8/11 演劇ユニットハナウタ 「希望と銀のスプーン/浮巡」

わざわざ兵庫・三宮まで向かい、観劇。どうしても1度、主宰・夏井菜月 の舞台上の姿が見たかった。見てみたかった。

結論、まだまだもっと、もっと見たいと思った。

それぞれ魅力ある女の子3人によって繰り広げられる二つの短編。一人の女の子を三人が演じる『希望と銀のスプーン』と、スリーピースガールズバンドのボーカルの話『浮巡』の二つ。個人的には後半の『浮巡』の方が好きだなと思った。未来が見えないのは、演劇だってそうだ。いや、きっとなんでもそうなんだろうな。

・希望と銀のスプーンは三段目からはよく見えなかった

「さいしょはぐー、じゃんけんぽん」突如始まる3人の女の子達のじゃんけん。どうやら今は夢の中で、今日『ゆき』になる人を決めているようす。そのじゃんけんは何度も行われ、何度も入れ替わっていく。そして、ある1人が知っていることを、もう1人は知らずに過ごしていく。

印象の大きい今でも覚えているセリフがある。

「気づいたって思わなきゃ、気づいてないままでいられるんだよ」

気付かないふり。気づいてないと、言い聞かせる。それが一番楽だから。

大人はそうやって生きていく。見て見ぬ振りをして、上手くやりくりをして、うまく、賢く、生きる。でも『ゆき』はまだまだ子供だから、それができなくて。

あたしはそれに共感できなかったから、きっともう大人になってしまったんだろう。賢く生きることが、できるようになってしまった。狡賢く、なってしまった。

若いっていいな、とこの辺で思った。若いって言うのは本当にいい。純粋で、素直で、可愛くて、多感で。でも誰だっていつかは大人になっていく。そういう展開を、段階を踏んで、汚い、賢い大人になっていくのだ。

希望と銀のスプーン。自分の席からは詳細は見えませんでした。Twitterで見たけど可愛らしい感じだった。

・浮巡は「うきめぐり」?「ふじゅん」?

二つのうち好きだった方。というか、あたしの好きは、「共感できた!理解した!」の好きだから、つまりはそういうこと。スリーピースガールズバンドの3人組の話だけれど、どうやら最後には解散してしまうらしい。ちなみに別にバンドの演奏シーンがあった訳じゃなかった。でも歌うシーンはあって、もっと聞きてえ!って思ったおいこら内容に集中せえ自分。

高校の頃のことを少しだけ思い出してみる。
自分は高校の頃、ソフトボール部に入っていた。中学から母の影響ではじめて、高校まで続けた。ソフトボール自体は好きだったけれど、そこまで本気になれた訳じゃなかった。そもそもが下手くそで体力もないから、大学に入っても頑張れないだろうなと思い、続けるという選択肢は早々に無くなった。すぐに引退して、受験勉強に励んだ。

夢を追いかけることは、しんどい。
ボーカルの子の名前は「平原」というのだが、他の2人からも平原と呼ばれているのがなんだか印象的だった。平原には歌しかなかった。歌だけ。他にはなにもない。でも、2人には他になにかがあった。「平原に未来なんて預けられないよ」そう言って、離れていった。

インディーズのバンドがメジャーデビューするという話を聞くと、誰であっても「ああ、頑張ったんだなあ」と思う。それが高校からのバンドメンバー、とかいう話を聞くと、尚更「すげえなあ」って思う。当時の彼らに今の姿は想像できていたのだろうか。きっと、想像するしかなかっただろう。

未来は見えない。
自分が10年後20年後なにをしてどこにいて、幸せなのか楽しんでいるのか、そんなことはわからない。ちょびっとも、わからない。想像するしかない。でもそれも、本当かなんて分からない。

それでも今を生きる。
今を生きて、未来に希望を持つ。かすかな希望を、小さな右手に握りしめて、今この空気を吸って、吐いて。それが本当かなんて、きっとどうでもいい。今を生きるには、何かを信じなきゃいけない。未来はこうなっている。それを、自分だけが信じて、生きていく。

平原の最後の語りはきっと、忘れない。平原は今も、未来が輝いてるって信じて、今を生きているだろうか。

そうだといいな、と、おばさんは思います。