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絵具パレット

人の絵具のパレットを覗き見するのは、人の頭の中を覗き見するみたいで、ちょっと後ろめたさがある。でも楽しい。その人がどういう人なのか、何だか分かっちゃう気がするから。

どこのマスに、どの色の絵具を出そうか悩んで、大きなマスで色を混ぜていく。

絵を描き始めた時の私のパレットは、それはもうぐちゃぐちゃで、そこには何の論理も秩序もない。

図工の授業の時、ふと隣の子を見ると、私と全然違うパレットの使い方をしていた。私の中に小さな衝撃が走る。

教室を動き回る時に、こっそり他の子のパレットを覗き見る。

ある子はパレットの大半が黒だった。

ある子は赤黄色青緑....と色の系統をマスごとに分けるという、びっくりするくらい秩序のあるパレットだった。

同じテーマを与えられても、全然違う作品が出来上がるのと同じように、パレットも全然違う顔を持ってくる。

パレットの使い方は、その人がどんな人なのか、ちょっと教えてくれる。

絵を描くことが好きな人の絵も素敵。苦手ながらも一生懸命描かれた絵も素敵。
でも、描く事の得意不得意よりも、それぞれの過程にあるパレットに目を向けてみたら、もっと楽しいんじゃないかなあ。

描かれるまでの過程にあるパレットは、絵が得意不得意関係なしに、それはそれはドロドロしてて、生々しくて面白いなぁと思います。

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