「おもしろくねーわ」って何様だよ
ここ数日、反省することが多い。
いつのまにか調子に乗ってしまっていた。
誰かに叱られる機会は大人になるにつれ減るし、働いていない僕はなおさら。
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「おもしろい人に会いたいんですよね」と繰り返す人の話を、ただただ聞き流していた。早く終わってほしかった。
僕はそんなことを言ってくる人が苦手だ。だって、おもしろい人に会いたいと言っている人がおもしろかったことがないから。
もう少し噛み砕くと、「おもしろい人に会えば自然と自分もおもしろくなれると思ってる人」が苦手。
おもしろい人に会える方法で可能性が高いのは、自分がおもしろい人になることだろう。何をおもしろさと考えるかは人それぞれだけど、僕の解釈は偏愛と情熱だ。さらに時間をかけることで狂が生まれる。
狂っているから、おもしろい。
もちろん最初から武器がある人なんて少ない。
たくさんの人に会って、興味の接触数を増やすのはとてもいいと思う。
ただ、自分が何を返せるのかは考えておかないといけないんじゃないかな。
そんなことを考えてもない人から「おもしろい人紹介してくださいよ」なんてナンセンスなことを言われても、友だちを紹介したくない。
「カフェスペースでイベントしたいから制作やってるおもしろい人いない?」とか「うちのアパレルとコラボしたらおもしろそうな不動産関係の人いない?」みたいな、わくわくする相談はとっても好きだけどね。
損得勘定かよと言われれば、そうだよとしか答えられない。
話を聞き流しながら、失礼だけどすっかり上の空だった。
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「お前そのままだと、おもしろい風で終わるぞ」
何年か前に会社員をしていた頃、商談の帰り道で先輩に言われた。
「お前みたいに半端に考えられて半端にしゃべれる奴、おもしろい風をこじらせやすいから気をつけろ」
心当たりはあった。商談中、僕はクライアントの話がクソおもしろくねーなと思っていたから。
先輩の言葉をすぐには飲み込めなかった。じゃあどうすりゃ良いんですかなんて言い返すこともできなかったし、聞いたところで答えてくれる人じゃない。自分で考えろと言われるに決まってる。
悔しいから言葉の意味を考えてみた。でも全然わからなかった。
自分の頭だけで考えても時間の無駄だから、観察をしてみることに。
その先輩もだし、僕がおもしろいと感じる人たちは「おもしろがれる人」だった。つまらない話でも何かおもしろい部分はないか探すし、どうすればおもしろくなるか考えていた。
おもしろくねーわで人の話を切り捨てていた僕は、何様だったんだろう。
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「おもしろい人に会いたい」と繰り返す人の話をただただ聞き流している時、うしろから先輩の言葉に頭を叩かれた気がした。
「また何様になってんぞ」
そうっすね。ちゃんと聞いてみます。自分を変えたくてきっかけを探している人を否定できるほど、大きくも偉くもなってないっす。
ナンセンスなのは僕の方でした。ありがとうございます。
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