見出し画像

Ms.Engineer Live「ようこそ先輩!サステナブルに働き、人生を楽しむためのヒント」前編

未経験から最短6ヶ月でハイクラスのエンジニアを育成する、女性のためのプログラミングブートキャンプ(フルリモート型)「Ms.Engineer」。今回は、ライブスペシャル「ようこそ、先輩!サステナブルに働き、人生を楽しむためのヒント」と題し、神山まるごと高専クリエイティブディレクターの山川咲さん、アナウンサーの笹川友里さん、モデレーターとして株式会社湯気、共同代表の南麻理江さんに起こしいただきました。(以下、敬称略)

女性のキャリア形成には、押し寄せるライフイベントや転職のタイミングなど、悩みがつきません。前編では、人生の一番の転換点や、新しいチャレンジに飛び込む怖さの乗り越え方など、人生がシフトする瞬間のマインドについて4人の「先輩」たちに話を聞きました。

登壇者プロフィール

山川咲(神山まるごと高専クリエイティブディレクター)
CRAZY WEDDING創設者。1983年東京生まれ。大学卒業後、ベンチャーのコンサルティング会社へ入社。退職後に単身オーストラリアへ。「意志をもって生きる人を増やしたい」と考え、2012年に業界で不可能と言われた完全オーダーメイドのウェディングブランド「CRAZY WEDDING」 を立ち上げ、2016年5月には毎日放送「情熱大陸」に出演。その後、産休·育休を経てIWAI OMOTESANDOの立ち上げに携わる。2020年3月27日にCRAZYを退任し独立。8ヶ月のサバティカル期間を経て、2020年12月にホテル&レジデンスブランド「SANU」の非常勤取締役及びCreative Boardに就任。2021年には、テクノロジー×デザイン×起業家精神」を学ぶ5年制の私立高専、神山まるごと高専のクリエイティブディレクターに就任。著書に「幸せをつくるシゴト」(講談社)

笹川友里(アナウンサー)
制作ADとアナウンサー、2つの職種で8年間TBSテレビに在籍。
その中で、物を作る楽しさと言葉で伝える重要性を強く感じ、2021年3月にsetten株式会社を立ち上げる。
現在はラジオパーソナリティ、モデレーター、プロダクト開発やコミュニケーションマネジメント、モデルとしても活動中。

南麻理江(編集者・株式会社湯気 共同代表)
1987年広島県福山市生まれ。東京大学文学部を卒業後、2011年から6年間博報堂・博報堂DYメディアパートナーズでインターネット広告のセールス、企画・運用に携わる。2017年5月にハフポスト日本版に入社、エディターとして記事コンテンツの執筆・編集、イベントのプロデュース、ライブ番組など新規事業の立ち上げや制作に携わる。2021年1月よりSDGsの特集「SDGsで世界をリ・デザインする」をメインで担当。SDGsを学ぶライブ番組「ハフライブ」でMCを務める。現在は株式会社 湯気 共同代表を務める。

「自分のルールで自分が信じることを」手にした転換点

やまざき:今日は「Ms.Engineer Live Special」と題して、豪華なゲストのみなさんとトークセッションを行っていきたいと思います。みなさんの共通点としては、いつもオリジナルなキャリアを時代の第一線で築いていて、注目され、数年後になるとまた全然違う新しいことに挑戦しているところです。自分のライフスタイルともしっかり両立されていて、尊敬しているし、学ぶところが多いと思っている皆さんなので、私も一つでも勉強して帰りたいなというふうに思っています。

ということで、ここから南さんにバトンタッチしていきます。

南:バトンを受け取って大丈夫かな(笑)?では、さっそく1つ目のトークテーマにいきたいと思います。

「人生が大きくシフトしたなと感じた転換点は?」ということで、何度も大きく転換していらっしゃる方たちなので、一番と言われると難しいような気もするんですが、この問いをあえてぶつけてみたいなと思います。最初、山川さんからいってみようかな。よろしくお願いします。

山川:はい。転換点はいくつかあるんですが、1番というと起業した時かなと思います。なぜかというと、私自身、壮絶な子ども時代を過ごしておりまして、2歳で父親がフジテレビのアナウンサーをやめて、「今日から旅に出るぞ」というところから2年間くらい旅が中心の人生が始まってしまったので。

その後、学校に通ったりしているんですが、周りになじめない、白い目で見られる生活が結構長く続いていたんです。なので、周りがどういう自分だったら受け入れてくれるのかということをずっと考えていました。自分が間違った存在だという自己認識をすごく強く持っていたんです。だからいろいろなことを頑張ってやってきた20年間でした。

いろいろなことがある中で、自分で自分を否定してたんですよ。なんでこんな親で、こんな境遇に生まれちゃったんだろう、と。でも、結婚式を挙げた時に、「この人生があったから今の私になった」「この私をこの人が好きになってくれたんだ」と思えたんです。

全部が正解だったと初めて自分の人生を肯定できたんですね。そんな結婚式を世の中に1つでも作りたいと思って起業したので、今までの人生が全部凝縮された1つの転換点でした。自分にとっては本当に大きなポイントだなと思っています。

起業したことで、周りに合わせた中で優秀な点数を取っていくところから大きくライフチェンジしました。自分のルールで自分が信じることを、社会のルールを越えて生み出していくことに初めて本当の意味で旗を挙げられた瞬間だったんです。自分の人生で一番よかったことはなんですか?って聞かれたとしても、まあ起業したことって答えるだろうなあって思うぐらい。

南:社会の物差しじゃなく自分の物差しを、ってよく聞くし、もちろんそうありたいと思うけど、自分の物差しを持つって簡単なことではないなと思っていて。世の中で優等生でありたいっていうところから、私は私の物差しを作るんだって決心するところ、飛び込み方がすごいですよね。

山川:それってポジティブなことの連続ではないんです。会社をやめる直前に、流産しちゃって。流産して、会社に行く意味とか、自分の人生とかすごい考えて、会社もやめちゃって。新卒採用担当だったんですが、自分が背負っているような会社だと勝手に思っていたんです。

どん底まで落ちた時に「死ぬわけでもないし、命を取られるわけでもないんだから」って、最後の一手という感じで起業しました。だから、あれこれやってきた中で「やっぱりこうやりたいわ」という前向きな気持ちというより、最後の最後、追い込まれてこうなった感じです。

人生で初めて“自分で”決断したTBSの退職

南:ずっとキラキラのいいことづくめではない、ということですね。笹川さんはいかがですか?

笹川:咲さんの後に私でいいのかなっていう気持ちなんですが。改めて自分のことを話させていただくと、就職活動が始まった時、どんな仕事を受けてもいいし、何でも選んでいいんだっていう視点になった時に、たまたまテレビ局の就活が早く開始するのを知ったんです。何局かアナウンサー試験を受けてみたら、3社とも最終試験で落ちたんですよ。

「最終試験で落ちるってことは素質があるんだよ」と友達に言われたんですが、逆に、3社全部最終面接で落ちるって、決定的にアナウンサーじゃないんだなって自分の中で納得できて。その中で、同じく最終で落ちたTBSテレビに総合職でもいいから入りたいなって思ったんです。なので、総合職でもう一回受けて、2013年に入社しました。

最初は「王様のブランチ」という土曜日お昼の生放送番組でADを任されて、1年間担当していました。それがすごく性に合っていて。毎日、想像できないタスクが降ってくるんですよ(笑)。例えば、「笹川さ、今からカメラ担いで横浜行って、船乗って大黒埠頭の絵、5秒だけ撮ってきて」とか「ごめん、ラーメン10個買ってきて」とか。想像できないことが降ってくるのがめちゃめちゃ楽しくて。

南:すごいハート強い!

笹川:出社したら、まずは20個ぐらいあるToDoリストを書き出して、赤ペンで「がっ」て消すのが趣味でした。サバイバルゲームだったんですよ。

「AD大変だったでしょ」って言われるんですけど、私は楽しくて。そんなことをしていたら、ある日急に部長に呼ばれて。「営業に異動かな」と思ったんです。入社した時に、キャラ的に営業だと思ったので。そしたら、アナウンサーって言われて。

山川:え?そんなことってあるんですか?

笹川:いえ、あり得ないんです。採用口が違うので。そもそもテレビ局って、アナウンサー職とカメラマンなどの技術職、総合職の3つに分かれてるんです。部署を越えた人事異動は基本的にないとされているので、異例中の異例でした。1個目の転換点がこれです。

職種が変わって、アナウンサーとしてその後7年在籍して、8年間在籍したTBSテレビを2年前に退職しました。

『置かれた場所で咲きなさい』っていう本が流行りましたが、私も結構そういう感じで、求められる事にしなやかに対応していくだけで、実はいいんじゃないかなって思っていました。

というのは、さきほど咲さんが自分の人生を否定したとおっしゃったんですけど、私は否定はしなかったんですが、レールに乗ってきたんです。学校も中高一貫で、先輩に言われて決めるとか、アナウンサーへ異動って言われたから、アナウンサーをやる、みたいなことだったり。人の助言で生きてきちゃってて

そんな中で、人生で初めて自分で大きい決断をしたのが、退職だったんです。独立すると「事務所はどこに入るの?」って、アナウンサーなら絶対聞かれるんですけど、私自身タレント性もなく、バラエティでも面白いことを言えるタイプじゃなかったので、起業しました。なので、2つ目の転換点は退職です。

キャリアを立ち止まったことが人生一番の転換点

南:なるほど。やっぱり1社目をやめるって結構な転換点ですよね。私も博報堂をやめてハフポストに入ったときが、今のところ人生で1番の「転換点」です。年齢的に30歳手前が考えるタイミングだったりするところは、皆さん共通してるのかなとか思いながら聞いてました。やまざきさんはどうですか?人生が大きくシフトしたと感じた転換点。

やまざき:私は20代の時はサイバーエージェントっていう会社に7年強ぐらい務めていて。やっぱり今1番大きい転換点を思い浮かべると、やめた時かなと思っています。

20代のころは本当に、サイバーで勤め上げたいと思っていたんです。会社が大好きで、もう終身雇用で役員になりたいです、みたいな勢いで、20代を走りぬけました。でも、30歳手前で、今で言うとメンタルダウンのようなかたちで体調を崩しちゃって。ある日突然、会社に行けなくなり、実はそのままサイバーをやめてるんですね。で、その時3か月ぐらい家に引きこもっていたんです。

20代の時に人生をかけていた仕事を、自分の都合でできなくなっちゃって。結構責任もあったのに、立ち止まってめちゃくちゃ迷惑もかけたし。本当にその時、人生終わったと思ったんです。でも、引きこもっていた3か月間は、人に会うような感じでもなかったので、家でひたすら本と映画を100本くらい見漁っていたんですよね。

本当に仕事だけの20代だったので、いろいろな本を読んで、知らないことがたくさんあったんだなって思い直しました。振り返ると、20代の私は資本主義が何かということも知らないまま働いていました。資本主義についての本を読んで、こういう社会構造の中で生きているから、30歳になって、女性が労働力にならなきゃいけなくて、30歳前後に出産、仕事、子育てが一気に集中する社会構造なんだとわかった。だから、自分が苦しかったのかもしれない、と気づいたんです。

体系的にいろいろな知識を得たことによって、すごく楽になったし、知識を入れたことによって、自分がアップデートした感覚があったんです。今考えると、リスキリングだったのかなって思うんですが、次にこういうことをやろう、自分はこういう風に働きたいといった、新たな意欲が浮かんできました。これからの人生100年時代にずっと働き続けていく、右肩上がりでキャリアアップしていくのって、難しいんじゃないかなっていう原体験をしました。

休んでいる3か月の間に、将来やりたいことをノートに書き出していたんですが、学び直しの授業をやりたいっていうことを書いていて。それが何年か経って、今のMs.Engineerという、女性エンジニアを育成する事業を始めるアイディアの源泉になりました。まさにキャリアを一旦立ち止まった時期が転換点になったんですね。

みんなもっと長く働くために、何回か立ち止まって新しいことを学んで、自分をアップデートする機会があれば、誰もがキャリアを底上げできる人生を迎えられるのかなと思っています。

何かを「始める」より「やめる」時に転換点がある

南:立ち止まるタイミングを持つというのがキーワードになっていると思うんですが、山川さん、どうですか?何度かキャリアチェンジをされていて。

山川:そうですね。みんなやっぱり何かを始めるのが大きな決断ではなく、何かをやめるっていうことを決めた時に転換点があるんだなって。

南:確かに、やめる決断の方が難しいですよね。事業もそうかもしれませんが。

山川:プラスアルファ何かやりましょう、といったちょっとした選択と比べると、やめるほうが本当に大きな決断です。

笹川:山川さんがCRAZY WEDDINGを退職する時も、ものすごいニュースになりましたね。退職された時の心境がつづられた文章を読んで、「そういう立ち止まり方なんだ」と思いました。潔いというか、自分に素直な方だなという印象です。

南:周りの方も「今の咲さんは、咲さんらしくないよ」と言ってくださって、やめる決断をサポートしてくださったという文章を、私もインタビュー記事で読んだんですが、やめるって難しい決断だからこそ、周りの方の応援とか支援みたいなのってすごく重要なのかもしれないですね。

山川:私、結構やめるプロだと思ってるんです。自分でも感心しちゃう。やめる時って、たぶんみなさんもそうだと思うんですが、直感的には「やめた方がいい」ってすぐに感じるんですよ。もう人間ね、自分の人生を何年もやっているので、「これちょっとやめた方がいいかな」「潮時だな」っていう時があるんです。だけど、やり続けた方がいい理由をいくらでも論理的に捏造できちゃうんですよね。やめない理由を考えるのか、やめたほうがいいという直感に対して向き合えるかって、すごく大きな人生の曲がり道だなと思います。

南:確かに、立ち止まるって怖いですもんね。けっこう勇気が必要なことだなと思って。

山川:「ここまで頑張ってきたのに」とか、いろいろな気持ちが浮かびますよね。

南:笹川さん、どうですか?立ち止まる勇気とか怖さとか。

笹川:それこそやめるきっかけは、実は夫なんです。一番信頼しているメンターであり夫でありお兄ちゃんみたいな感じなんですけど、「僕を信じてやめてごらん」みたいなことを言われて。

私は自分を過小評価する生き方をしてきたんです。何でもやってみたらどうにかなるかもしれないのに、どうしてやる前からそんなに尻込みしてるのって言われて。「フリーになったら仕事ゼロになっちゃうじゃん!」と毎日討論し続けたんです。結局、一番信頼してる人がやめてごらんっていってるんだったら、どうにかなるかもって思い切れました。

なので、やめる時に、もちろん咲さんみたいに1人でちゃんと向き合って決断するっていうのが一番ブレない決断だと思うんですけど、そうやって1人で決断するのに慣れていなかった私は、信頼できる5人くらいにずっと相談して、壁打ちして、自分の気持ちをどんどん新しくしてもらって。最後に行き着いた答えが「やっぱり独立して自分でやりたいことやってみたい」だったので。壁打ちするというのはいいかもしれないですね。

南:男女ですべてを比較はできませんが、女性はインポスター症候群といって、自分の価値を低く見積もったり、人事面接で女性社員の方が昇進に関して消極的だったり、謙遜したり、謙虚であるとよく言われます。Ms.Engineerのブートキャンプにチャレンジされる方たちも女性ですが、女性たちが自分の価値を過小評価してると感じる部分はありますか?やまざきさん。

自分は本当に取るに足らない存在なのか

やまざき:やはりそれはとても多く感じます。これは女性だからなのかはわかりませんが、アンコンシャスバイアスっていうか、自分は取るに足らない存在だと思ってしまいやすい、という傾向はあるのかなと思っています。でも、それは本当に整理していくと、みんなだんだん気づくことなんですが。

本当にあるあるなのは、自分よりも周りがすごいと思ってしまうこと。ものすごく勉強して、技術を習熟している女性でも、私だけが理解していない、みたいな感じになるケースが本当に多いんです。でも、Ms.Engineerでは女性だけで学ぶ環境を提供しています。男性が多い環境だと男性と比べて女性は取るに足らない存在だと思いやすいというデータもあるんですが、女性だけの環境だと、そこのアンコンシャスバイアスは解けやすいんですね。

南:確かに。女性限定って、いろいろな意見があると思いますが、やまざきさんのお話を聞いて、女子高や女子大、女子限定であることって、まだまだこんなに必要なんだって納得しました。

やまざき:私も笹川さんも女子高出身なんですが、女子教育のよさってあるじゃないですか、やっぱり。女性だけで社会は一応成立するんだっていうことをわかったまま社会人になると、男性に比べて取るに足らないって思いすぎなくていいという良さはありますよね。エンジニアはジェンダーギャップが大きいので、今はいったん女性だけでグッと進化して行こうぜっていうのがMs Enginieerのコンセプトだったりするんです。

新しいチャレンジに飛び込む時の、怖さの乗り越え方

南:なるほど、面白いですね。ちょっと2つ目のトーキングポイントに移っていこうかなと思います。テーマは「新しいチャレンジに飛び込む時の、怖さの乗り越え方」ということで、先ほども5人ぐらいに壁打ちをしながら、なんとか乗り越えてきたとおっしゃっていたので、もしかしたら重複するかもしれませんが、笹川さんから聞いていきたいなと思います。いかがでしょうか?

笹川:そうですね、信頼できる5人ぐらいを捕まえて、いつでも話聞いてねっていう状態にしておくのは大事だと思うんですけど、あとは自分の不安な要因を紙に書き出すこともしています。

やっぱり退職を決めるときって心が常にざわついていたんです。それこそ子どもも産んだ後だったので、守らなきゃいけない人もいるし、自分も不安だし、どうしよう……と。だけど、何が不安なのかを紙に書き出してみると、実は自分に自信がないからとか、もしかしたら仕事がこないかもしれないとか、ちゃんと理由があるんですね。

それまでの自分だったら、そこでネガティブになって考えるのをやめて落ち込むだけでしたが、独立すると決めていたので、対策を考えようって。「この理由に対する対策はこれ、これ、これ」と樹形図みたいなものを書いてみたり

「この対策まではできないかもしれないけど、ここまでならできる」みたいな内容を紙に書いて、自分を勇気づけていました。「いける!……でもまた落ち込み、いや、いけるかも……!」の繰り返しでしたね。

やまざき:笹川さんってめっちゃ整理しますよね。悩みを細分化して5人に壁打ちするとか。体系化してアプローチしますよね。

笹川:でも私、すっごい整理整頓が苦手なんです。ロジカルシンキングが苦手って感じているからこそ書くのかもしれません。頭の中で整理できないので。

やまざき:感覚的なことほど、できるだけ具体的にすることがすごく大事ですよね。

南:おふたりは書きますか?

山川:私は日記みたいなのはめっちゃ書きますね。人生でもう12冊ぐらい書いてます。

やまざき:書くのって大事なんですよね。私も不安が膨張すればするほど、実は書いたら一発で解決するみたいなことってあります。習慣化はできてないので、笹川さんの話を聞いて、すごい大事だなって思いました。

南:確かに、書き出すとちょっと客体化できますもんね。

やまざき:あとは、日記に嘘を書く人っていないじゃないですか。本当のこと書くから、私こんなこと考えてたんだみたいなことを可視化するのは重要だなと。

夢に加担してくれる人を増やす秘訣は「チャーミング力」

笹川:聞いてもいいですか?壁打ち相手を5人捕まえるっていうのは、本当に身内の身内だからできた作業なんですよ。でも、本来あまり人に甘えるのが得意じゃなくて。お2人は、自分で軸を持ちながら、すごい甘え上手、巻き込み上手なイメージがあります。その秘訣を教えてほしい。

山川:私は結構、みんなひとりでは持てない夢を持ちたいと人類は思ってると考えています。大きな夢ができた時に「これやりたいんだけど」って私にギャンギャン言われるのは、みんなある程度面白いんじゃないかという前提が、最近は育ってきてまして。だからもう「あ、恒例行事かな」みたいな。山川からチャットで「ねえねえ」って来たら、なんかあるのかな?みたいに捉えてくれると思っています(笑)。大きな夢であればみんなが加担したいと思ってくれるって。

南:やまざきさん、どうですか?

やまざき:巻き込みですよね。咲さんと比べると全然……凄いなーと思って。やっぱり夢に共感してもらうことしかないのかなと思っています。

南:冒頭でも咲さんとの関係性のくだりで、本を読んで感激して会いに行ったとお話がありましたが、学生さんばっかりのイベントの中に最前列で鎮座されていたとちょっと裏で伺いました。「会いにいく」はすごい行動力だと思う。

やまざき:いや、そうですかね。当時は「好き」っていうのを伝えたくて(笑)。やっぱり心から相手に対してリスペクトを持つことでしょうか。起業するとどうしてもお願いしなきゃいけないことって多いし、お願いで成立することってすごく多いので、起業家ってチャーミングじゃなきゃいけない、みたいなのはすごいあるなと思って。「チャーミング力」みたいなものは、人生を通してめっちゃ大事じゃないですか。

山川:なんかこう、かわいい。かわいいっていうか、一緒にいて楽しいっていう。なんか、こういう感じなんだったら一緒にいたいな、みたいな。

南:いや、もう咲さんのこの魅力的なハッピーオーラですよね。チャーミング、そう、チャーミングが洋服を着て歩いている。

山川:恥ずかしくて赤くなっちゃう(笑)

やまざき:私はネガティブな場面でもできるだけ誠実にやりつつ、チャーミングに乗り切ることを心がけています。「こいつなら」みたいに思ってもらえるような存在でいたいなと。もちろん全然完璧じゃないですけど。

笹川:いや、勉強になりました。チャーミング力ですね。咲さんがおっしゃっていた、頼まれごとをして、嫌な気持ちになる人はいないはずっていう「思い込み」を実践してみようと思いました。

「忙しいのに申し訳ないな」とか、人のことばかり気にしてると何も動けないって20代で学んできたはずなのに、その気持ちがやっぱり勝っちゃっています。でもね、なにか行動を移すには、「チャーミング力」で突破する力が必要ですよね。

南:そうですよね。確かに、一緒に夢を語るメンバーに誘われて嫌な奴はいないでしょうとか、「一生のお願いを今月3回されて、 正直そっちも嬉しいでしょう」みたいな感じの図々しさっていうか、それぐらい人を信用していくってことが大事なのかもしれないですね。もちろん忙しいときにはすべてのお願いに応じることはできないけど、ドアノックされるとやっぱり嬉しいですよね。私もそうだから相手もそうに違いない、ぐらいの踏み込み力っていうのが、もしかしたら「チャーミング力」につながるのかなと思いますね。

笹川:勇気出ました。ありがとうございます。

怖さは「乗り越える」ものではなく「噛み締める」もの

南:2つ目のターニングポイントは、まだ笹川さんしか聞いてなかった気がする。2つ目のポイントについて咲さんに聞いてみたいのですが、いかがでしょうか?

山川:私ってぶっ飛んで大胆なキャラクターに見えがちなんですけど、めちゃくちゃ不安症なんですよ。2年前ぐらいまでは、何で私こんなに幸せとは遠いところに生まれついちゃったのかなって思うぐらい、幸せと感じられない部分がありました。私はやりたいと思ったときにネガティブな「できない理由」をめっちゃ思いついて、めっちゃ考えるタイプなんです。石橋をめっちゃ叩くみたいな感じです。

 今も新しく「ECCOMIT」っていうゴミをなくすことに取り組む鹿児島の地方ベンチャーの役員に入ったんですよね。これも本当に悩んで悩んで悩んで、もう最後は夜眠れないぐらいまで、1か月強ぐらい悩んで。なので、私はこういう時に怖さを乗り越えるというよりは、悩みを噛み締めます。結局これを乗り越えられないかぎり、その先のリアルへチャレンジするのはもっと厳しいので。

何かをはじめる時に、いろいろな不安な要素がありますよね。そんな時、「じゃあそれを諦められるのか」と自分に問うことを必ずやっていて。諦めて、やらないという選択ができるんだったら、それもいい人生じゃないっていうふうに、自分を結構突き放してあげたときに、それでもやりたいってやっぱり思うんです。

やらない人生より、失敗してもやりたいって思うんです。これって1日で終わらないから1か月ぐらいうじうじ悩んだりするんですけど、自分に問う儀式をちゃんと乗り越えて、自分で決められると、もう迷いがなくなるんです。「だめならしょうがない。これでやってこのメンバーでこのことでこの気合いでやってダメなら、それはそれでいい人生。それは面白かったね」って言って、酒のつまみにしようって思っている感じです。

笹川:意外な話がいっぱいですね。

南:考えるって、一瞬の話じゃないんですね。1か月ぐらい抱きしめなきゃいけない。乗り越えるっていうより、不安を飼い慣らす感じですね。

山川:そうですね。ちょっと哲学的な話なんですけど、最近、自転車に乗ってる時にふと、生まれた瞬間に人間は孤独であり、不安であるって自然に思ったんですよ。子どもってめっちゃ不安じゃないですか。ギャーギャー泣いて「さみしいさみしい、ママいないとだめ」って。やっぱり人間の本質ってあれなんじゃないかなって思って。

私は40歳を迎えても、不安で孤独でなんかポロッと涙とか流しちゃうんですが、なんかピュアでいられてるってことなんじゃないかなって思って。このままでいいんじゃないかってすごい思いました(笑)。つい2週間ぐらい前に。

南:「それでいいじゃん」っていうところはすごい大事ですね。やまざきさんはどうですか?

リスクを取らなければ未来は変えられない

やまざき:怖さの乗り越え方は、リスクを冷静に分析するっていうことかなと思っていて。なんで怖いんだろうって思ったときに、よくよく整理したら、大体の場合チャレンジをしないほうがリスクが大きいことが多いんです。

何もせず、変化もせず、そのままの日常を毎日歩いて行った先の5年後、10年後の自分と、挑戦した時にいろいろ考えられる失敗をした自分とを比べたときに、意外と前者の方がリスク高いって思うことって意外と多い。だから、リスクを冷静に想像して整理しています。

これは生徒さんにもよく伝えているし、昔、(サイバーエージェント代表取締役)藤田晋さんも話していたんですが、リスクテイクしないとリターンはないって考えることがすごい大事だなと思っていて。一般的にはゼロリスク化しようとするじゃないですか。

リスクがいろいろ浮かんで、リスクを潰して、リスクがない道に行くのが幸せなんじゃないかって思うことがあるんですけど、結局、大きいリスクを取らないと、自分が欲しい幸せややりがいは人生で手に入らないんです。それを冷静に考えると、ここがリスクテイクのしどころだなっていうことが結構多いので。リスクを潰すとかじゃなくて、どのリスクをテイクするかと考えると意外と怖くなくなります。

南:めっちゃかっこいいですね。山川さんはどうですか?すごく頷いていらっしゃいましたが。

山川:本当にそう思います。何もしなかったら何も失われないと思い込んでる人がすごい多いんですけど、何もしないと人生そのものを失うと思うんですよ。何かにトライしたら、失敗しても成功しても経験が手に入るという考えがベースにあります。

やまざきさんのような考えを持って生きるのと、何もしなければ何のリスクもないって思って生きるのは、5年後、10年後が全然違う未来になるなと思います。

南:確かに、成功しても失敗しても、そのことが分かったっていうだけで、もう成功ですもんね。あと私がやまざきさんと普段接していて、すごく感じるのが、何もしないことと、ここでリスクを取ることの比較をする時に、社会がどうなっていくのかなっていうご自分の見立てをお持ちの方だというところをすごい尊敬していて。

時代や価値観、経済状況など、いろいろなものが一切変わらなかったら、もしかしたらチャレンジしないほうが安全かもしれないんですけど、世の中は日々変わっていますよね。自分なりの情報収集とアンテナで考えている部分があるからこそ、選択ができる。この世界に自分が1人だけだって考えると、なんか怖くて踏み出せないけど、世の中っていうところにちょっと目線を広げて、その上で自分はどっちをとるんだっけ?みたいに考えると、ちょっと視界が開けてくるのかなっていうのは、やまざきさんの話を聞いてすごく思いました。

会場協力:株式会社YOUTRUST

後編へつづく

Ms.Engineerに興味を持った方はぜひ、無料体験レッスンやカウンセリングを!

イベント全編はこちらからご覧いただけます


この記事が参加している募集

イベントレポ