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ヤシカ44の35mmフィルム化 その4


前回のつづき


まずは、
35mmフィルム用に改造したヤシカ44の不便な点を纏めてみます。

・フィルムの取り出し
・フィルム送り量の不安定さ
・露出計の取り扱い





もう少し詳しく書くと


フィルムの取り出しとは、前々回にも書きましたが
35mmフィルムは撮り終わった後にフィルムを巻き戻す必要があります。

しかし127フィルム用のヤシカ44にはその機能がありません。
これではフィルムを取り出すのに暗室が必要となるし、手動で巻き戻すのはとても大変です。

出先でフィルムを1本撮り終わったので次のフィルムに交換したいと思っても簡単には出来ません。





フィルム送り量の不安定さについても前々回触れていますが、
127フィルムを想定して巻き上げ部分が設計されているヤシカ44では35mmフィルムを安定して送る事が出来ません。
コマ間にかなり余裕を持たせて撮影する事は出来ますが露光面積が増えたせいでただでさえ減っている撮影可能枚数がさらに減ることになります。



露出計の取り扱いについては、
ヤシカ44は露出計が内蔵されていないため外付けの露出計かスマホアプリを使う必要があります。
現在、露出計は持っていないので撮影の際にはスマホを取り出しロック解除とアプリ立ち上げを行い計測して仕舞うという作業が必要です。


カメラを持ちながら片手でこの一連の動作をするのは大変でそのうちスマホを落として割りそうです。これもなんとかしたいところです。





では、一つずつ解決していきましょう。



まずフィルムの取り出しについては、
35mmフィルムのパトローネ側の軸に巻取りノブを付けます。
送り側の軸を固定している方のノブをドリルで揉んで破壊・除去します。
穴から35mmフィルムを覗き込んで見ますがどうやら穴の軸とパトローネの軸がズレているみたいです。
私はM3のナットをヤスリで削ってこんな感じで固定して軸を出しました。

巻取りノブも適当な物が無かったのでM3のネジやナットと圧着端子を組み合わせてこんなものを作って装着しました。

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このナット部分にはイモネジで締め付けるタイプのツマミを装着します。

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これでカメラの外側から35mmフィルムの巻取りが出来るようになりました。



と言いたいところですが、巻取り側の軸は回転方向が固定されており逆回転は出来なくなっています。

なので今度は巻き取り側の軸の加工をします。

りか撮影_170920_0034zzz


こちらはレバー側の軸にバーが入っていてこれが軸を回転させる働きをしています。
まずこのバーをラジペンでもぎ取ります。



このままでは巻取り(フィルム送り)が出来ないので、反対側に付いているノブと軸を固定します。
このノブを回すことでフィルム送りをしようという事ですね。


ここはただ接着しただけではすぐ取れてしまうので、物理的に噛み合うようにヤスリで凹凸を作って組み合わせます。
ついでなので、別のジャンクカメラから取り出した部品に置き換えてしまうのもいいです。


ただ
この部分は後でさらに別の問題が発生するのですが、軸が太いと36枚撮りフィルムを全て巻き取るスペースが無くなってしまいます。
なので私は最終的に3Dプリンタで細めの軸を作って使いました。

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古い3Dプリンターで作ったので見た目がショボいですが・・・
ついでにパトローネの位置を固定するコの字形の部品も作ってみました。

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フィルムのパトローネが左右に動くのをこれで止めます。

これで、フィルムの送りと巻取りが可能になりました。






そして
フィルム送り量の不安定さについてですが、
理想は35mmフィルムカメラの様にパーフォレーション(フィルムの左右の穴)に嵌る歯車の様なパーツを追加して、一定の回転数回ると巻き上げ(フィルム送り)が止まるという仕組みです。
でもさすがにそれはスペース的に無理です。


なんとか実現できそうなものとしては、
新たな軸を追加してその軸をフィルムが回すことでカメラの外側からフィルムの移動量を視覚的に確認するという仕組みです。

具体的には、カメラの筐体に二箇所穴を開けて
滑り止めにゴムを巻いたパイプを内側に入れて外からM2のネジで止めるという加工をし、片方のネジ部分には時計の針的な目印を一緒に固定します。

りか撮影_170920_0033kkk

これで目印がn回転するまで巻くという使い方で安定したフィルム送りが可能になります。


ただここでも一度失敗をしています。
追加した軸の遮光があまく、光漏れを起こしました。

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穴から漏れた光で赤く感光してしまっています。


これについては内側にゴムブッシュを追加することで対策をしています。



これで
35mmフィルムカメラと同等の使い勝手になったのではないでしょうか。




あとは露出計が内蔵していないのでその検討を次回行いたいと思います。




続きます。



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