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みつもりりっく

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詩集になります。歌詞も合わせて投稿しています。
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#創作大賞2022

あなたはだめじゃないから

あなたの言うことはわかる 死にたいと思う気持ちわかる ぼくも何度も死にたいと思ってきた でもなんだかよくわからないけど ここまで生きてこれちゃった ぼくもそう 自分のことを役立たずだと 何度も思ってきた いくら年を取っても あなたはあなたで きれいごとに聞こえたら嫌だけど これからの人生で 交わることもないかもしれないけど 一つだけ言わせてほしいよ あなたはだめじゃないから だめな人間なんていないから 自分がだめだと決め付けるだけだから なんでこんなこと言うかって それは自分

I LOVE YOUを信じられない

I LOVE YOUなんて軽々しく言わないで 嘘であるという証明がすぐにできるから I LOVE YOUなんて軽々しく言わないで 勘違いさせるテクニックでしょ I LOVE YOUと言う割には あなたはまだ私のことをよく知らない I LOVE YOUと言う割には あなたは私のことを好きではない I LOVE YOUを信じられない 愛してるとはニュアンスが違うから I LOVE YOUを信じられない 乙女の純情を弄ぶには破廉恥 I LOVE YOUなんて軽々しく言わないで

ELUSIVE ROMANCE

徘徊しているんだ街を 傷つけば傷つくほど 素敵になれる気がしてるからね 大人になり損ねて夢に 火を付けて落ちたな灰 コンビニ前で待つ始発早く お互いプライドを盾にして 弱点抉り合ってさ 自堕落なアイランド脇の海 漂流繰り返すんだ 戻ってこいよなんて言えるほど強くない 君といるとまるで万華鏡の中 冷たいんだよな空気が 水たまり踏んで朝もや潜って 埃の舞う巣箱に帰るよ 誰もが初めてらしい人生 飽きてきた一周目で 不思議と部屋が片付いていくな やりたいことやんなきゃ今は

サナギ

こんな姿は誰にも見せられない あなたの温もりが消えた 布団は今でも暖かい 一人だと静かだな 床は冷たい 体は動かない 私はサナギ 春を待つ 空が世界 星は人々 御伽の国へ行けたなら どんなに目覚めがよくなるだろう どこにやったか忘れたイヤリングの 片方抜け殻の部屋の 片隅今でも眠ってる 期待してしまうから どこにいたって 陰から出てくると 私はサナギ 春を待つ すぐに好きが 愛に変わって 絵本の中にいるような 気持ちが目覚めをよくしてくれた 空が世界

夏の隙間(改造バージョン)

二人が並んだバス停 太陽の波見るまでは 見飽きるほどの夢が 瞼の裏に焼き付くなんて 夢にも思わなくて 君と見つめ合うと 瞬く間に朝焼け 星を食んでいく 二人出会えたのは 僕が僕で 君が君だったから 僕が唯一 誇れることは 君と出会えた人生であったこと 涙で滲んだ木漏れ日 振り返る部屋に皺くちゃの 紙切れ転がってる 捨ててきた時間拾い集めて 花束作れたなら 君を思い出すと 雪崩れるように青春 今を飲んでいく 二人出会えたのは 僕が僕で 君が君だったから 君に

名はウルトラス

恐怖の館にいる。お化けが出そうで怖いのに小さなトイレに閉じ込められている。爪の垢を煎じて飲ませたいほどにつゆだくな牛丼を食べている間に、世の中では紫陽花が咲き乱れ、気付いたら、傷だらけになっていた。薄氷の上を這いつくばり、いっせーのせで人間から魂が抜けていく。山を登ろうにも、平地が続いており、突っ走ろうにも路肩にはウイルスがうようよいる。草むしりをしようにも、二輪ではガソリンが足らず、目の画素数が消耗しているのがよくわかる。後にも先にもないだろう、この点滅の先にいくつかの花。

名はアノニマス

幾何学的な模様が海原を抜けていくとそこには最寄りの駅があり、勤務地を越えてさらに進むと丁字路に行き着いた。織り成すメロディーが遠くから聞こえてきて、そこはあたかも楽園のようだった。小津安二郎の声が聞こえてくる。私は破廉恥な目元にキスをするように、アゴのホクロに手を当てた。もう少しボキャブラリーがあればと悔いても時すでに遅し。先生に教わったはずの掛け算も忘れてしまった。肩の骨がボキッと音を立てて、ボールペンの芯が破裂した。いつか艶のある風船が、割れんばかりの拍手喝采を受けること

見えない雨

雨が降る。どしゃどしゃというより、ぬめっと。ぬめぬめと雨が降っている。振り払いたいのに、体中にまとわりつく。心にもまとわりつく。染み付いて取れなくなるまで、ぐんぐんと身も心も蝕んでいくようだ。 体は不快だなと言って、心は不愉快だなと言う。煌々と照る太陽の日差しにさえ、何も感じなくなってしまったかのよう。ほんとうに頭上には、雲の上には、大空が広がっているのだろうか。美しいものを疑いたくなるほど、身体中をじめじめと得体の知れない虫のようなものに侵食されていく。 だから何かと言