもが真っ黒な「黒の洞窟/MANGA CAVE BLACK」が存在する。
Book hotel神保町の詳しい案内はこちら。

部屋を予約をしたのは夏の終わり頃で、noteをはじめたのが9月末。
自分が予約したホテルの支配人の記事をnoteで見つけたときには、うれしくてちょっと運命さえ感じてしまったものだ。

レポーターは「スキなことだけしたいくま」のキャラメ(赤い服)とブラウニ(黄色い服)。
〝to live is to enjoy〟
生きることが楽しむことであってほしいと願うくまたちは、自分たちの残りの時間をスキなことをして思うままに過ごしていくと決めている。
ここまで読んでくれて、
thank you so much♡

なんの言葉も交わさず、気の合うくまと一緒に、ただ近くでしずかに本を読むしあわせ。

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