見出し画像

ひむか神話街道 ~ 木花神社を訪ねて

本日は、天皇陛下のお誕生日ですね🎌✨
 
日本の天皇は、初代・神武天皇から第126代・今上天皇に至るまで、万世一系の皇統を維持してきた訳ですが、本稿の終盤では、この万世一系の重要性について、少しだけお話したいと思います。

1 今回の主役は、木花佐久夜姫
前回、天孫・瓊瓊杵尊の降臨と天の逆鉾をクローズアップしましたが、

今回は、天孫・瓊瓊杵尊のお妃となった木花佐久夜姫(このはなさくやひめ)が主役となります(カバー写真は、木花神社の境内に装飾された木花佐久夜姫の像)。

2 瓊瓊杵尊と姫君の出逢い
地上界に降臨した天孫・瓊瓊杵尊は、笠沙御崎で美しい娘に会いました。

尊が「あなたは誰ですか?」と尋ねると、娘は「大山津見神(おおやまつみのかみ)の娘、神阿多都比売(かむあたつひめ)です。別名を木花佐久夜毘売といいます。」と答えました。

天孫と姫君の出逢い

大山津見神は「天孫の命が石のごとく永遠で、木の花が咲き誇るように栄えて欲しい」との願いを込めて、磐長姫(いわながひめ)と木花佐久夜姫の二人の娘を送り出していたのですが、瓊瓊杵尊は、あまり美しくなかった姉の磐長姫を親元に返してしまいました。
 
長寿の象徴であった磐長姫を娶らなかったため、瓊瓊杵尊に「寿命」が与えられたといわれています。
 
3 父は、山の神
姫君の父・大山津見神は元々、山の神でした。時代は下って、大山津見神をお祀りする大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)(注1) が建立されると、村上一族などの海賊衆や水軍、近代海軍から現代の海事関係者から、海の神としても信仰されるようになりました。

(注1) 日本総鎮守(日本すべての氏神さま)とされている大山祇神社がある大三島は、古くは「御島」と呼ばれる神の島である

4 その名に込められた意味
それにしても「このはなさくやひめ」とは、何とも優雅でチャーミングな名前ですね。

神名にある花とは、特に「桜」を意味します。つまり、「咲き誇る桜のように美しい姫君」ということになります。

5 壮絶な出産
しかし、その優雅な名前とは裏腹に、出産は壮絶なものでした。

瓊瓊杵尊は、一夜で身篭った姫君に「国津神(注2) の子ではないのか」と疑いました。

姫君は、疑いを晴らすため「天津神(注2) である瓊瓊杵尊の本当の御子なら、何があっても無事に産めるはず」と言って、産屋に籠って火を放ち、その中で火照命(海幸彦)、火須勢理命、火遠理命(山幸彦)の三人の御子を産んだのでした。

(注2) 高天原(天上界)にいる神々や高天原から天降った神々を「天津神」、葦原中国(地上界)に現れた神々を「国津神」と呼ぶ

6 木花神社について
木花神社は、宮崎市の南部、宮崎大学の東側に広がる田園地帯の小高い丘の上にひっそりと建っています。

木花神社の場所
(Created by ISSA)
左上:神社の鳥居 左下:神社の境内  
右上:入口の看板 右下:木花佐久夜姫像
(Photo by ISSA)

田畑の向こうには青島、反対の西の方には、天孫降臨の地・高千穂峰が見えます。

瓊瓊杵尊は、高千穂峰から海を見つけ、この辺りで姫君と出逢ったといわれています(諸説あり)。

木花神社から青島方面を望む
(Photo by ISSA)

境内の脇に、姫君が火を放って出産した産屋があったとされる無戸室(うつむろ)の跡がありました。

無戸室の跡
(Photo by ISSA)

階段を下ると、三皇子の産湯に使ったとされる霊泉桜川があります。

霊泉桜川
(Photo by ISSA)

7 姫君の御陵
宮崎市の北約40kmにある西都市には、姫君の御陵といわれる女狭穂塚(めさほづか)があり、その隣には瓊瓊杵尊の御陵といわれる男狭穂塚(おさほづか)があります。

1997年までに宮崎県が行った測量調査による再現画像は、県立西都原考古博物館で観ることができます。

男狭穂塚(右)、女狭穂塚(左)
(Photo by ISSA)

以前、鹿児島県北西部にある瓊瓊杵尊の御陵がある可愛山陵(えのさんりょう)をご紹介しましたが、

男狭穂塚が瓊瓊杵尊の御陵だとすれば、瓊瓊杵尊の御陵は2つあることになりますが、これについては、1874年に可愛山陵に治定されており、男狭穂塚の方は陵墓参考地(りょうぼさんこうち)(注3) ということになります。

(注3) 過去に天皇や皇族が埋葬された可能性があるものの、特定には至っていない墳墓のこと

よく宮内庁管理の陵墓で見かける看板
(Photo by ISSA)

現在、男狭穂塚と女狭穂塚は、宮内庁により管理されています。

男狭穂塚、女狭穂塚への入口
(Photo by ISSA)

御陵は、神話の世界と現実の世界を結ぶ接点なのかもしれませんね🎗️


おわりに ~ 揺るぎない血統の重要性
瓊瓊杵尊は、天照大御神の孫であり、三種の神器を携えて他の神々とともにこの地に降臨した神ですが、「姫君のご懐妊をお疑いになるとは、何と器の小さいことを仰るのか」と感じられた方も居られるかもしれません。

ただ、ここで大切なポイントは、天津神から受け継がれた揺るぎない血統が、如何に神聖で核心的に重要であるかということが、木花佐久夜姫の出産をめぐるこの神話を通じて、語り継がれてきたということです。

私は「女性」天皇には賛成ですが、
「女系」天皇には反対の立場です。

似たような言葉ですが、
そこには「雲泥の差」があるのです。
 
女性天皇に係る論議は、天皇の性別が焦点です。しかし、過去8人の女性天皇が存在し、その適格性は、推古天皇の優れた外交手腕などからも証明されています。今更、女性天皇を否定する理由など何処にもありません。

一方、女系天皇に係る論議は、万世一系が焦点です(「女系」とは血統外にある者、特に「血統外の男性」の意味合いが大きい)。

また、これらの論議は、しばしば「女性の権利」と混同されがちですが、そもそも天皇に権利などという概念は存在しないのです。

これまでも note で取り上げてきましたが、

日本の皇室は、利権や私欲にまみれた他の王侯貴族とは全く異なります。

天皇の地位、そこにあるものは、
「一生をかけて国家の安寧の為に尽くす」
という御公務
なのです。
 
そのことを理解しないまま、安易に女系天皇( ≒ 血統外の男性天皇)を認めてしまうと、「まがい物」がこの国の中枢に入り込み、天津神から受け継がれてきた皇統の神聖さが揺らいで、日本の素晴らしい文化や、日本人の美しい心が損なわれてしまうのです。

  万世一系とは「まがい物」を
  排除するシステムである

私たちは、神話という物語を通じて太古から伝えられてきた重要なメッセージについて、今一度、真摯に耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昨年10月、天皇皇后両陛下が御行啓で当地にご来訪された際、降りしきる雨の中、沿道で敬意をもってお出迎えさせて頂きました。

ほんの僅かな時間でしたが、心から身震いするような感動と喜びで一杯になりました。

天皇皇后両陛下の御行啓
(Photo by ISSA's friend)

私は、これからも万世一系の天皇と共に栄えゆくこの国を愛したいと、いつもそう思っています🍀