人生を変える一冊に出逢おうと思っていたのだ。
うん。
いや結論から言うと自分にはそういう本はなかった、ということになってしまうのだけれど。
どうしようもなく上手く行かない自分を、なんとかしてくれる本があるんじゃないか?この一冊がそうなんじゃないか?
・・・なんて思いながら本を探していた時期が確かに、ある。
いわゆる”自分探し”というヤツに近いのだと思う。
これが自分の場合結構なこと、長く続く。せっかくだからこの場で記しておこうかと。
なんてったってクセが悪い。
何をしたいか、どうなりたいかすらわかっていないのに何とかしてくれる本を探そうというのである。
まず手を付けたのが既に名を成した人たちのいわゆる”成功譚”というヤツである。何故か。成功願望が強いわけでもないのに。
これはすぐに気が付いた。
成功した人たちの力強い言葉に励まされ、気持ちよくなっていただけだな、と。
それはそれで無駄だったわけじゃない。なんとなく絶望しないですんだからだ。
でももちろん、自分がどう動くのかの指針になったわけじゃない。
次にもう少し具体的なモノ。
自分が好きなモノ・・・なんて考えるとやはり山だの川だの旅だの・・・ということで次はそんな本の中でも仕事にかかわっていそうなものを漁りだす。
自然観察指導員・アウトドアショップ店員・果てはスポーツトレーナーに家具職人・・・なんて言葉が浮かんでは消える。その過程で読んだ本の数、それこそ星の数。
でも本音で言うと具体的に何かにピンときていなかった・・・というわけではなく。
ただそこらへんに関わっていれば何とかなるんじゃないか?という非常に曖昧な心境、希望的観測であったように思うな。
野田知佑の「新・放浪記」がとても心にヒリヒリしたのを覚えている。
おお、検索して知ったのだがこの頃読みふけっていた野田さんの著作はほとんど品切れになっているんだな。時の流れだな。
そんな中、印象的な数冊に出逢っていく。
昨年逝去した隣村の大先輩もそう。
峠を二つ越えた村の哲学者も。
この頃になると、職種・仕事のジャンルどうこうはともかくとにかく暮らす場所は東京じゃないな・・・と好きなフィールドの近くで暮らしたい、という思いが強くなる。
その辺はコチラのマガジンに。
人生を変える一冊、には出逢えないまま人生は変わりつつあった・・・とも言える。そう、順番的にはそうなのだ。エラソーにライフスタイルチェンジ的なこと言ってても結構偶然な感じなのだ。
暮らすフィールドを変え、しかしまだ探求は続く。生活を支える仕事にはありつけたとはいえ、物足りなさ、もっとざっくり言ってしまうとつまらなさ・・・は常に感じていた。いや、今も感じている。そうしたところからこの平日・昼間の仕事を失礼ながら”世を忍ぶ仮の仕事”と呼ばせていただいている。
今の自分を支えてくれている・・・という意味で大いに感謝はしつつもやはり変化、レベルアップ?を求めるのは常にこの部分だ。今もだ。自分に出来ることがあったら声をかけてください。
この頃になると決まり切らないまでも、おぼろげながらなんとなく方向性が見えてくる。
例えばこんな本たちが、役に立つ・・・刺激になってくれた。
刺激受けたなぁ。特にマンゴーから始まる晶文社の「就職しないで生きるには」「就職しないで生きるには21」シリーズは好きな本が多い。
この辺まで来てようやく気付く・・・というか必然というか。
自分に出来るのは本を使って何かをする事・・・本屋なんじゃないかと。友人の「トリゴエさん本いっぱいあるんだから本屋すればいいじゃん」というあまりに直球な一言も響き。
むしろこんなにいっぱいの本に関わっちゃったんだし、それしかないんじゃないかと。決定的な一冊はなかったけれどそれなりのものを積み重ねてきた。ヒトに勧められるくらいに重ねてきてしまった。
この場合の本屋とは、スタイル問わず山に登る人を”山ヤ”と呼ぶような感じの、本ヤ。
そう。
ようやく。
自分の中でのせめぎ合いは、大分時間はかかったけれど、ナリワイとして自分の実となっていくのです。
ようやく、ぶれない自分にたどり着いたころにはもう自分の人生後半なのだけれど(多分)。
たどり着けないよりは、ずっといいかな、と。
自分は、幸運なんだ。
うんうん。
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