フリーフォントをどう捉えるか。

フリーフォントをどう捉えるか、ということについて人の考えを聴く機会があり、自分も思うところを忘れないうちにメモ。

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まず第一にフォント自体のクオリティの問題だとは思う。
収録字数、パスの精度、カーニングの処理など上げればキリがないが、少なくとも本文用にまで使える書体として思えるフリーフォントにあたったことはない。

逆に言うと、使ったことのあるものといえば、飛び道具的にぱっとわかりやすく雰囲気をつくるようなもので、雑誌など短いスパンで(個別にふんだんに予算が使えるわけでもない状況で)レイアウトしなければならないものになる(それでも数は少ないが。

今、自分が制作しているフォントもこの後者にあたるものになる。(フリーフォントとして公開しているものではないが)
その昔、書体デザイナーの方に制作している欧文書体を見ていただいたことがあったが、「欧文ネイティブでない人が欧文をつくる意味を意識した方が良い」と言われたことがずっと頭にある。
例えば欧文の本文組まで見慣れていない人が、クオリティで欧文の本文で通用するようなものをつくれるだろうか。少なくとも金をとれるようなものにはならないだろうと思う。

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第2には、使い手の問題もある。

フリーフォントはそれが無料で公開されている以上、作り手としての意思はなんらかのかたちで示されているので、あとは使い手がデザインで目指すものに対して、どのような働きをするのか明確な理由があるものを使用するのが前提となる。

イメージにあうかどうかもそうだし、例えば、受けるデザイン料の2倍フォントの導入費が掛かったとかでは経営的にはNGとなる。もちろん将来的な投資の位置付けで導入もありかとは思うが、要はバランスで、案件のファクターを見極める必要がある。

カーニングの処理が緩ければ手詰めすればいいし、パスをいじれば字形調整もできなくはない。が、その時間をかけることのコストと、ある程度信頼のおける有料のフォントの導入のコストのどちらが大きいか、という割と身も蓋もない話になる。

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と、つらつら考えるのは、さきの話にも出したように、自分も書体デザイナではないのにフォントをつくっていて、どうリリースできるのか(あるいはできないのか)悩んでいる部分があるからだ。

現状、欧文のディスプレイ書体をいくつかつくっていて、知り合いに見てもらうなどしている。「売ってないの?」とわりと聞かれるが、「いくらだったら買うの?」と逆に質問を仕返しても、明確な答えは返ってこない(いじわるな質問とは自覚しているのでたちが悪いが。

個人的には、将来性を買ってほしい(不躾

製作中の書体サンプルを載せて、100円くらい課金してもらって、課金数が多いものから字数や仕様を整えて、課金してくれた人に送信。とか。

↓みたいなサービスもあるようだが、ほんと色々試されている時期だなあ、とは思う。



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