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起業一年目の話。 ~デザイン会社~Vol.7

このマガジンは 起業した経営者あるいは独立したフリーランサーの「一年目」にフォーカスしたインタビューメディアです。
「起業しようかな・・・」「独立したけど不安だ・・・」と、これからの働き方に不安を感じる人は、実際の経営者やフリーランサーがどのような考えや気持ちで独立したか、苦労したことは何か、独立する前にした方がよかったこと等々参考にしてください。
このマガジンがこれから起業・独立を考えている方や、独立したばかりで不安が多い方の励みになることを心から祈ってます。
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株式会社アベデザイン
代表取締役 安部 英人(アベ ヒデト)

この話のポイント
 ・安部さんの経歴は、家業→デザイナー→起業→会社員→起業
 ・会社員より経営者の方が自分の性格に合っている
 ・一年目はお金関連で苦労
 ・現状の満足度は20〜30点程度

ー本日は宜しくお願いいたします。まず、安部さんの経歴を教えていただけますか。

少しややこしいですが、家業、デザイナー、経営者、会社員、経営者、です(笑)
元々は家業を継ぐ予定だったので、高校卒業後は家業を手伝っておりましたが、昔からデザインの仕事に興味があったのでデザイン会社に転職し、その後デザイナーとして独立しました。当時は大手音楽会社のCDジャケットや大手スポーツショップの広告を手掛けてましたよ。
そして、21歳の時に知人とTシャツの販売会社を立ち上げ、その会社を10年経営しましたが、色々あって31歳の時に会社を休眠し、その後は様々な職を転々としながら41歳までシステム開発会社などで会社員として働いております。
そして、また色々あって41歳の時に再び起業し、今の会社を立ち上げました(笑)今の会社は今期で6期目を迎えます。

ー・・・凄いですね(笑)まず、1度目の起業のことを伺いますが、10年で休眠した理由は何故ですか?

正直、何の計画も立てないまま、何も分からず会社を立ち上げてしまったので、上手くいかなかったです。私はTシャツのデザイン及び製作、あとは資金調達を担当しておりましたが、実際はほとんど販売できずの状態で赤字続きでした(笑)
10年経営していたと話しましたが、実態は借入を返済するために存続していたと言う方が正しいのかもしれません(笑)元々、デザイナーとして独立していたので、その収入分をTシャツ会社の返済に充てていた状態でしたからね(笑)

ー相当苦労されたようですね・・・。その後、会社員として約10年働かれていますが、その理由は何だったんですか?

借入金が完済し、会社経営に疲れてしまったからです(笑)それと退職金がもらえる環境に行きたくなりまして(笑)当時は定年後にお金が貰えると言う環境がすごく魅力的に見えてましたよ。36歳くらいまでは色々な会社を渡り歩き、36歳で入ったシステム開発会社は居心地が良かったのでそこで5年働きました。

ーそして、その後41歳で再び起業する訳ですが、そのキッカケを教えて頂けますか?

実を言うとその時は独立するつもりが全くなかったんです。しかし、色々な理由からデザイン部門が無くなるということになり、転職も考えつつ、取引先や知り合いに挨拶回りをしていたところ、独立したら?とお話をいただいたので、再度独立した訳です。

ーなるほど。そうだったんですね。では御社の業務内容を教えていただけますか?

弊社は自社システムやWEBシステムのデザイン会社です。簡単に言うと、自社システムやWEBシステムを使い易くする仕事とお考えください。
Yahoo!やyoutubeを開くとホーム画面って出ますよね。あの画面はユーザーインターフェース(UI)画面といって利用者が見る画面なんです。もしあの画面がカテゴリー別に分類されておらず、ゴチャゴチャした画面なら利用者は当然使いづらいですよね。我々の仕事は利用者の視点で、そのUI画面の使いやすさを向上させることです。
注文した機能は実装しているけど画面が使いづらいと思っていた場合、弊社が機能はそのままにして画面だけ見やすくします。

ー安部さんの営業方法などを教えていただけますか?

毎回試行錯誤しますが、基本は自分で開拓しています。一時期はテレアポ会社へ外注もしていました。他にはHPの問い合わせから頂くこともあります。
HPには過去の実績や弊社が提供できるサービスを細かく記載していることで、発注者が理解しやすい設計にしております。これがただ単に「デザインが出来ます。料金は◯◯円です」だと仕事は来ないですが、弊社は何が出来るかを明記し、作り込んだことが功を奏しました。
あとは紹介です。知合いが色々な人を繋いでくれます。私の中では紹介営業が一番いいですね。大切なのはそのための信頼を作ることです。

ー1年目の苦労話はありますか?

お金周りには苦労しました。設立時は貯金などの蓄えがない状態でしたが、既に社員を雇っていましたのでその人の給料の確保が大変でした。当時は今ほど仕事もなかったですし営業の仕方も分からなく、それこそ挨拶だけで遠方に行ったりもしましたよ。でも不思議なことに遠方でも行けば何かしらの仕事にはなりました。
あとは3ヶ月先の仕事が見えない不安が大きかったですね。ルーティンワークもないから定期収入もない。だから3ヶ月の間に次の仕事を見つける必要があり、当時は切羽詰まっていたと記憶しております。

ー相当大変そうでしたね・・・ちなみに売上額などは聞いてもよろしいでしょうか。

苦労しましたが、一年目で1,000万はありました。今ではぼちぼちという感じです(笑)

ーぼちぼち(笑)売上は順調に伸びていると思いますが、その理由などありますか? 

常にアイディアを出したり、新しいことを続けています。
実は2018年11月と2019年3月に新会社を二つ立ち上げました。一つはAIを使った画像関連の会社、もう一つはスマホに関連した出版社向けの電子書籍提供サービスの会社です。
まだ途中なのでこれ以上は話せませんが、このように常に新しいことを続けているからだと思います。

ー今後の不安や課題などはありますか?

新会社を作った理由もそうですが、定期収入が入るビジネスモデルを作ることです。正直、デザイン一本ではずっと食べていけませんし、営業をし続けるため疲弊します。
今の状態が受託体質なので、そこからから抜け出すことが課題ですね。

ーでは今の現状に点数をつけたら何点ですか?

現時点では20〜30点です。自分の中ではまだやれることが出来ていない状態です。もっと効率的に働いて自分の時給を上げることが出来るはずですが、それが出来ていません。経営にしても、デザインにしても、営業にしてもまだまだ改善の余地が幾らでもあると思います。

ー自分に厳しいですね・・・安部さんが思う会社員と経営者それぞれのメリットなどを教えていただけますか。

社員はつまらなかったですね(笑)会社や上司によりますが、売上が伸びるアイディアがあってもそれが会社の方針に沿っていないときは採用されません。いい意味でレールから外れている考えの人は独立した方がいいと思います。
逆に会社員は「給料」と言う定期収入がありますので、会社員時代はお金の心配をしなくて良かったです。
でも独立してもちゃんと営業が出来れば、仕事は来ます。だから結果的に独立後もお金の心配はしなくていいと思うようになりました。
あと経営者はコスパがいいですね(笑)給料も自分次第で青天井に伸びますが、会社員ではどんなに結果を残しても限界がありますので。

ー安部さん自身、経営者と会社員ではどちらが自身にあってましたか?

二回目の起業で「もう会社員は無理だ」と思うようになりました。一回目の起業では会社を清算した時に「二度と起業はしない」と決めていましたが、やはり自分には会社員よりも今の方が合っています。飽き性なので会社員だと同じことの繰り返しで直ぐに飽きて辞めたくなるんですよ(笑)

ーなるほど(笑)では今後の目標を教えて下さい。

新しい会社で作るサービスが売れることですね。そしてゆくゆくはこれを組織化してまわせるようにしたいです。そうすれば定期収入が入り、別のビジネスに挑戦しやすくなります。

ーでは最後に独立しようか悩んでる方へメッセージをいただけますか。

独立しようか悩むくらいなら独立した方が良いと思います。今は環境も整っていますし、失敗してもまた会社員に戻ればいいだけです。
ただし、なにも武器がない状態ではダメですね。自分のサービスや武器を持つことが大切です。
あとは、自分がやりたいビジネスが明確なら助成金や補助金を使うことをオススメします。それは起業相談センターとか行けば丁寧に教えてくれますよ。

ー本日は有難うございました。

株式会社アベデザイン
代表取締役 安部英人(アベヒデト)

1973年7月、東京都世田谷区出身
座右の銘:有言実行

感想
とても穏やかな方で終始ニコニコされておりました。また、一度知人と起業し上手くいかなかったものの、再び起業していると言うことは、やはり起業は会社員以上に楽しいものなんですね。
是非、デザイン関連で相談がある人は安部さんまで。
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