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確証バイアスをどう防ぐか?

今回は、MSIに関連したコラムです。
気軽にお楽しみください。

今回の内容は、ロサンゼルスの理学療法士 諸谷先生のMovement System Monthlyに参加して、感じたことから発想を得ています。
この内容から、
・思い込み=確証バイアス
・確証バイアスを防ぐことはできるか?
上記2点について学びと気づきがあったので、まとめていきます。


今月のMovement System Monthly

MSIを基にした臨床では、問診で症状を確認した後に、立位で標準検査と呼ばれる数種類の評価を行います。
立位アライメントや片足立ちなどです。
その検査をもとに、仮説="仮の分類名"をつけてその後、臥位での評価に入っていきます。

今月のMovement System Monthlyでは、諸谷先生が症例を提示してくれました。
膝の前面が痛いランナーの症例で、膝が内に入るKnee inのパターンが明確にみられる症例でした。
Knee inパターンで痛みが生じているのを、私も臨床で多く経験していたのでそれが痛みに関連していると思いながら見ていました。
しかし、症例の方はそのパターンを修正しても痛みが改善せず、別の要因が痛みの原因でした。

膝が内に入るKnee in

画像は動作分析と治療マネジメントから引用

https://arch-seminar.com/posturalanalysis/『knee-in-toe-out』の運動連鎖について/

思い込み=確証バイアス

この症例を見て、自分の思い込みで決めつけたり、思考停止になってしまうことの危険性を感じました。
経験を積むにつれて、パターンで症例の方の痛みを解釈することができるようになります。
しかし、これは自分の思い込みに症例の方を当てはめてしまう危険があります。
これを心理学では、確証バイアスと呼びます。

確証バイアス(かくしょうバイアス、: confirmation bias)とは、認知心理学社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと[1][2]認知バイアスの一種。

https://ja.wikipedia.org/wiki/確証バイアス#:~:text=確証バイアス(かくしょうバイアス,認知バイアスの一種%E3%80%82

今回、私は症例紹介を見ながら、見事に確証バイアスにハマってしまっていました。

確証バイアスを防ぐことはできるか?

確証バイアスから逃れる方法はあるのでしょうか?
経験(確証)バイアスを完全に避けることは難しいと言われています。
しかし、働き方研究所の記事を参考にすると、以下の3点を注意することが有効と記載されています。

1. 失敗事例の検討
2. プロセスを見直す
3. 反対意見を探す

https://www.teamspirit.co.jp/workforcesuccess/diversity/2021-005.2.html

これを理学療法の現場に置き換えて考えます。

1. 失敗事例の検討

改善が見られなかった事例を、しっかり見直すことが重要です。
しかし、失敗を認めるという部分も難易度が高いです。
そのため、客観的な指標などを用いて、改善しているかどうかを測定することで改善の有無を知ることができます。

2. プロセスを見直す

MSIでは標準検査を丁寧に行う事に尽きるかと思います。
全ての検査を行うべきですが、やり切れない部分やつい省略している部分を丁寧に評価することで見逃しを防ぐことができます。
また、整形外科的テストや圧痛所見などを参考に組織学的な面から、仮説に矛盾がないか検証することも有効です。

3. 反対意見を探す

同じ職場の人では、どうしても似通った意見になりがちです。
個人情報の関係もあると思いますが、別の視点から意見をくれる方の存在が大切です。

バイアス

画像はキーセッションHPから引用

https://keysession.jp/media/confirmation-bias/

まとめ

今回は、Movement System Monthlyに参加して、自分が確証バイアスにハマってしまった件についてまとめました。
人間は簡単にはバイアスから逃れることはできません。
しかし、バイアスから逃れられないという事実を理解することは出来ます。
自分の意見はバイアスで偏った状態であることを理解することで、自分の間違いに気づきやすくなる環境を作ることが大切
です。

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