ボムちゃん

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ボムちゃん

音楽教室を経営しています。 https://mosamosa-works.net/drumschool/

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  • 短編小説 『マスク 〜僕らは素顔で生きていく〜』

最近の記事

三人の奴隷 〜理不尽な世界から抜け出した者と残った者〜

※この物語はフィクションです   昔々、あるところに、三人の奴隷がいました。 三人は元々人間社会で人間らしい生活を営んでいましたが、天変地異が起こったある日、そのパニックに乗じて奴隷として連れて来られました。 奴隷たちは、労働以外のことを自由に出来ぬよう手足には枷(カセ)をはめられ、労働以外のコミュニケーションをしないよう顔には口輪(クチワ)を付けるよう言われていました。   三人のうちの一人は、これが理不尽でおかしな事だと感じていました。 口輪を外し、自分の意

    • 新しい生活様式って言葉、何か違和感ありません?? 〜とある先生と教え子の会話〜

      『新しい生活様式』って言葉、何か違和感ありません?「ところで先生は今回の騒動について、なぜおかしいと思うようになったんですか?」 「最初から変な違和感があったんですよ。そう感じる点はいくつもあるんで、挙げるとキリがないんですけどね」 「具体的にはどんな事ですか?」 「例えば騒動の当初から言われている『新しい生活様式』って言葉、何か違和感ありません?まるで元には戻らないようなニュアンスじゃないですか?」 「言われてみれば、たしかに」 「マスク・ディスタンス・オンライン

      • 【短編小説】パンデミックとじいちゃんと俺

        ※この物語はフィクションです 1. 就職を機に大阪から東京に出てきて一年半。 俺は今、じいちゃんと二人暮らしをしている。 家を探し始めた時期が遅かったからか、なかなか物件を見つけることができないでいると、 東京で一人暮らしをしている母方の祖父から「上京するならウチに住んでもいいぞ?」と連絡があり、 物件探しに疲れていたのと、家賃が浮くのは助かるので、同居させてもらうことにした。 いわゆる居候ってやつだ。 こうして俺は、去年の春からじいちゃんと二人暮らしをしなが

        • 【短編小説】マスク〜僕らは素顔で生きていく〜 (後編)

          ※この物語はフィクションです 7. 買い物に出かけていたワシと妻は、 町で出会った少年とカフェでお茶をすることになった。 隣のT市からやってきたという彼から、 T市では未だにマスクをつけて生活することが 常識になっているという話を聞いた。 そして少年は、そのことについて 徐々に疑問を感じるようになってきたとのことだ。 彼をカフェに誘ったのは、 鼻や口をしっかり白い布で覆っているその姿に 大人としての責任を感じたのも多少あるかもしれない。 別に大した正義

        三人の奴隷 〜理不尽な世界から抜け出した者と残った者〜

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        • 短編小説 『マスク 〜僕らは素顔で生きていく〜』
          3本

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          【短編小説】マスク〜僕らは素顔で生きていく〜 (中編)

          ※この物語はフィクションです 4. 妻と買い物がてら町をブラブラ散策していると、 とある少年に目が留まった。 今時マスクをしているので、 隣のT市からやって来たのかもしれない。 気がつけば、あの騒動から十数年。 ワシらは本来の姿を取り戻すことができて すっかり普通の日常を過ごすようになったが、 あの騒動をきっかけに始まったマスク社会が 未だに続いている町もあると聞く。 T市から引っ越してきた知人の話では、 T市では未だにマスクの着用を促すアナウンスがメ

          【短編小説】マスク〜僕らは素顔で生きていく〜 (中編)

          【短編小説】マスク〜僕らは素顔で生きていく〜 (前編)

          ※この物語はフィクションです 1. 僕が住んでいる世界では、 人はこの「マスク」というやつを顔につけて生活している。 これをつけないとこの世界で生きていけないらしく、 生まれた時からつけることになっている。 ただ、時々疑問に思うことがあって、 それはマスクをつけている生き物は人間だけだということ。 家でも学校でも「マスクをしないのは危険だ」と教わってきたけど、 なぜ他の生き物はマスクをしないでも平気なんだろう? そういえば昔の人はマスクをつけていなかったら

          【短編小説】マスク〜僕らは素顔で生きていく〜 (前編)