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【キンタマ1つ無くなった時の話】③







病院で点滴を打って回復したのに翌日激痛が再発して入院する事になった僕は肛門に指を入れられて失意のドン底!しかし目の前に現れたのはマジめっちゃカワイイギャル看護士だったのだ…!





女性の看護士「体温と血圧を測るのが1日2回ね!これを検温って言うからね!覚えておいてね〜!」





身長約155cm、体重約ヒミツkg、約20代前半、約小麦色の肌、約茶髪をツインテールに結び内側に軽く巻き、約安室奈美恵さんに似ていて、約絶対玉の輿を狙ってこの業界に飛び込んで来た彼女が陽気に伝えました。



お兄ちゃんと一緒に見た「池袋ウエストゲートパーク」に登場するギャル達に負けないクオリティのギャルでした。



敬意を込めてイメージ仮名を「ギャル」とします。



僕「(は?ギャルとか余裕だし。俺普通に会話できるし。はい!分かりました!って爽やかに言うだけ。)」


頼もしい思春期の僕はハッキリとこう告げました。











僕「はい!まかりましたっ!」





まかり通らない噛み方をして様子を伺います。







ギャル「は〜い!じゃあ左腕はい!左は体温計!左の脇に体温計ね!挟んでる間に右腕はい!右腕は血圧測るから、そうここに腕入れてね〜。」



ギャルは段取りが良い。



試しに辞書で「ギャル」を引いてみる。






ギャル[gal]
【名】(俗)若い女性。女の子。段取りが良い。意外と。いや意外と。とか失礼なんだけど〜っ!





だいたい合っていて一安心している間に検温が終わりました。





ギャル「うん、特に異常なし!ってか山口くん小5に見えないね〜!私より大っきいねぇ!」





僕「ええ?そうですかね〜?」





ギャル「うん大人っぽい!」





会話が弾む。
そこで勢いを付けるように完璧にギャルに慣れた僕がビシッと一言。













僕「えっへへへっ!」





会話が終わる。





ギャル「じゃあまたね〜!なんかあったらそこのボタン押してね!ナースコールっていうの!」




僕「あぁはい!ナースのお仕事で見たことあります!」




冷静に超早口で相槌を打つ。



カーテンが閉まり検温が終わる。







僕「(すげぇや…)すげぇや…」





思ったし言いました。






ギャルの良い香りの残り香を楽しみながらギャルが居た方向を向いてちょうど視線の先にあった1ヘクタールのお花畑を眺めていると、そこに大きな体の男性のお医者さんが入って来ました。










医師「山口くんこんにちは。検査お疲れ様でした。私◯◯と言います。」








この医師、身長約180cm、体重約100kg、約50代、約白髪、約漫画「美味しんぼ」の海原雄山にめっちゃ似ていて、約絶対泌尿器科のリーダーだったのだ。




イメージ仮名を「海原先生」とします。



この先生。ドラマ「白い巨塔」冒頭の「財前教授の、総回診です。」のシーンに居ても何の違和感も無い風格が漂っています。






海原先生「さっきお母さんにも説明させてもらったんですが、これからの山口くんの治療の流れを説明させて頂きますね。山口君の病名は精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)。思春期の男の子に多いんですが、精巣の上の方が腫れる病気です。山口君はその症状が強く出ています。」





僕「はい…。」





海原先生「ひどくなると患部を取り出さないといけなくなるのですが、しばらくは薬を飲んで様子を見ましょう。」





僕「はい。分かりました。ありがとうございます。」



海原先生「では失礼します。何かあったらいつでもナースコールしてくださいね。」







薄々気付いてはいたのですが、最悪取らないといけない状態でした。











白衣を身に纏った風格漂う先生が小学生にも分かりやすいように言葉をオブラートに包む事により緊張感がキンタマを包みキンタマはそもそもキンタマ袋に包まれているのでお菓子の袋を開けたらお菓子が別個で小さな袋に包まれている状態と同じになりました。






俗に言う「お菓子の袋効果」により一気に実感が湧いたのを覚えています。





さっきギャルがハケて行ったカーテンから、体の大きな風格漂う初老の医師がハケて行きます。









同じ劇場とは思えませんでした。







その背中を見送りながら僕は


















取るわけねぇだろ。



なんだお前?








と思ったのでした。












一方その頃僕のキンタマはと言うと、

















このまま伝説になるくらい痛かったです。





先日、パンツがキンタマに擦れると切りつけるように痛んだ僕の実体験を基に綴った






「パンツはナイフ」






という作品で芥川賞を受賞し、翌日に鳴り物入りで入院した僕。





しかし数日過ごして、そのタイトルを出版社に変更してもらいたいと連絡をしたのでした。













「パンツはナイフで紙やすり」













に、変更して欲しいと。












もう作品は本屋に並んでいたので「もしもし今新宿です。はい。…いや先生!勘弁してくださいよ〜!」と担当さんに却下されましたが僕は絶対にこのタイトルにしたい理由がありました。













218号室から歩いて30秒。




ナースステーションの目の前にあるトイレ。




そのトイレに向かうのに3分かけて歩いていました。









この頃は、パンツが擦れた時はナイフのように切りつけるような痛みが襲い、そうでない時は紙やすりの表面が触れるか触れないかの状態で「ザッ…ザッ」と常時キンタマをやすっていたからです。










僕「そこ、角じゃないよぉ…。丸だよぉ…。」










点滴を吊るす棒が、本来カラカラ転がるキャスターの機能を持て余していました。





点滴を吊るす棒「……カ………ラ…カ……ラ」





あれはもう下がカラカラ転がるキャスターじゃなくてアルミ切りっぱなしの杖で良かったです。









そんな状態ですからナースステーションの前を通ると女性の看護士さんが心配そうに駆け寄って来ました。










その中には先程の安室奈美恵さん似のギャルはもちろんのこと、今思えば満島ひかりさんに似ていた婦長さんと、今思えば吉高由里子さんに似ていた大学卒業1年目の女性の看護士さんも居ました。




サラッと言いましたがとんでもないメンバーです。






だけど僕は思春期。





しかもマジで小学生の時が1番モテてたから、








僕「大丈夫です!えっへへ!だってもう目の前トイレですよ!」



と強がるのでした。





この病院唯一の欠点は













「女性の看護師のルックスレベルが高すぎる」





でした。








男達が強がっちゃうから。






泌尿器科のナースステーションに書類を渡しに来る別の科の医師達は






「彼は一体どのような症状なんですか?」



「僕に何かできる事はありませんか?」



と心配してくれたそうです。
















うるせぇ。












俺は大丈夫だ。













そんな中クリスマスを迎えました。








病院食はショートケーキかチョコケーキかを選べました。








マジで小学生の時が1番仕事出来た僕はショートケーキを選んでおかあにチョコケーキを買って来てもらいました。










だって片方だけなんてイヤだもん。








そしてこの頃、投薬をやめてキンタマを摘出しようかという話が医師達とおかあの間で議論され僕のもとに届いていて、正直僕の一声でどちらか決まる状態でした。











僕は断固としてキンタマ残しの投薬治療を選ぶのでした。


















だって片方だけなんてイヤだもん。








…続く。






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