英語翻訳:ウォーホルの死生観2
アンディ・ウォーホルの名言(?)を翻訳するとどうなるかを考える。
①I don't believe in it(death),
②because you're not around to know that it's happened.
前回は①を翻訳した。今回は②を翻訳する。
もともとは①と②の両方でひとつの発言だ。
because
because(ビコーズ)=「なぜなら」という単語が入っているから、②は①の理由を書いている。
ここでいうyouは、発言を聞く私たちであり、ウォーホル自身も含めているかもしれない。日本語の会話でいう「自分」と同じような使い方だと思う。
だから、「あなたは」と訳さなくてもいいだろう。
around
そしてyou are aroundの否定、you are not aroundだから「あなたはaround(アラウンド)していない」ということになる。
このaroundが難しい。意味は「周る」「周りに」「周りの」。round(ラウンド)にaがついた形だ。
to know(トゥー・ノウ)=「知ること」だが、きっと「知るために」と訳した方がスムーズだと思う。この前にaroundがあるということは、「知るために周らない」となるが、これだと意味がわからない。
「知るために周りにいない」とした方が自然だ。もしかするとyouの次にくる're=areが、日本語でいう「いる」みたいな意味を持っているのかな。
that
そこにthat(ザット)が入る。このthatに意味はない。ただ単に、it's happendという文章があるから、この2つをくっつける目的がある。
it's happendは受け身形。「それが起こった」という意味になる。普通のit happensではダメなのだろうか。
「それが起こった」+「知るために周りにいない」ではうまくくっつかないので、「それが起こったとき、あなたはそれを知るために周りにいない」にしておこう。
かなり周りくどい言い回しだが、まだitやyouを省略する段階ではない。
このitも前回の記事と同じく、死のことだろう。
どこから観察するのか
ということは、死を出来事として表現していることになる。そのとき周りにいないというのがとても不思議だ。
「交通事故が起こったとき、周りにいなかったのでそのことを知らない」と言うならまだわかる。
でも、自分自身の死に対してaroundと表現するウォーホルは、それを他人事だとでも思っていたのだろうか。