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時刻表に乗る vol.5

東京-大阪各駅停車の旅 No.3


3.三島-豊橋①

●三島発7時48分豊橋行(931M)は三島始発の列車で、すでにホームに停車していた。
 JR東海が誇る近郊型電車の313系3両編成である。
 これには心底安堵した。なぜなら、この編成にはトイレが設置されているからである。これがもし古参の211系であったならば、地獄の静岡県内トイレなし旅になるところであった。
 ただ近年では211系を運用する場合は313系と組ませての6両編成での運用が多いらしく、211系単独運用は少なくなっているのかもしれない。

●列車は定刻に三島を発車すると数分で次の沼津に到着する。JR御殿場線の西側の分岐駅である。沼津駅は古き良き時代の雰囲気のある地上駅であるが、近い将来に高架駅化される見込みであるとのことで、この雰囲気は今回で見納めかもしれない。
 沼津を発車してしばらくすると右手側に新車両基地建設用地と大きく書かれた看板が設置された広い空き地を目にした。これも、駅高架化事業の一環なのであろう。
 山部赤人の詠んだ「田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪はふりつつ」で有名な東田子の浦、岳南電車の分岐する吉原の各駅を発車して富士が近づくと、右手に日本一の高さを誇る富士山がよく見えるようになってきた。9月末くらいに初冠雪のニュースを聞いていたので、少し山頂が白っぽく見えている。
 それにしても今日は雲一つないまさに秋晴れの良い天気である。

●林立する製紙工場群を抜けると、JR身延線が分岐する富士に到着した。
 8時を過ぎたからだろうか、静岡方面へでかけると思われる乗客の数が増えてきた。今日は日曜日。静岡あたりに遊びにでかけるのであろう。
 このあたりから貨物列車とすれ違うことも増えてきた。
 富士を発車ししばらくすると、富士川鉄橋を渡る。
 右手側に新幹線が高速で通過していくのが目に入った。ちなみに、興が覚めることを承知でいうと、東京発6時ちょうどののぞみ1号博多行の新大阪着は8時22分であり、もう間もなく新大阪に到着するころである。
 こちらは富士川の雄大な川の流れの上をのんびりと西へ向かっている。

●由比が近づいてくると、東名高速道路、国道1号線が寄り添ってきて、海沿いの狭い平地を3本の大動脈が並行して走るようになる。東海道本線は一番山側であり、海沿いを走っている割には海がよく見えない。
 静岡へ向かう乗客で3両編成の列車はだいぶ乗車率が高くなってきた。立っている客もいる。

●由比を過ぎると、静岡発甲府行の特急ワイドビューふじかわ1号とすれ違った(すれ違いポイント③)。あちらは、秋の富士川沿いを身延線経由でのんびりと甲府まで向かう特急である。
 「富士川号」は国鉄時代から急行として設定され、JRに移行してから特急に格上げされたものであるが、静岡の県都と山梨の県都を結ぶ特急であり、静岡県と山梨県の結びつきの強さを感じる。
 似たような特急で東京と静岡を結んでいた東海号とういう列車があった。こちらも国鉄時代に急行「東海号」が東京と名古屋を結んでいた。末期には静岡と東京を結ぶ急行となっていた。それが格上げされ特急となったが、平成19年(2007年)に廃止されてしまった。

8時42分清水に到着。平成の大合併で旧清水市は静岡市と合併し、静岡市清水区と呼ばれる地域となった。
 
さすがに乗客の乗降が多くなってきている。
 再開発され、きらびやかになった東静岡に到着する。乗客の乗降がさらに激しくなってきた。
 時刻は8時50分、間もなく静岡県の中心都市静岡に到着する。隣の乗客を気にしながら小さく伸びをした。

次回へつづく
[使用写真]フリー素材 https://pixabay.com/


〔表記の分け方について〕
太字表記した部分については時刻表や地図帳などの事実に基づいた内容である。
※時刻表の羅列だけでは寂しいのでフィクションで私の行動や周囲の乗客の様子や風景を書き加えた。その部分は細字表記となっている。また、歴史的背景の描写や街の紹介などは事実に基づく内容である。その部分は時刻表には無関係のため、細字表記となっている。


【今回のルート】

[使用マップ]国土地理院地図GSI Maps

【今回のダイヤ】
時刻表から書き起こしたダイヤグラムにより、特急ワイドビュー富士川1号と由比のあたりですれ違うことがわかります。

ダイヤグラム

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