雑感:教員の役割について

自分自身、教員という職業について7年目になりました。7年も経験しているにも関わらず、恥ずかしながら自分の仕事のスタンスについてまだ定まらないことも多く、葛藤し自省することも多い日々です。

今回、ふと「教員は、教育の場においてどのような役割を担うべきか」という、もっともらしい疑問がわいたので、頭の中で整理してみようと思いました。ちなみに、教員といっても小学校・中学校・高等学校と、教育の段階によってその果たす役割は若干違うと思います(大学や幼稚園まで行くと、その違いはさらに大きい)。なので今回は、主に高等学校の教員について、それが果たすべき役割について考えてみることにします。考察の内容は、「教員が果たすべき役割とは何か」というよりも、「教員はどうやって果たすべき役割を認識しているか」といったものになります。考察はあくまでも個人の経験に拠っているので、そのつもりで読んでいただければ幸いです。

教員の業務の分類

まず、教員が学校でどんなことをしているのか、以下のように分けてみましょう。

① 教科指導業務 
② 教科外活動指導業務(ホームルーム活動含む) 
③ 課外活動指導業務(部活動含む)
④ 学校運営業務

これは学習指導要領における教育課程に基づいて分類したものですが、これらの業務をもう少し具体的にイメージできるようにすると、こうなります。

① 日々の授業/定期試験/課題作成と実施/補習(※)/受験指導 など
② クラス担任・副担任/生徒委員会顧問 など
③ 部活動顧問/学校行事運営 など
④ 各学校における校務分掌の業務 など
※補習は教育課程上は課外活動となりますが、その性質上教科指導に分類しています。

これらの業務を、教員はすべてこなしています。ただし、これらの業務の配分は、教員によってさまざまです。それは、校務分掌によっても異なるし、教員が自身の教育活動において何を重視しているかによっても異なります。ぶっちゃけ、「担任」を受け持つことになった教員は、これらの業務のほぼすべてに、責任の一部ないしは全部を持つ者として関わらないといけないので、その負担は少なくないです。これについては、また機会があれば書こうと思います。

教員の役割について

とりあえず、本稿の筋で行くと、これらの業務を果たし、生徒の成長機会を提供していくことが教員の役割、ということになります。しかし、そういう様々な場面で生徒を指導するということを日々繰り返していると、どうしても自分の中で、一体何がどのくらい大事なのか分からなくなってくる時があります。「全部大事なのだ」と言ってしまうことは簡単ですが、教科指導・ホームルーム指導・部活動指導など、それぞれの場面ではそれぞれの指導方法があるわけですし、それは1人の教員の中であっても、必ずしも一貫しているわけではありません。教員は、それぞれの業務に対して、自分の教育観に従っていくつもの指導方針やスタンスを使い分け、生徒を指導しているのです。これはなかなか大変なことです。

要するに、教員が担っているすべての業務に、100パーセントのリソースを割いて指導することはできないのです(時にはそれをやってのけるスーパーな人もいますが)。

とすると、やるべきことはこれらの業務に「優先順位」をつけることです。何が自分にとって最も重要で、生徒に提供したいと考える業務なのか。難しいのは、これが各教員によってそれぞれ違うということです。人によっては教科の指導に全力を注ぐ人もいて、かたや部活動が業務の大半を占めている人もいる(これは、時間的な意味ではなく、その人のリソース的な部分において、という意味です)。とすると、教員が果たすべき役割というのは、個人のレベルでは限界があり、各教員が自分でそれらを選び取っていかなければならないということになるのではないでしょうか。

結局、教員は教育課程において求められている役割をすべてはこなせない。そんな結論になってしまいそうですが、現実には教員は非常に柔軟であり、「最大限のリソースを割く」業務と「最低限の責任をこなす」業務を住み分けして、その役割を全うしています。ただどうしても、責任感の強い人や頑張り屋な人ほど、すべてを100パーセントで応えようとしてしまうようなこともあります。そうした人は、自分が「果たすべき」役割と、実際の成果にギャップを感じてしまうこともあります。

そういう意味では、「全ての役割を担わない」こと、「果たすべき(最低限の)役割をはっきりさせる」こと、このふたつが重要なのかもしれません。
「自分が、教員として果たすべき役割は何か」これをキチンと整理しておくことで、仕事のやり方、生徒への接し方も変わってくるかもしれません。

まとめ

まとめますと、「教員は、教育の場においてどのような役割を担うべきか」という疑問については、以下のような答えになります。

・教員は、教育課程において求められている役割をすべてはこなせない
・「自分が」、教員として(最低限)果たすべき役割をはっきりさせる

答えとしてはズレているような気もしますが、自分の中で整理しておきたかったことは達成できたので、それでよしとします。

「では、自分の果たすべき役割とはなんだ」という次なる疑問については、また機会を改めて考えてみようと思います。



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