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【キンタマ1つ無くなった時の話】⑤






キンタマ2つで見た最後のM-1グランプリは2004!面白すぎた結果キンタマ取らずに1度退院した僕は定期検診でキンタマ1つ取る運びになったのだった…!







遂にキンタマを取ることになった僕。
定期検診が終わるとその足で2度目の入院。





新しい病室に通されました。
この入院から二人部屋でした。

もう一人の患者さんは50〜60代の男性。
身長約175cm、シュッとしていて浅黒の伊藤さん(仮名)。

長髪をポニーテールでまとめてヘビースモーカーで、とにかくダンディな印象でした。



挨拶をするととても柔和な方で

「若いねえ。俺も負けないぞ〜。」

と穏やかな表情で迎えてくださいました。





院内着に着替えるとおかあが1枚づつ、千円札を2枚差し出します。


「これ売店。これテレビカード。」


さながらキャリアウーマン。


話が早い。


そう言うとおかあは遅れて職場に向かいました



僕「ありがとう!いってらっしゃーい!」


おかあ「いってきまーす!」


伊藤さん「お気をつけて〜。」



さながら団地。


病室は暖かい。



おかあから2000円も貰った僕。

まだはしゃがない。

ちょっと待ったら検温の時間だからだ。












最初の検温はギャルでした。





ギャル「わあ山口くん久しぶりだね〜!」


僕「えっへへへへへへ!」


ギャル「手術頑張ってね〜!」


僕「えっへへへへへへ!」





オッケーオッケー。



もう俺ぐらいになるとあえて会話しないのよ。



マジマジ。





僕「じゃあ散歩行ってきます!」


ギャル「でた散歩!もう痛くないの?無理しないでね!」



ここなのよここ。

こういうタイミングでちゃんと会話すんの。

















僕「わぁ!ありがとうございます!」


ギャル「無理しないでね〜」







絶妙に会話にならない思春期。


たくさん話せたホクホク感で充分だった。





ここで言う「散歩」とは外出のことでは無い。



入院期間中は一度も外出しなかった。



ただ僕は病室から出る事を「散歩」と表現することで看護師さんからのかけがえのない笑顔を頂戴し、一世を風靡していたのだ・・・!







ではここで僕の入院生活を彩った


「散歩」


の中から、楽しかった行為をランキング形式で発表していこうと思います!







それでは早速いってみましょ〜!








「楽しい散歩!ランキング〜!」








第3位!


「売店に行く!」


これはいいですね〜!

なんでもありますからね〜!

僕はなんの食事制限も無かったので好きなもん買ってましたね〜!

ただね、意外と行かないんですよ〜!

なんでかって言うとみんなお見舞いついでに売店寄ってくれるんですよね〜!



「わあありがとうございます!今日5個目のオロナミンCです!よかったらお返しにオロナミンCをどうぞ!」


なぁ〜んてね!







第2位!


「ロビーに行く!」


これもいいですね〜!

全部の階にテレビとソファーと本棚が置かれたロビーがあるんですね!

ここの本棚には退院した人達が読んでた雑誌全部入れて退院して行くのが恒例になってましたね〜!

ジャンプヤンジャン、マガジンヤンマガあたりは買わなくても毎週読めましたね〜!

ちょっと大人な雑誌も拝借してましたね〜!




「おっ!これ昨日発売のプレイボーイだ!ゲッ!袋とじが破られてる!こいつヌいてから退院しやがったな!」


そしたらお医者さんが


「うぅ〜、私の手術のおかげで無事ヌケて嬉しいです〜。」



って泣いちゃったりして!




なぁ〜んてね!








第1位!













「他の科にも行っちゃう!」



これはだめですね〜!

外科の本棚は充実してるな〜!

耳鼻科は女性の看護師さんのレベルが高いな〜!

そんな事考えながらしんどそうに歩くんですね〜!

すると他の科の先生がメガネをクイってあげながら聞いてくるんですねぇ〜!



「きみ大丈夫かい?どこが痛いんだい?」


「うぅ〜、キンタマですぅ〜」


「惜しい!私は内科です!」



なぁ〜んてね!





さぁ!ヤマグチのお散歩ランキング!今回はここまで〜!



テッテレッ、テレッテッテッ〜♪












当時リニューアルしたてのリチャードホールを見ているとカーテンが開きました。



以前登場した吉高由里子さん似の女性の看護師さんが懐中電灯を持って立っていました。



吉高さん「山口く〜ん。だめだよ〜。よろっと寝ようね〜」



午前1時で消灯時間をとっくに過ぎていたからティッシュの1枚をはがして薄い1枚にして、その1枚を4つテレビ画面の静電気を利用して貼り付け光を抑えつつ画面はまぁまぁ見えるようにして、巡回している看護師さんの目をごまかしていた僕はマークされていたし「よろっと」は新潟の方言で「そろそろ」という意味なのは誰の目に見ても明らかでした。



僕「すいません・・・!(テレビを消す)」


吉高さん「は〜いおやすみ〜。あ、明日の夜ご飯山口くんの好きな肉じゃがだよ。」


僕「え!?マジすか!?」


吉高さん「(口に人差し指)し〜っ、おやすみ〜。」


僕「うへぇっ」





手術本番までは冬休みの延長のような気持ちでした。

元気な体を持て余していたのでおかあと手術の説明を受けたりして時間を潰しました。













手術前日。

朝の総回診。




泌尿器科には3人の先生がいました。



風格漂う海原先生。

ゴツい体の剛田先生。

そしてもう1人。

30代前半、身長180cm、細い体に優しい顔にキレイなメガネ。

めちゃくちゃイイ感じに成長したサザエさんの中島くんみたいな仕上がりの中島先生(イメージ仮名)。


その中島先生がいらっしゃいました。


中島先生「山口くん。昨日はよく眠れましたか?」


僕「ヤンジャンの最新号が手に入ったので眠れませんでしたよ。」


中島先生「ヤンジャン最近面白いですよね。」



若い先生なので割と共通の話題もあり、シャレも通じる先生でした。



僕「この人知ってますか?岩佐真悠子!」


テーブルに置いてあるヤンジャンの表紙を指差します。


中島先生「もちろん」


僕「カワイイですよね〜!」


中島先生「カワイイですね。こんな彼女が欲しいな〜」


僕・中島先生「えへへへへへ」





そこに風格漂う医師。

海原先生が僕の病室を訪れました。



海原先生「失礼します。」











なんの用だよ。






海原先生「山口くん、いよいよ明日手術ですね。」



僕「はい。宜しくお願いします。」








時事ネタかよ。いいよ今は。

岩佐真悠子さんの話ないの!?はい!ほら!















海原先生「僕の友人にね、山口君と一緒で小さい時に睾丸を一つ取ったお医者さんがいるんですが、その人は今3人のお子さんに恵まれて幸せに暮らしています。だから山口君も安心して手術を受けてください。」


















泣きそうなくらい安心しました。





僕「、、、ありがとうございます。頑張ります。」


中島先生「うん。体に2つあるものの中で、特に睾丸は1つになっても支障が少ないですね。」


僕「、、、そうなんですね!」


海原先生「じゃあ中島先生、行きましょう。」


中島先生「はい。じゃ山口君また。」


僕「ありがとうございました!」


この病院で良かったと心から思いました。








素晴らしいネタを披露してハケていく2人。


相当練習しただろうに、さもその場で会話しているような時間でした。









このコンビを追加合格にしました。







追加合格の手続きをしていた夕方。







満島ひかりさんに似ている婦長さんがやって来てチン毛を剃ってくれました。







おっちょこちょいな僕は約束を破って半勃ちしてしまいました。





これには婦長さんもびっくり!僕はガックリ!







夕飯を食べ終わるとおかあがやって来ました。

今晩は泊まって明日を迎えるとの事でした。



準備万端。

寝て起きたら昼から手術です。














手術当日。



昼食を食べておかあが買って来てくれた紙コップのミルクセーキと共にライオンのごきげんようを楽しみ優雅に過ごしていると、


僕のチン毛を看取ってくださった婦長さんからお呼びがかかりました。









手術の時間です。







その前にトイレに行かせてもらいました。
















キンタマ2つの状態を目に焼き付ける為です。



長めの小便をしに行きました。



触ったり、持ち上げたり、お腹に力を入れて動かしたりしました。












左キンタマ「ごめんね。」


僕「えっ!?左キンタマ!?左キンタマなの!?」


左キンタマ「、、、今はね。」


僕「話してくれてありがとう。俺の方こそごめんね。」


左キンタマ「謝らないでよ。」


僕「全然痛くないところまで頑張ってくれたじゃん!そこからは俺の責任だと思うんだ。」


左キンタマ「、、、ねぇ!未来の話しよう!」


僕「未来の話?」


左キンタマ「右キンタマのやつさ、もともと俺より小さかったじゃん?」


僕「あはっ!確かに!」


左キンタマ「こいつ俺が具合悪くなったらメソメソ泣いちゃってさ。」


僕「頼むよ〜」


左キンタマ「でも最近じゃあ『俺が昌孝を幸せにするんだ〜!』って張り切ってんの!」


僕「えぇっへへ!?頼もしいな〜!」


左キンタマ「だからさ、、、」








トイレの外からおかあ「まさ〜?大丈夫〜?」





左キンタマ「おっと時間だ!じゃあな!」


僕「ちょ、ちょっとなんだよ!今なんて言おうとしたんだよ!」


左キンタマ「楽しかったぜ〜!」


僕「なあ!おいってば!」








おかあ「まさ〜?お腹痛いの〜?」








僕「、、、いや〜スッキリしたよ〜!こんな!こ〜んなでっかいうんこでた!」




おかあ「すごい!快便はいいことだよ〜!」










病室から歩いて1分の手術室に向かいました。

緊張はしていませんでした。

医師達を信じているのもあったのですが、

何より実感がありませんでした。




角を曲がると手術室の前に医師や看護師さんが2〜3人控えているのが見えました。


僕を待ってくれていたのです。


RPGゲームで普段人が立っていない場所に、終盤になると人が立っている演出に似ていました。












なんとこれが効果テキメン!


実感が湧いてきて急に緊張したのを覚えています。


僕「(うわやだ!ナシナシ!ナシで〜す!)」


なんとか一時帰宅の方法を探る僕。



こういう大事な時に僕は大事なものを忘れがちなので、

「忘れ物して手術室入れませんでした。」

を目指して脳みそフル回転。



しかし今回の手術に必要なのは


「不健康なキンタマ」のみ。


手術室に吸い込まれていく僕。







剛田先生が出迎えてくれました。


剛田先生「山口くん!一緒に頑張ろう!」


執刀医は剛田先生でした。


僕のお尻の穴に指を入れた上に、僕のキンタマがダメになった事を発表した張本人。


















ナイスキャスティング。






誰に任せても安心でしたが、剛田先生は肛門も腫瘍も見せた仲です。




僕「はい!お願いします!」

おかあ「お願いします。」

僕「行ってきます!」





おかあを残し手術室に入ります。





手術室は思ったよりも広くテレビでよく見るデカいライトとベッドがありました。



あとは僕がベッドに横になるだけの状態。



ベッドまで歩き、










キンタマ2つにとったら小さな一歩かもしれませんが、僕にとったら大きな一歩を踏み込んでベッドに寝そべりました。



待ってましたと言わんばかりに段取りよく行き交う声。


麻酔師が僕の口にマスクを被せます。


麻酔師「ちょっと甘い香りがします〜。」




全身麻酔。

香りは自分で選んだイチゴ。





僕「うわホントにイチゴの香りすんじゃん、これホントに効く、、、、、、、、、、、、」


















目が覚めると夜の病室でした。







…続く。

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