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小海で本屋をするということ。

今日はJR小海線・小海駅横のスペース「アルル」で一日本屋をしてきました。

小海町はわが寒村・南相木村の隣町。ちなみに南相木には小学校はありますが中学校はない。
中学からは越境で小海町にある学校に通うことになるのです。そんな関係。

JR小海駅は我が家からだとクルマで10分程度。これはイナカだと”すぐ近く”の距離感だとご理解ください。(参考までに最寄りのコンビニはさらにクルマで5分ほど、です。)

そこで行われる「ちょっくら市」という近隣有志による小さなマルシェ。

今回は相棒(つま)もセラピストとして出店。後ろに小さく見えている緑の看板がそうです。
自分の横で息子が読み終えた本や使わなくなった玩具を並べることもありますのでそうなるとまさに家族出店。
他の出店者さんに「一家族で3ブースも!すごい!」と言われたことがあります。

過疎真っただ中で電車(正確にはディーゼルですけど)の駅・・・となるとそれはもう利用者が少ない。アルル内には小さなスーパーや薬局といった施設も入っているのですがそれでも少ない。

そこでイベント・マルシェ・・・と言っても厳しいのでは?と思うのが普通。実際集客には毎度苦戦しています。が、そこは主催者さんの思いあってのこと。毎度課題を発見しつつ少しづつ前進・・・といった塩梅です。
(やはり地元で盛り上がりたい・・・は誰だって同じなんです。それに対してどうするか。個人的にはこのマルシェは”近所の人がふらっと寄るマルシェ”になって欲しいなんて思っています。)

じゃあ何でわざわざ出かけて行くのかというとやはりいくつか理由があります。

ひとつは、小海町(以南)に本屋がない・・・という現状。
(一つ北の佐久穂町には新駒書店さんができて、非常に”らしい”いい活動を続けていらっしゃいます。)

一冊でもこの地域に本が出ていくといいな・・・最悪本は売れなくても一日ゆっくり本が読める。今日も読みかけの一冊を読み終えましたし・・・という感じで毎回出店しています。これは”勝手に使命感”に近いものですね。自己満足ですがそれで自分を活気づけている。

もうひとつは、つながり。

やはり好きなテイストのイベントというと、そう変わった方向見てる方は集まらないんですね。なんとなく同じ方向いてる。そんな人とは結構すぐに、仲良くなれるし同じ方向向いた情報も集まるってもんです。そんなもんなんです。

実際今日も意外なところから意外なところへ・・・な、はじめまして!さん達とご一緒出来て。そうすると次のコレ、声かけてみようかな?とか次のアレ、こんなメンバーだといろいろ面白いな・・・とかが出来ちゃうんですね。

人数少ないエリアなのでこういう積み重ねが盛り上がりを”厚く”するんです。

もうひとつが、過去の記憶。

自分達が長野県に移ってきたのがおおよそ20年弱前なのですが、そのころは同じ「アルル」内に書店があったのです。

名前を「みや書店」といい、その頃は”日本で最も標高の高い本屋”として認められていました。

もちろん地方の、小さな書店。品揃えは望めません。しかし雑誌の定期購読や発注なんかを中心に町の本屋としての機能はこなしていました。自分もその頃購読していた雑誌数種を定期でお願いしていましたね。

その少ない品からなんとなく購入したのがサッカー元日本代表監督、故・イビチャ・オシム氏の「オシムの言葉」じゃあなかったか。(リンクは文庫ですが、当時発見したのはハードカバーです。)

自分がお願いしてた雑誌と似た感じの雑誌をさりげなく取り寄せて提案してくれたり(残念ながらクリーン・ヒットはなかったんだけれども)そんな親切も持ち合わせていた町の書店・・・も、自分たちが小海に移って数年目で閉店に。

そりゃあ悲しかったですよ。

自分の町に本屋があるか、ないか。これは大きいんです。単に物質的な問題だけでなく。そこに本があるかないか、って事なんですから。
(ゼロは何も生みません。ゼロとイチは大きく違うのです。)

それからしばらくは平日昼間の仕事からの帰路、佐久穂町にあった県内一の書店チェーン「平安堂」に寄る日々が続きますが、その「平安堂」佐久穂店も数年後に閉店・・・。

そんな場所でかつては利用者であった自分が、本屋を名乗り、自らの考える良書を世間に送り出している・・・。

そんな考え、勝手な自己満足と使命感が毎回自分をこのイベントに駆り立てます。

こういう騒がしい状況ですからね。コンスタントにイベント開催も出来ていなかった。

そんな中今日も数冊が周辺に出て行った。

つながりも出来た。

愉しい時間を過ごせた。

今はそれで、十分です。

あ。

そういえば日本で一番標高の高い・・・の件。

今は草津の「ABC書店」さんが約1180mで最高みたいですね。

ウチが約970m。

密かに狙っていたんですけけどね。

クソ、やられた。



http://www.coldmountainstudy.com/
coldmountainstudy@gmail.com 

coldmountainstudy  店主:鳥越将路



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