青はブルー

普遍的な満足感による脳細胞が驚きを隠せずあたふたしてしまっているあいだにどうやら侵食されてしまって、もう取り返しのつかないところまできている。ぼくはもういったいどこまで年老いてしまったんだろう。遊びも忘れて仕事も忘れ飲み屋街を歩いているどこへもたどりつけないままふらふらとして罵倒される恐怖感を覚えながらはしごはしごはしご、誰かに天罰がくだるような店先ではカップルが情動に突き動かされていて、もう戻れないあのころの青春を見ているような気がした。後ろから肩をたたかれた気がして振り返るとトイレットペーパー争奪戦に巻き込まれた、父親がいる。デパートの中にトイレットペーパーがいたるところに隠されているという。ここには30人いる。トイレットペーパーの数はわからない。スタートの合図もなしに大勢が走り出す。ぼくは一人で佇んで目眩を覚えた。ドラクエのゲームの中にいるのか、そんなはずがない。そうこうしているあいだにすべてのトイレットペーパーはなくなった。僕の分はなくなったから怒られる。居残りで立たされる。海の青と空の青が重なるところに過去が見えて、この延長のなかに僕の未来もあるんだと思うとなんだかようやく息が吸えた。青はブルー。不貞腐れたあの子にもう一度連絡してみるのも悪くないかと思って、やっぱりやめた。振り返る静寂に誰かいる。それがもう一人の僕なら、素直に悩みを打ち明けられるだろう。また会おうね、そんな声が聞こえた。

苦しいからこそ、もうちょっと生きてみる。