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眠れなかった夜、贅沢な朝食、そのあと考えたマーケティングターゲットについて

おはようございます。
昨日から出張に来ています。
いつも泊まるホテルで朝をむかえましたが、よく寝ることができず、
朝からずっと眠いです.
睡眠トラッカーの熟睡度も79点と、いつもより低いです。

当たり前ですが、
私が眠くても朝日は昇る。
気持ちを切り替えて、朝食に行きます。
出張の時は朝が早いので、
そのまま仕事に行ける格好で6時30分にビュッフェ会場へ。

このホテルがお気に入りなのは、
朝食が素晴らしいからです.
特にコーンポタージュスープが贅沢で、ずっと楽しみにしています.
1Fのレストランに入ると、
高さ5メートルはある大きなガラス越しに、綺麗な青空が見えます.
その下には、
低い山々が静かに控えています.
「あぁ〜ここに来て良かった」とため息をついて、
コーンポタージュを取に行きます.

このホテルは高級ホテルの系列の安いラインのホテルなので、おそらくレシピは同じなのでしょう.くるっとした取ってのついたスープカップに口をつけると、
白い陶器の滑らかさを唇に感じた瞬間、
滑らかで、
重い液体が滑り込んできます.
もう全身が食道になってしまいたい、と思うほど優しく暖かい。
たっぷり生クリームを使って、
コーンのザラザラ感が全くないくらい細かくすりつぶされています。
カレーも最高。朝からカレーを食べると昼までお腹の持ちがいいので助かります。

ところで、このホテルのターゲットは誰なのか、もしマーケティング戦略を頼まれたら、どうやって設定するかなあと考えましたので、紹介したいと思います.

まずターゲットの定義から見ていきたいと思います.
ピーター・ドラッカー氏はこう書いています.
「群(集合)とは、心理学にいうところの形態(ゲシュタルト)である。したがって、それは見る者の主観のうちに存在する。定義ではなく知覚に依存する。「創造する経営者」より」

ちょっとわかりにくい。
でも、めちゃくちゃイミシンなことを言っているようですが、
理解するにはゲシュタルトを理解しなくちゃいけないのかも知れません。
でも、マーケティング戦略を立てて、実際に集客して事業を成功させるという目的のために何を意味しているか考えてみます。

群🟰お客様の集団(ターゲットセグメントとも言います)は、
政府の統計で括られたデモグラフィックな集団(「都市部に住む働く世代」など)でなく、また、
売り手が決めた顧客像(「この商品は40代の中間管理職向けの〇〇」など)でもない。
買い手(ドラッカー氏のいう“見る者”)が商品を買いたくなったときに、
その人には買う動機がありますが、その動機を同じくした人々の集団のことを、ターゲットと言います。
(注 これは私の解釈です。)

さらにわけわからんやないか!と突っ込まれそうなので、具体例を上げます.

冒頭のホテルについてです.
私は自分がなぜこのホテルに泊まるのかを考えてみました.
ホテルにとっての私はターゲットなので、一顧客としての率直なフィードバックを見ることで、ターゲット設定の詳細がわかると思います.

まず、一言で言えばせっかくお金を使うんだから、
相応の見返りが欲しいと思いました。
宿泊するのだから、
ただベッドとシャワーがあればよい、では仕事のモチベーションも湧きません.
ある程度の綺麗さ、部屋が狭すぎる(13㎡以下は私的に厳しい)、
バスタブが便器と近すぎる、
朝食がついてない、もしくは美味しくない、
壁が薄くて隣の声が聞こえる、などなど、
たとえ1泊でも居住スペースとしてあって欲しい機能はやはり妥協したくない.
その点、このホテルは、
15㎡の部屋、
決して新しくはないけれど、綺麗さは及第点、
朝食が美味しい、
スタッフの接客が自然で、丁寧すぎない、
などの点が気に入って、毎回泊まっていることがわかりました.

私の顕在ニーズとしては、このようなことで、これが満たされていることが、選ぶ理由となります.
では、私以外に広げて、より多くの人々を視野に入れたターゲット設定をすることを考えてみます.
上記のようなハードとソフトが気に入るのは、どのような動機が隠れているからかを考えると、ニーズがより抽象化されるので、
それを叶えるサービスの射程が広がり、
結果としてより多くの人を価値提供をする対象に入れることができるようになります.

ここを見つけるのは、時間がかかりますが、急がずに観察すると答えがちゃんと見つかります.

私の出した答えは、
「なりたい自分になるためにこのホテルでの宿泊を買う」
というものでした.

以前、近くの別のホテルに泊まったことがありますが、
そこは大浴場があって建物が新しかったり、また別のホテルは朝食付きでも料金が安かったり、仕事場に近かったり、今回泊まった宿にはないセールスポイントがありました.
しかし、高級で、パンも美味しいけれど、スタッフの「おはようございます」が機械的で、ボリュームも大きすぎて、
食事中ずっと耳に連射されると食傷気味になるホテルにはまた泊まりたいとは思いませんでした。

その差分は何かと考えると、多分それぞれのホテルが大事にしている接客マニュアルと、
その背景にある行動規範みたいなもの、
価値観が影響しているということに思い至りました。
私の場合、
自分と近い価値観で運営されている空間にいたい、
イコール自分の在りたいような過ごし方をしたい、
ということが中心にあるニーズで、お気に入りのホテルを、私はこれができる場所と感じた(知覚した)ということだと思います.

このように考えると、ターゲットとして「なりたい自分になるためにこの宿を選ぶ人たち」とするならば、
では、どのようにゲストに感じてもらうことが、
顧客満足につながるのだろうか、という問いを立てることができます.

この答えは一つに絞っても良いですし、
複数でもいいと思いますが、
大事なのは、お客様の捉え方として、
どのような動機を持って宿泊されるか、その動機をどのような形で実現したいと思っているか、
という視点で、
実際のサービスやハード面の企画にあたることです。

例えば、「自分は誠実な人間だ!」と認識したい人がいたとします。
その人を度々宿泊してくれるお得意様にしたいターゲットグループとした場合、
どんなサービスが必要でしょうか.

・(建物が古くても)清掃は行き届いていること.間違ってもエアコンの吹き出し
  口からホコリが見えるようなことは避ける.
・朝食の種類は少なくても、温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で食べ
  られるようにする
・チェックインはなるべく短時間でできるようにする

などなど、ホテルによって、企業によって何を誠実さとするかは考え方の違いによるので、いろんな種類のあり方があって良いと思います.
その中で共感してくれるポイントが見つかれば、
一見さんはお得意様になってくれると思います。

価値観まで落とし込んで、具体的なサービスを考えることのメリットは、
これがそのまま差別化戦略になるということです。
差別化の源泉は、何をよしとするか、なので、何を誠実さの表現とするかにホテルの個性が出ますし、それを積み重ねると真似できない差別化ポイントになります。

まとめると、ターゲットの設定では、
提供する商品やサービスについてお客様がどのように感じるかが中心となるポイントで、
商品に対して同じように感じたり、期待してくれる人たちの集まりをターゲット(集団)といいます。

その際、お客様の感じ方に関係する、価値観や動機も一緒に考えると、よりターゲット像がわかりやすくなる気がします。


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