勇気34
なんだか、諦めると勇気が湧いてくる。
働いてお金を稼ぐって言ったって、なんせ疲れるし、やるにはやるけれども、何を頑張ればいいかわからない。
パチンコ屋さんだから、大きな声を出せばいいとか、お客さんに愛想良くするだとか、そんな単純なことで、慣れてはきたけれども、なんだか心が通っていないのを自分でもわかるくらいに仕事っていうのは気持ちが乗らない。
そんな中愛子は、バックヤードから店内に入るや否や、ピキッとスイッチが入ったように表情が笑顔になり、愛子に会いにくるお客さんが来るくらいに人気がある。そんな愛子の彼氏は僕なのだって思うと誇らしくなる。
「なんでそんな簡単にスイッチを入れられるんだい?」
「それは仕事だからよ。お金もらっているのだから、言われたことをする。当たり前のことを当たり前にね。」
諦めるだとか、勇気が湧くだとかそんなちっぽけな気持ちを抱いている僕が惨めで幼稚なことに気付かされた。
けど、愛子がいる。
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