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熟成がキーポイント

何回かに分けてご紹介してきた『ウイスキーってこんなお酒』シリーズ。
今回はウイスキーの味わいや香りを決定付ける『樽』のお話です。


ウイスキーの色

皆さんはウイスキーの色と聞くとどんな色を思い浮かべますか?
『べっこう色』・『琥珀色』・『茶色』、様々な表現がありますがたいていは茶系統の色を思い浮かべると思います。

しかし、蒸留が終わったばかりのウイスキー、実は『透明』なんです。
それではどのタイミングで色が付くのか。

それが『熟成』です。
そして熟成の際もっとも重要なのが今回のテーマ『樽』になります。

ウイスキーの熟成において、ワインなどはスチールタンクなどを使用している中、実は未だに木製の『樽』が使われています。


樽の種類

ウイスキー樽


熟成の過程で色が付くウイスキーですが、最も重要なのが香りや味わいなどの特徴付け。
発酵や蒸留によって味わいを左右する要素もありますが、決定的なのは『樽熟成』の工程になります。

樽は全てオーク(楢)が使用されていますが、オークだけでも各地域で様々な種類が存在します。
どのオークを使うか、でまた特徴が出るのも面白さの一つ。
その中でも代表的な4種類をご紹介。


アメリカンホワイトオーク
北米産のホワイトオークという木材の種類です。バーボンウイスキーやシェリー酒、ワインなどの熟成に広く使われています。ウイスキー産業で使用されている樽の90%がアメリカンオーク製で、バーボン樽に至ってはほぼすべてこの木材で造られています。

コモンオーク(スパニッシュオーク)
ヨーロッパ産オークの二大オークのひとつです。コニャックやブランデー、ワインの熟成に使われています。このコモンオークの中でもスペイン産のスパニッシュオークがスペインワインやウイスキーの熟成によく使われます。

セシルオーク(フレンチオーク)
このセシルオークがヨーロッパ産オークの二大オークのもうひとつ。フランスのアリエ地区、トロンセ地区、ヌヴェール地区などで多く見られるオークの種類です。ワイン樽やコニャック樽として使われていましたが、スコッチウイスキーやジャパニーズウイスキーの熟成用にも使われます。

ミズナラ(ジャパニーズオーク)
日本固有の希少で高価なオークです。水分が多く燃えにくいのでミズナラと呼ばれます。樽の中の成分がにじみ出るまで時間がかかるタイプの木材で、特長を最大限引き出すにはどうしても長期熟成になります。


そして同じオーク材の樽を使用した他のお酒の使用済み熟成樽を再利用することで、更にウイスキーのキャラクターバリエーションを増やすことに成功しました。

バーボン樽
バーボンは法律により熟成樽を使い捨てにしなければいけない関係で、使用済みの樽が溢れていました。
それを再生しウイスキーに使用することでバーボンの甘みがウイスキーにも加わると言われています。

シェリー樽
スペインのシェリー酒を熟成する際に使用した樽を再利用。
シェリーの華やかな香りと甘みが加わり、ウイスキー界のロールスロイスと言われている『マッカラン』が積極的に使用することから、高級ラインのイメージが付いています。

この他にもワイン樽、ラム樽、ポート樽など様々な種類の樽を使用したものがあります。
たいていの場合、もともとのお酒の特徴を色濃く残すことから、ウイスキーの甘みや重厚な香りを付け加えるために香りや風味が強いお酒の熟成樽を使用することが多いです。


さて、3回にわたりウイスキーの基本的な分類をご紹介しましたが、それを踏まえて、次回はボトルラベルの見方をご紹介します。
ウイスキーが少しでも身近になって頂ければ。

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