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みつもりりっく

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詩集になります。歌詞も合わせて投稿しています。
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こんな夢を見た

薄暗い一室には、密やかな生命の気配が満ちていた。大きく育ったポトスの周囲には、羽虫が飛び交い、その姿が影絵のように壁に映っている。湿度の高い空気が肌にまとわりつき、居心地の悪さを際立たせていた。 私は三十代くらいの夫婦と同じ屋根の下で暮らしているようだが、自分が何者なのかは定かではなかった。ただ、雑用係のような存在であることは感じていた。 キッチンでコーヒーを入れていると、椅子に座っている母親らしき人が、新生児くらいの赤ん坊を抱いているのが目に入った。ふと視界の外から父親

朝が焼ける

好意を疑う 耳鳴りがする 本質は変わらない それ以外が変わる それが複雑だ 誰にも定義されないよう できることはする わざとらしく 書き損じのまま 別の世界に 生きているような 君の自信が 僕を旅人にさせる 雷の日に 不透明な夜に 神経が震える またねと言うから また次がある それだけに救われて また期待を持って 息を整える 不安をよそに追いやるよう できることはする わざとらしく 書き損じのまま 見える景色は 同じはずなのに 君の瞳は 僕をとらえないでいる 昼

手錠

僕は逃げたい 森から逃げたい 予言されたい 愛される日が来ると 次が読めない 保護すらされない 予言されたい 這い上がる日が来ると 終わりに終わりを告げ ここを裂け目にしよう 手錠の鍵を開けて 外の世界へ行こう 過去が暴れて 手懐けられない 予言されたい 抱きしめる日が来ると 次が読めない カオスな信条 予言されたい 手をつなぐ日が来ると 終わりに終わりを告げ 治る裂け目にしよう 手錠の鍵を開けて 夜が飛び立つ前に すれ違う人の顔がない 取り憑かれ始め

ネットは居心地の良い場所

いつのまにか嫌いになってた その場所をぼくはもう一度好きになれるかなんて考えもしなかった 考えもしなかったことを考えてしまった いつのまにか嫌いになってた あの人もこの人もその人も でもほんとうに嫌いなのは自分のこと 風通しの悪い場所に閉じ込められること ぼくにとっての桃源郷は牢屋 ぼくにとっての愛は家族愛 つながるとかつながらないとか 本当はそんなことどうでもいいんだ ぼくにとっての素晴らしい場所が ふたたび復活することを祈ってる それだけじゃ足り

青はブルー

普遍的な満足感による脳細胞が驚きを隠せずあたふたしてしまっているあいだにどうやら侵食されてしまって、もう取り返しのつかないところまできている。ぼくはもういったいどこまで年老いてしまったんだろう。遊びも忘れて仕事も忘れ飲み屋街を歩いているどこへもたどりつけないままふらふらとして罵倒される恐怖感を覚えながらはしごはしごはしご、誰かに天罰がくだるような店先ではカップルが情動に突き動かされていて、もう戻れないあのころの青春を見ているような気がした。後ろから肩をたたかれた気がして振り返

目ん玉

目を開けるといつものように天井が見えて 虚構と真実の区別もつかない 限界を知らせる鐘が鳴っている 君が好きな果物はなんだっけ 思いつくのはぶどう いや 巨峰 増税と法律に縛られて 隣の部屋から赤ん坊の鳴き声が聞こえる ごめんねを先延ばしにした僕にとって もう街を歩くことの罪悪感は消え失せて しどろもどろでも僕から出た言葉は ドアの向こうの君を眠らせる力がある

ここから抜け出させてくれ

子供っぽい夢を持ったまま大人になってしまった 何も与えることができないまま大人になってしまった 苛立ちと哀しみを交互に繰り返しながら 今日もここから抜け出させてくれと騒いでいる 夢も希望もないなんて言うような大人にはなりたくなかった どうすれば恐怖を克服できるのか知らないままだ 何者にもなれない 何者が何なのかも知らないままだ 怖い怖い それは過去と未来を見ているからだろう 頭ではわかっていても心は追いつかない 心は跳び箱を跳び越えてはくれない 人に寄り添うこ

万有引力

君のバカみたいな引力に 惑う僕を鼻で笑うかい 鎖でつながれた犬のように もうどこへも行けないんだ 僕に与えられた能力を 君は未だ知らず笑ってる それはそれとして置いておいて 僕のところにおいでおいで 君がいなければ始まらないよ 僕のストーリー 不確かな夢から目が覚めて 君が隣にいないことを知る 子供のちょっとした上の空で 空に浮かんで消えてくバルーン 過去が未来に見えたのは初 君はどこで何をしている それはそれとして置いておいて 僕のところにおいでおいで 空を愛でる

君は、希望をくれと哭いている。

傷だらけになりながらも生きている君は、希望をくれと言って哭いている。拙い表現に未来を乗っけるようにして、無我夢中で走っているときもある。君には色があるよ。可愛いよ。愛嬌があるよ。君が思っているような君ではないよ。もっともっと純粋で透明で、キラキラしている。それが君だよ。 君は今それをやって傷つくかもしれないね。傷つくのは痛いね。想像だけで傷つくよね。でも、君が生きてくれていることが嬉しいんだよ。君はピュアなんだ。君は気付いてないかもしれないけど。他人からなんと言われようとそ

愛しかないじゃないか(みつもりりっく)

判断だけはせずに 判断したらしたで 誰かのせいにする そんな茶番は終わりだ 決断だけはしない ズルズルどこまでもいく 誰かのせいにする そんな茶番は終わりだ 仮病だけは得意さ 都合のいい話さ 夢だけを見て 現実は見ない そんな茶番は終わりだ 愛を求めているのに 素直になれない ただ寂しいだけなのと 言えないまま 月日が流れる 愛しかないじゃないか 狭くなりそうな心 広くするのが仕事 人目を気にして制御 しないのが僕の仕事 自覚だけがないまま 自覚だけがあるまま 愛し

ぶち抜けジロー!

「激しいエレキの音が聴こえてくる」 「きれいごとだけじゃ生きていけない」 「きれいごとがなくなったら生きていけない」 「夢や希望を忘れたくない」 「夢見る人間をやめたらどうなるってんだ」 「夜中に食うラーメンの味を覚えていますか」 「希望の味がするあの味を」 「立ちくらみから始まるラブストーリーなんてあるわけないじゃない」 「夢を見すぎよ」 「うるせえ 祭が終わったところで 誰が責任取れるってんだ」 「ぶち抜けジロー!ぶち抜けジロー!慌てずに走れ!」 「四歩下がって五歩進

Libido

どこにもないから困ってる Libido ユング返事してくれない 水没したら変死です 何もかもが怠い気がする それは睡眠不足かもね 朝なんて来なければいいのに 運が逃げてく運命 ずっと眠っていたいのに どこか起こされたい はやく死んでしまいたい 同じ気持ちだねと 言える人がいたらいい どこにもないから困ってる Libido バックアップ繰り返して 埋葬すればホトトギス 幸先の悪い墓場だ 天気予報のアプリ消したい 人真似で気持ちよくなれたら 多少マシかな人生 ずっと

放課後ってなに?

そのときにしか書けないリリックがある ぼくがミルク珈琲を飲んでるのも 今という現実を忘れたいからだ 奇をてらった言葉を書きたくなってきた 何にもしたくないという事をしたくなってきた 牛ハラミだけを食って過ごしたい この日常 即興するように 生きていきたい 卒倒するような 経験したい この世界からお金が消えたとしたら だれがぼくのヒーローになるかなって 考えた 現実を忘れたいために 「放課後」ってワードを検索かけた夜 言葉にしたくないという言葉物語っている 考える人に

五感deダンス

ああ 頭がくらくらする 排水口に吸い込まれそうだよ 僕のドラマには君がいて 現実に紙吹雪撒く 網膜が剥がれそうな明け方 脱ぎ捨てられたスニーカー 海馬が血走ったまま 僕のいう愛と 君のいう愛が 同じだったらいいのにね ああ グラスに滴る汗 細胞達がスクランブルする 僕のドラマでは君がいて 本能に火を付けてくる 鼓膜が破れそうな踊り場 いつまで歌うスピーカー ネオンを散りばめた街 低気圧からは 逃れられなくて 誇大妄想はかどるね 僕のドラマには君がいて 素面でも