社会的便益向上(Well-beingの向上)の具体的活動

AI研究で有名な東京大学の松尾豊教授がDXでの企業価値向上を複利計算の数式、

y(t)=a(1+r)t

y(t) t年後の金額
a 元本
r 利率
t 期間

で説明していて、rを増やすのが従来モデル、tを増やすのが新しいモデル、との提言をしている。
これは企業向けの話なので、企業価値(現在では時価総額など)の向上の話だが、この考え方は社会的便益の向上、Well-beingの向上においても理解を進めるヒントになる。
社会的便益の向上は、rを高めることが困難であり、結果として、担い手が活動の持続可能性のために「もがく」ことになる。
しかし、「情報化社会」から「最適化社会」への転換はこの数式でいうところのtの向上によって、一種のロングテールともなっていた非営利活動の持続可能性を向上させたことにより、近年、具体的な姿となってきている。ESG、SDGs、などが企業活動の一部を構成する割合が増えたのは、その結果とも言える。
今後、更なるtの増大(科学・技術・社会システムの発展を源泉とする)によって、「自律社会」、「自然(じねん)社会」への転換が促進されるものと推察する。
rの増大と異なり、tの増大は指数関数的な価値向上をもたらすので、現状では困難な社会課題解決や社会的便益向上が具現化され易い。
tの増大は、DXによりもたらされるとの松尾教授の考え方はまさしくそうと言える。さらにDXの発展がもたらす社会システムの変化が更なるtの増大につながる。
「最適化社会」から「自律社会」への転換のためのtの増大は、DXの発達による「情報の非対称性の解消」、「ロングテール投資のハードルの低下」などにより、従来型の資本主義モデルからの脱却が具現化している(例えば、TFCDのような仕組が金融資本主義に組み込まれるなど)。
エコビレッジのようなポスト資本主義モデルが、現状の「最適化社会」モデルから「自律社会」モデルに転換するにあたっては、tの増大が近道と考えるが、そのための具体的アクションをミレニアル世代、Z世代といったデジタルネイティブ世代を実行していくことが予想される。

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