主要カメラメーカーに問い合わせて生まれた、最高のリモートワークを実現するカメラ環境
経緯
コロナが沈静化したアフターコロナでも、最高の仕事がリモートでもできるように環境を整えています。オンラインで完結する仕事が増えたおかげで、県外の仕事が増えているためです。
相手にとって一緒に仕事に取り組みたくなるように、できることは全てやりたいと考えています。
映像の影響力は非常に大きいです。一般的なwebカメラでは、画質が悪く、顔色が悪ってしまうこともあります。
今回は、仕事として十分な低価格でありつつも、リモートワークのために十分なカメラ映像環境を整えました。
やったことは「全部調べた」
・条件に合うすべてのカメラメーカーに問い合わせしました。
・全レンズを調べました。
SONY、FUJIFILM、パナソニック、CANON、Nikon、SIGMA、Pentax、Blackmagic Design、OLYMPUSです。
結果「一眼 vs iPhone11」
※上記は画面に移ったスクリーンショットです。最高です。背景を隠すためにクオリティの低い合成をする必要もありません。自然体です。
比較 iPhone11
※ほぼ全てのwebカメラよりも高画質です。まったくぼけません。見られたくないところまでピント合いすぎー!
webカメラではどう移るか
一般的なwebカメラや、ノートPCのカメラでは、芸能人であっても下記のような写りになってしまいます。顔色が悪い…!
リモートワーク用カメラの「わがまま条件」
・極めて高画質に撮影できること
・webカメラとして使える
・FullHDや4Kで動画撮影ができる
・低価格で実現できる(消耗品で償却できる程度
・ボケを大きく撮影できる
・ブリージングが起こらないレンズである
・30分以上の映像の連続出力(HDMIまたはUSBで4時間以上)ができる
・HDMIまたはUSBモニタリングスルーに対応している
(モニター用のユーザインタフェースを除いてHDMI出力ができる)
・稼働中に露出やISOなどが調整できる
結論「Sonyのミラーレスと、Sigmaの明るいレンズ」
様々な条件をクリアした結論は下記になりました。下記2つを購入するだけで、最低限ではありますが、十分に高画質なリモートワークなカメラ環境が整います。
やりたかったことに対するコスパが最強です。フルサイズなら3倍~4倍の30-40万円かかっていました。
購入したカメラとレンズ
カメラ SONY α6100 (約81,000円)
レンズ Sigma 30mm F1.4 DC DN (約32,400円)
環境作りのやり方(30分~1時間ほど)
1.Liveビューソフトウェア(Imaging Edge Desktop)をインストールします。これでPCがカメラを認識、操作できるようになります。
2.USBでPCとカメラを接続します。PCからカメラが認識されます。
3.ライブビューで表示し、露出やオートフォーカスを調整します。
4.youtuber御用達のOBSという画面キャプチャと配信するソフトをインストールします。
5.OBS Virtualcamという仮想カメラデバイスをインストールします。するとZoom等にOBSで移る画面を流せるようになります。
6.ライブビューをOBSで画面キャプチャし、ZoomでOBS-Cameraを指定します。
これで高画質なカメラでリモートワークできるようになりました。
6時間連続撮影しても問題ありません。
紹介したソフトウェアのダウンロード先
Imaging Edge Desktop
https://support.d-imaging.sony.co.jp/app/imagingedge/ja/
OBS Virtualcam 2.0.5 (win)
https://obsproject.com/forum/resources/obs-virtualcam.949/
OBS Virtualcam (mac)
https://github.com/johnboiles/obs-mac-virtualcam/releases
OBS Virtualcam mac版の解説
ライブ配信アプリOBS Studioに仮想カメラを作り出し、ZoomやGoogle Meetなどに映像を直接配信できるOBSプラグイン「OBS (macOS) Virtual Camera」がリリース。
https://applech2.com/archives/20200520-obs-studio-for-mac-virtual-camera-plugin.html
絵作りしやすいソフトウェア
動作中にシャッター速度、F値、ISO、露出や、色温度、フォーカスエリアなどが調整できます。ポチポチしながら絵作りができるのは非常に素晴らしいです。
使い勝手を良くするオプション
ここでは使い勝手を良くするオプションを紹介します。
マイクロUSBケーブル
付属のUSBケーブルは50cmほどなので長さが足りないでしょう。ちょうど良い位置にカメラを設置できるように長いケーブルを購入しましょう。
コンセントから直接給電できるDCカプラー
α9100には稼働したまま充電できるUSB給電機能がありますが、マイクロUSBによる給電です。5Wの給電のようです。一眼レフカメラのリチウム電池の出力は7-8W等のため充電は追いつかないようです。
5時間連続稼働で70%ほどになります。十分に一日付けっぱなしできますがDCカプラーを買いましょう。ACアダプターのついたバッテリーで、コンセントから給電できます。バッテリーに悩まされることはなくなります。
純正品
ノーブランド互換品
より高画質な配信や録画をするためのオプション
より高画質に入力するためのHDMIキャプチャを紹介します。
高画質、高解像度な配信や録画環境が必要な場合に検討してみてください。
多くのリモートワークはライブビューで対応できますし、高画質、高解像度な撮影はSDカードでの録画でも対応できると思います。
映像をPCでリアルタイム処理をしてリモートで流すのは実は難しいことです。例えば安いキャプチャボードだと遅延してしまう問題があり、音声と映像に大きなズレが起きてしまったりします。
ここではHDMIキャプチャで有名なElgato社の低レイテンシーHDMIキャプチャを紹介します。
USB接続のHDMI->USBデバイスです。ノートPC向けです。
下記は1080p/60fps、4K/30fpsまで対応します。
デスクトップPCで拡張できる環境なら、内蔵拡張ボードもオススメです。
下記は1080p/240、4K/fps60 HDR10対応です。
接続にはマイクロHDMIが必要です。
人気のATEM Miniってどうなの?
HDMIキャプチャとしてはATEM Miniが人気ですが、2020年6月時点では数ヶ月待ちの状態です。また4Kには対応していませんし、若干の映像の遅延が発生します。映像と音声が別撮りな場合、ずれが生じますので、対策が不可欠です。
複数の映像機器からの入力切替を要するのでなければ紹介したキャプチャデバイスがオススメです。
検討の過程「どのように考えたの?」
ここからは検討の内容を紹介します。検討過程の参考になれば幸いです。
条件は大まかに下記の通りです。
・極めて高画質に撮影できること
・webカメラとして使える
・FullHDや4Kで動画撮影ができる
・低価格で実現できる(消耗品で償却できる程度
・ボケを大きく撮影できる
・ブリージングが起こらないレンズである
・30分以上の映像の連続出力(HDMIまたはUSBで4時間以上)ができる
・HDMIまたはUSBモニタリングスルーに対応している
(モニター用のユーザインタフェースを除いてHDMI出力ができる)
・稼働中に露出やISOなどが調整できる
ボケがとにかく重要です。
1.ぱっとみで見栄えがする
2.視線誘導をコントロールできる
ボケを大きく撮影できるのは以下の組み合わせです。
・大きなイメージセンサー
・明るいレンズ
つまり以下の組み合わせが該当します。
・1.フルサイズイメージセンサーと明るいレンズ(F2.8以下)の組みあわせ
・2.APS-Cイメージセンサーと極めて明るいレンズ(F2以下)の組みあわせ
低価格に納めるとなると、2番の組みあわせしかありません。2番でもF1.4といった極めて明るいレンズを用いることで、フルサイズのような美しいボケを表現できます。
F1.4では周辺減光といった画の端が暗くなったりする現象がありますが、リモートワークでは基本的に人が中心に配置する日の丸構図なのでマイナスに働きません。
レンズを考える
レンズを考えていきましょう。
カメラをどこに配置するのかを考えましょう。下からのぞき込むとノートPC付属のwebカメラのように顔が大きく移ってしまいます。ディスプレイの少し後ろ、またはディスプレイの上からのぞき込むように撮影するのが見栄えが良くなります。
その位置でレンズに求められる焦点距離は35-45mmとなります。
レンズに求められる条件が揃いました。
・低価格
・焦点距離35-45mm
・明るいFレンズ
全てのレンズを調べましたが選択肢はひとつだけです。
Sigma社の30mm F1.4 DC DNです。APS-C換算45mm、32,000円。
この条件に合う他のレンズは2~3倍の値段となるか、F2.8とすこし暗いレンズになってしまいます。
レンズでは次の条件も重要です。
・ブリージングが起こらないレンズである
ブリージングとは、フォーカスする焦点位置によって画角が変わってしまうことです。これが起きにくいことが大切です。写真用カメラのスチルレンズでは古いレンズほど大きく画角が変わってしまうこともあるのですが、30mm F1.4 DC DNはあまり起こらず、オートフォーカスしても異和感のない絵作りになることが分かりました。
フォーカスブリージングの例
カメラを考える
次にカメラを考えていきましょう。システム周りの対応が重要です。
・低価格で実現できる(消耗品で償却できる程度
・webカメラとして使える
・FullHDや4Kで動画撮影ができる
・30分以上の映像の連続出力(HDMIまたはUSBで4時間以上)ができる
・HDMIまたはUSBモニタリングスルーに対応している
・稼働中に露出やISOなどが調整できる
カメラメーカーに問い合わせた結果、映像用のシネマカメラを作っているメーカーの対応が非常によいことが分かりました。ソニー、キヤノン、パナソニックです。
30分以上の連続撮影ができるカメラは限られている
特に今回の条件で動画を30分以上の連続撮影できるのはSONYとFUJIFILMのみでした。
多くのカメラで動画撮影が29分59秒なのです。30分を超えるとEUの関税がかかってしまうため意図的な制限でした。これも今年2月1日に関税が撤廃されたこともあるせいか、新しめのカメラでは制限が取り除かれつつあります。ただ複雑な事情が絡んでいるため、他のメーカーが追随するかは分かりません。
どうなる? デジカメ動画の“30分制限”。「日EU・EPA」の影響
https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1171774.html
リモートワーク用のカメラとして細かい仕様まで合っている
また、細かい仕様まで含めて条件に合うカメラとなると、非常に絞られてきます。
超高画質なwebカメラ化で話題になったSIGMA fpはPC接続中には露出調整ができないといったシステム面の不十分さがあることが分かりました。※今後のアップデートで可能になるかもしれません。
このようにしてSONYのカメラα6100と、Sigmaのレンズ 30mm F1.4 DC DNに焦点を絞っていきました。
最高のリモートワークを実現するカメラ環境
現時点では下記組みあわせがコストパフォーマンスのバランスが良好そうです。もっといいのがあったら教えてください。全メーカー、全レンズの組み合わせを考えても自分には見つけられませんでした。
低価格なまま、その他のいくつか条件を弱めると、動作検証まではしていませんが、以下も検討対象にあがるかもしれません。
CANON EOS Kiss X10 65,000円 + 30mm F1.4 DC D 32,000円
Nikon D3500 38,500円 + 焦点距離35-45mm F2.8以下のレンズ※
FUJIFILM X-T100 40,000円 + 焦点距離35-45mm F2.8以下のレンズ
※NikonとFUJIFILMでは「30mm F1.4 DC D」は通常は使えません。
各企業のアップデート
ソニー
ソニー製カメラ35機種をWebカメラとして使えるアプリ、無料公開
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1271832.html
キヤノン
米キヤノン、Webカメラ化ソフト「EOS Webcam Utility Beta」のmacOS版を公開
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1255320.html
EOS Webcam Utility Betaで高品質なWeb会議システムをつくってみよう
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/special/1251926.html
富士フイルム
「X/GFXシリーズ」のデジタルカメラをオンラインミーティングで利用できるソリューションを提供開始
https://fujifilm-x.com/ja-jp/global-news/2020/0527_3589111/
パナソニック
ライブストリーミング配信用途に配慮したベータ版パソコン用ソフト「LUMIX Tether for streaming(Beta)」を公開
https://news.panasonic.com/jp/topics/168349.html
オリンパス
オリンパス、Webカメラ化ソフト「OM-D Webcam Beta」公開
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1262904.html
調べた資料を共有します
今回調査したカメラとレンズの一覧です。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1xIhLaLQSuQ5YuPC5aSNAXQVXLDVw1l05fVaEUUcZmdo/edit?usp=sharing
カメラは、問い合わせてカメラメーカーに紹介いただいたカメラや、動作検証ブログで紹介されていたカメラです。
レンズは焦点距離50以下、F2.8以下を掲載しています。
書いた人
Mori Yuyaといいます。
ヒット商品作りの支援をしています。そのため関係する事柄は全部頭に入れるということをよくやります。
お仕事募集中ですので、お気軽にメッセージください。
プロフィールページ
https://note.com/mryy/n/n6f01561a6253
メッセージ
https://note.com/mryy/message
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