簡単! 何もやる気が出ない時のやる気の出し方  ~「何もしなくてもよい」思考のすすめ~ (完成版)

はじめに


 「何もやる気がでない」という時に,どうやったらやる気が出るのか。その答えはとても簡単です。「何もしなくてもよい」思考を手に入れるだけで大丈夫です。この思考を手に入れると,多くの人が陥る「何かしなければいけない」思考の3つ問題点を簡単に解決してくれるので,自然とやる気が出やすくなります。


1.「何もしなくてもよい」思考とは


『何もやる気がでない』
多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか?やらなきゃいけないと分かっていながら、やらずに先延ばししてしまう。そして最終的に何もできずに自分を責めてしまう。そんな事を繰り返して気分が落ち込んでしまう。そんな状態とおさらばするには,1つの思考法を手に入れるだけで十分です。それは「何もしなくてもよい」思考法です。「何もしなくてもよい」思考法とは,“やる気が出ない(先延ばししてしまうような)状況で,そもそも自分は何もしなくてよい存在だと考えること”です。例えるなら,試験前に「勉強しなければいけないし,掃除や洗濯などの家事もしないといけない」というやるべきことがある状況で,「いや,自分はそもそも何もしなくても良い存在だ」と考えるようにするのです。まだ,「ん?どういうこと?」とこの思考法についてまだ疑問に思う方もいると思いますが,2章から詳しく解説していますので,そのままで大丈夫です。安心してください。

2.「何もしなくてもよい」思考で,やる気が出る理由


 この章からは,「何もしなくてもよい」思考法を使うと,なぜ「何もやる気が出ない」状態から,やる気が出るようになるのか解説していきます。大きな流れとしては,「何もしなくてもよい」思考と対をなす,「何かしなければならない」思考の3つの問題点を明らかにします。そして,それらの問題点を「何もしなくてもよい」思考が簡単に解決してくれることを心理学の知識などを基に解説していきます。

2.1.「何かしなければならない」思考の問題点

 日常生活では,やるべきことが多く「勉強しなければいけない」「掃除しなければいけない」「料理を作らなければいけない」のように考える機会は多いと思います。このように多くの人が陥りやすく,自分を追い詰めてしまうのが「何かしなければならない」思考です。この「何かしなければならない」思考の問題点は3つあります。それは①理想と現実のギャップが大きくなりやすいこと自己肯定感を低下させること行動してもやりがいを感じられないことです。

 これから問題点を1つずつ解説します。まず,①理想と現実のギャップが大きくなりやすいについてです。「何かしなければならない!」という思考は、あまり重要でない行為をしている最中に「あれこれと色んな事をしないといけない」と自分に新たな課題を次々と課すようになり,自己の理想を高めてしまいます。しかし,実際の自分は何もできていないので,理想とのギャップが大きくなってしまい,行動するのが億劫になります。

 次に,②自己肯定感を低下させるですが,これについてはとても単純です。何かしなければならなかったのに,何もできなかった現実から「自分はすべきことができないダメな人間だ」というような自己否定に走ってしまい,自己肯定感も大きく下げてしまうことになります。心理学では自己肯定感が低くなってしまうと,人は消極的になってしまうことが明らかになっています。「何かしなければならない」思考を持っていると,その時行動できないばかりか,その後もどんどん行動できない自分になってしまいます。

 最後に,③行動してもやりがいを感じられないについてです。「何かしなければならない」思考を持っていると行動を起こせたとしてもモチベーションが上がることはありませし,達成感なども得られなくなってしまいます。なぜかというと,行動が起こせたとしても,期待通りの自分になっただけで,無味乾燥な経験になってしまうからです。それでは,自分の生活にやりがいも感じられませんし,楽しくもありません。これらの3つの問題点は「何もしなくてもよい」思考によって簡単に解決できるようになります。次章から1つずつ詳しく解説していきます。

2.2.「何もしなくてもよい」思考は人を行動しやすくする。


 「何かしなければならない」思考では,①理想と現実のギャップが大きくなりやすいため,行動するのが億劫になると先に述べましたが,これは心理学の観点からも証明されており,効力期待という理論から説明できます。効力期待とは,”人が課題や行為をする前に,それが実際に自分に行えるかどうかを期待すること”です。つまり,人は行動する前にそれが行えないだろう判断したら,行動しなくなります。よって,行動する前に「あれもこれもやろう」と難易度をあげてしまう「何かしなければならない」思考は,あなたのやる気をどんどん抑制してしまうのです。
 逆に「何もしなくてもよい」思考は,この問題を解決してくれます。つまり,理想と現実のギャップを無くし,人を行動しやすくしてくれる(難易度を下げてくれる)のです。「何もしていない状態」を数字で例えるなら0と表します。つまり,何もしていない状態でもよい=0の状態でもよいという思考です。この思考では,何もしていない状態が自分の当たり前なので,理想が存在しないことになります。理想が存在しないのですから、理想が高まることも理想と現実とのギャップが生じることもありません。課題の難易度は常に最も易しく設定されるので,いつでも行動しやすい状態になります。これで,自分の身の丈以上の大きな理想の前に慄(おのの)くことはなく,自分の身の丈に合った必要だと思う行動を自然と行えるようになります。これで人生いつでもイージーモードになりますね。

2.3.「何もしなくてもよい」思考は行動する勇気を持続させる(自己肯定感の保持機能)

 「何かしなければならない」思考では,②自己肯定感を低下させると述べましたが、反対に「何もしなくてもよい」思考は自己肯定感を持続させることができるようになります。というのも,何もしていない状態がデフォルトなので,結果的に何もできなかったとしても「それでもよい」と自分を肯定することができ,自己肯定感を低下させずに済みます。自己肯定感が低下している時,人は消極的になります。つまり,「何もしなくてもよい」思考では,自己肯定感が低下しなくなるため,次は行動してみようと積極的に行動する勇気を持ち続けやすくなります。

2.4.「何もしなくてもよい」思考で行動を起こすことが楽しくなる


 「何もしなくてもよい」思考であれば,「何もしていない状態」が当たり前であり,「何もしていない状態」が許されることになります。では,「何もしていない状態」が当たり前ならば,もしあなたが行動を起こしたとしたらどうなるでしょうか?

 正解は,「とても偉いことをした!」です(他の言葉で言い換えても良いです。もっと良い言葉が思いついたらぜひ教えてください)。その理由は前章で述べたように,そもそも何もしなくてもよかった(0のままでもよい)にも関わらず,+αで価値のあることをしているからです。言い換えると,あなたは「何もしなくてもよい」立場にいるので,何か少しでも行動するだけで,褒められるべき行動をしたことになります。なので,普段している家事や勉強、仕事などはすべてとても偉いことで,あなたはもっと褒められてよいことになるのです。人は褒められることで,若返ったり,脳が活性化したりすることが脳科学の研究から明らかになっています。だから,何か少しでも行動できたら,どんどん褒めて行動することを楽しみましょう。いつの間にか自然と行動できている自分になっているかもしれません。
 褒めることは非常に良いことなのですが、一点注意すべきことがあります。褒めるという行為は“他者から褒められること”を意味する他者承認と“自分で自分を褒めること”を意味する自己承認の2種類ありますが他者承認を決して期待しないようにしてください。心理学者マズローの提唱した欲求階層説によれば,他者から褒められたいという他者承認欲求ばかり満たすことは自己が本来実現したいと思っていることから自己を遠ざけることを説いています。また,アドラー心理学で有名なアドラーも他者承認を求めることには否定的な見解を述べています。他者が褒める行為をするときには,自分の思い通りに人を動かしたいという動機が隠れていることがよくあります。他者の思い通りに動かされていたら,自己が実現したいことに労力を割きにくくなってしまうことは容易に想像できるため,先人達の言葉にもうなずけます。自己が実現したいことを実現するために,ぜひ自分で自分を褒めてあげましょう。だんだんと行動することが楽しくなってくると思います。

3.まとめ


内容をまとめると,「何もしなくてもよい」思考でやる気が出る理由は以下の通りです。


①「何もしなくてもよい」という思考を持てば,難易度はいつも一番易しくなるので,行動を起こしやすくなります。人生いつでもイージーモードです。
②「何もしなくてもよい」思考は,「何もできなかった」としても自己肯定感の低下を防ぎます。次回、行動するための勇気(やる気)を持続します。
③「何もしなくてもよい」思考は,自己承認しやすくするので,若返ったり,脳が活性化したりします。そして,行動することが楽しくなってきます(やる気が出て行動を促進します)。


 それでは,「何もしなくてもよい」思考をぜひ試してみてください。「何かしなければならないのに」と思い詰めてしまった時ほど効果を発揮します。「そもそも何もしなくても良いんだ」と考えることで心がすっと軽くなり、すんなりと行動に移せるようになると思います。そして,もし少しでも行動に移せたならば,0から価値を生み出したことになるので,「少しでも行動できた自分は偉い!」と自分を褒めてあげてください。少しずつ行動に移すことが楽しくなってくるはずです。

ただし,もし行動に移せなかったとしても,自分を決して責めないでください。そもそもあなたは「何もしなくてもよかった」のです。

あなたはあなたのままでいいのです。

最後に


 「何もしなくてもよい」思考について理解は,深まったでしょうか。まずは「何もしなくてもよい」と考えてみることが最初のステップなので,ぜひ実践してみてください。

 本文では「何もしなくてもよい」思考の反対が「何かしなければいけない」思考だと表現しましたが,実は「何かしなければいけない」思考は心理学や精神医学の分野では強迫観念とも表現します。

 社会はあなたに解決すべき課題を次々に突き付けてくるため,どうしても「自分はこのままで良いのか」と自問自答し,時には自己否定をしてしまうこともあると思います。あなたが真面目であればあるほど,「もっと理想の自分にならなければいけない」「もっとできるようにならないといけない」といつの間にか強迫観念にとらわれ,自分を追い詰めてしまうかもしれません。それは,次第に精神に異常を生じさせることもあります。そうなってしまっては元も子もありません。
 一番大切なのは,あなたが健康で存在していてくれることです。もし,辛い時には大切なあなたをあなた自身が守ることを優先してください。もっと肩の力を抜いても大丈夫ですよ。


簡単! 何もやる気が出ない時のやる気の出し方 ~「何もしなくてもよい」思考のすすめ~

寺尾誠弘

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