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【Rock50%】究極!『Johnny B. Goode』3選【Roll50%】

『Johnny B. Goode』には無数のバージョンがある。もともとはチャック・ベリーという天才ロックンローラーの曲だ。誰もが一度は聞いたことのあるあのイントロで始まる。

原曲がリリースされたのは1958年。そこから、様々なアーティストがカバーし尽くした。エレキギターを弾く者すべてが憧れ、あらゆる形に解釈された。映画『バックトゥザフューチャー』でこの曲を知った人も多いと思う。

今回はnoteの募集「#スキな3曲を熱く語る」というテーマのもと、Johnny B. Goodeのなかでも特にロックでロールなものを紹介したい。


スコア判定基準は以下の通りとする。

ハジけ:楽器のうまさではなく、どれだけハジけているか

オリジナリティ:自分にしかできない演奏を表現できているか

歌唱力:ボーカルとしてちゃんと歌えているか

反抗:どれだけ反抗的であるか

リスペクト:原曲をリスペクトしているか


①Jimi HendrixのJohnny B. Goode


いきなりとんでもないギタープレイを叩きこむジミヘンドリックスから紹介したい。

★★★★★★★

ハジけ:あたたたたたたた

オリジナリティ:あたたたたたたたたたたた

歌唱力:あたた

反抗:あたたたたたた

リスペクト:あたたた

★★★★★★★

さすがステージ上でギターを燃やしたROCKの申し子ジミヘンドリックスである。途中、スピーカーから出てくるノイズをトレモロアームで操っている部分がある。このレベルで尖った演奏は後にも先にも存在しない。

ギターソロを聴けば聴くほど、アンプかスピーカーが故障したんじゃないかと思わせてくれる。ありえないベースラインを弾いているバンドメンバーも熱い。これは彼のバンド『ジミヘンドリックス・エクスペリエンス』によるものなのだろうか?とにかくドラム、ベース、ギターが宇宙的な領域に達している。人間の限界をちょっとハミ出している。

特にオリジナリティがすごい。たぶん本人もこの演奏を再現できないと思う。

ただ、歌唱力という点ではぶっちゃけ何を言ってるのかよくわからない。いちおうこの曲には「盲目のジョニーという少年はギターがうまい。ジョニーはいつか世界を変えるぜ」という素晴らしい歌詞があるので、そこを伝えきれていないのが残念である。

あと反抗という面にかんしても、せっかくだからギターを壊すか、燃やすぐらいやってほしかった。あるいはギターで客を殴るとさらに加点できただけに、もったいない。

また原曲からも遠すぎるのでそこのスコアの伸び悩んだ。ドラムを叩いているのはミッチ・ミッチェルだろうか?この人は本当に原曲を聴いたのか?と思うほど自由奔放に叩いている。あとどこが曲の終わりか、どうやって把握したのかも気になる。


②The BeatlesのJohnny B. Goode

ジミヘンドリックスとは比べ物にならないほど優等生な、カバーのお手本のようなJohnny B. Goodeである。

★★★★★★★

ハジけ:あたた

オリジナリティ:あたた

歌唱力:あたたたたたたたたた

反抗:あた

リスペクト:あたたたたたたたたたたたた

★★★★★★★

歌っているのはジョン・レノンだろうか。ポール・マッカートニーだろうか。これなら歌詞を聞き取りやすい。ただし、この演奏でいちばん熱いのはリンゴ・スターのドラムである。

実は原曲はエイトビートではない。微妙にスウィングしている。なのでロックンロールというよりはリズム&ブルースの激しめの曲のような印象がある。詳しくはローリングストーンズのキースというおっさんのインタビューを読んでほしいが、この微妙なスウィングがROCK'N'ROLLのROLLの部分なのである。

この点を理解していないシャバ僧は現代のロック界にたいへん多い。ロックってつまりエイトビートでしょ?と思っている初学者はとにかくこのビートルズ版Johnny B. Goodeをしっかり聴きこむように。

しかしながら、原曲をリスペクトするあまり、反抗やハジけの面でスコアが伸びなかった。もうちょい自分なりの歌やギター演奏を入れてもよかったのではないか。

これはBBCという国営放送のスタジオで演奏している。だからあまりハジけられなかったのかもしれない。しかし、国営放送こそいちばんハジけるチャンスである。もっと放送禁止用語を連発もしくは女王陛下をディスるぐらいしていればハジけポイントも伸びたのだが...

ギターソロについても、原曲のチャック・ベリーに良くも悪くも近すぎる。ようするに真面目すぎるのだ。もう2度と放送してもらえないぐらいの覚悟で爆ぜろや。

おなじイギリス出身のバンドでありながら、歌詞を全無視しつつ、しかも途中で飽きて録音を中断させたセックス・ピストルズを見習ってほしい。


③Jerry Lee LewisのJohnny B. Goode

ジェリーはピアノ+ボーカルというアンジェラ・アキstyleで参戦。そもそも原作者のチャック・ベリーより先輩である。

★★★★★★★

ハジけ:あたたたたたたたたたた

オリジナリティ:あたたたたたたたたたたた

歌唱力:あたたたたた

反抗:あたたた

リスペクト:あた

★★★★★★★

今回の3選では最も活舌がいい。というかジミヘンドリックスの活舌が悪すぎる。

まず何より、例のロック界1有名なイントロを弾かないというハジけぶりを称賛したい。普通、この曲をカバーするなら例のイントロで客を沸かしたいものだが、いきなり歌うという独創性を見せた。

しかも2番からは全く原曲をなぞらない。なんか途中で客を煽ったり、調子の悪いマドンナみたいな声で『フゥ↑』みたいなことを言っている。下手すると、ジェリーは原曲を1番しか知らない状態でこのライブに臨んだのではないか?と思うほどに自由だ。

リスペクトというよりは、そもそもチャックの先輩なのでむしろ「ロックのお手本を見せてやるぜ」ぐらいの気合を感じる。しかも途中、まったくピアノを弾かなくなる部分があってさらにロックだ。もしかしたら水を飲んでいたのかもしれない。

ただし、反抗というポイントについては低いスコアとなる。というのは、バックバンドがうますぎるのだ。ジェリーの温度に合わせて曲のテンポやダイナミズムをしっかりと上下させている。『のど自慢』の伴奏のバンドぐらいうまい。

うますぎるとかえってROCKイズムが弱くなるといういい見本である。

Johnny B. Goodeには『無限の可能性』がある

今回は3曲しか紹介していないが、ほかにもグレイトフル・デッド、セックス・ピストルズ、ジューダス・プリースト、エルトン・ジョンなど、それぞれが独自のJohnny B. Goodeを試みている。

楽器を演奏できる者は自分なりのJohnny B. Goodeを表現して、世の中にそれをリリースしてほしい。きっと世界が変わるはずだ。




#スキな3曲を熱く語る