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Day.7 理想と現実の間をずっと追いかけてる(良い映画に出会ったので、1コマ進む)


夜に予定がないと、映画をみるとか
片っ端から商業施設をぐるぐるまわったりします。

先日は、映画の日。
「EIGHTH GRADE 世界でいちばんクールな私へ」

夕方から夜にかけての時間に観て欲しい映画。

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物語は、中学卒業の1週間前の夏。
エイスグレード(8年生)のケイラは、仲の良い友達がいるわけでもなく、ただ学校に"存在"する日々。
しまいには、学校で「一番無口な女の子」というレッテルをはられてしまう。


Youtuberであり、コメディアンであり、ミュージシャンでもあるボー・バーナムの監督作品。
ついにYoutuberが映画制作にやってきた・・・!
『レディ・バード』などを作る制作チームがボー・バーナムの作品に血肉をつけ、映像が、音が、ティーンのささくれだっている感情をとてもうまく表現している作品。

この物語は、 #8月31日の夜に に近い。
10代の危なっかしいその感情と言動と、現代にきっても切り離せない"SNS"が取り巻く、アメリカの今の物語。そして、父の愛。無条件に愛するが体現されている愛。

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危なっかしい10代の感情への描写

私は日常の中で、理想と現実のラインを近くしたり、遠くしたりしながら、走っている感覚に陥る。それは、10代に限らず、今もずっとそう。
映画の中で、主人公のケイラも、SNSに上がる同級生の今と、自分の今の乖離にとても苦しむし、4つ年上の"大人"の日常に憧れて、背伸びしきれない背伸びをする。
彼女のそれらは、とても観るに耐えないくらい恥ずかしかったり、気まずかったりして、映画館でそわそわした。(共感性羞恥の傾向がある人は、ちょっと見づらいところがあると思う。)

印象的だったシーンは、彼女が中学入学の時に埋めたBoxを燃やした時、そこには、

just organized Hopes and dreams

がはいっていたという。

そこにあったのは、希望とか夢のかたまりで、でもそれは過去の話。
観たくないものって、そっと閉じておきたくなるし、確かに燃やしたくなる。そして、過去の自分に、ごめんねって思うよね、その瞬間。

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無償の愛が最大の武器の父

アメリカはスーパーマン文化である。
たくさんの映画で、一人の主人公が一気に全てを助けてくれるスーパーマンになる。
でも、近年、スーパーマンが寄り添ってくれるものも増えた。

ケイラの父もその一人。
片親、性別の違う娘。

希望や夢を燃やした娘に、無条件の愛を伝える。誰しもが愛される立場にあるわけじゃないけど、あの描写で、ケイラは、父であるマークからとてもとても愛されているという、逃れのない事実と出会う。

このシーンが本当に良い。

これ以上、本当に言えないけど、親になるって素敵なことだなって思う。
親は最大の応援団だよってどこかで言われたけれど、本当にそう。

口ベタで、反抗期の娘との関わり方がわからないけど、最大に愛しているのが伝わる、そんな素敵な父役を演じたジョシュ・ハミルトン、よかったなぁ。

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観終わってこの感情に懐かしさを感じて、これはなんの懐かしさかと記憶をたくさん遡ってみたけど、冒頭で触れたように、ちょうどnoteやNHKで #8月31日の夜に が流行り始めた頃に似ていた。

大人が、子供にあの時の無慈悲な思い出を、子供達の今と自分たちの今を重ね合わせている。


「現代では葛藤は自分の頭のなかにあって、孤独をみんな感じている。でもそれこそが人間の本質でもあると思う。ヒエラルキーのような階級システムをぼくは全く理解できない。この作品では若い人を描こうと思っていたわけではなく、たまたま彼らの姿を通して、生きるとはどういうことなのかを描いた作品だと考えています。大人と同じように子どもたちも、人間の本質を経験し、主観性を持った人間がグループのなかでどうやって適応すればいいのかと悩んでいるのです」
ー「『エイス・グレード』ボー・バーナム監督が語る、ジョン・ヒューズ学園映画と十代の“怖さ”

サントラもとてもよかった。すぐ聴ける時代。


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