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虚実綯交ぜ骨折り日記①~転倒から受診への旅立ち篇

3月9日(金)に左足首を骨折し入院してしまいました。
大きな怪我も入院も人生で初めて。
せっかくなので、体験した事などを照れ隠しの意も込めて虚実綯交ぜな状態で書いていこうと思います。
虚と実の割合は書きながらの感覚です。思い出しながら書いてるので、実と思ってる事が虚であることもあるかもしれません。

つい長々と書いてしまったので、とりあえず病院受診へ出発するまでで区切りました。


1 「転んだら足が曲がった」

午前中は、家で録画したドラマを見たり、noteを書くなどしてのんびり過ごしていた。
時計の針が11時を過ぎた頃、「あっ!スーパー」と思い出し、少し慌てて家を出る。

今日は時間に追われる必要もないのだが、午後になってから外に出るような用事を始めると、何となく一日が勿体無い気持ちになってしまう性分なのだ。
だけど、そんな気持ちで外に出たことが最初の失敗。

今日の外出予定はスーパーへの買い物だけ。しかし、野菜などは前日に買ってあるので、本当は行く必要もなかった。
それなのに、少し欲しいものがあるからと買い物へ出たことが二つ目の失敗。

今の季節は、道路が一番危ない状態である。
冬の真っ只中だと用心も怠らないが、溶け始めている時期は気持ちに油断が生まれてしまう。
しかし、本当に滑るのはこんな時だ。
家を出て歩き始めは、そんなことを考えながら歩いていたはずなのに。

自宅の近くにある公園の横を通り、少し先の小さい公園まで、いつものルートを歩く。
雪がない時期は、この小さめの公園のなかを横切るのだが、今は雪捨て場となっているため入ることは出来ない。

仕方ないので公園を大回りして、最近通るようになった道を通り、大きめの道路まででる。
目指すスーパーは道路を渡れば目の前に見えるが、横断歩道まで少し距離がある。

ここまでは足元に気を付けながら歩いていたのだ。しかし、目の前にあるのに、すぐには行けない距離が僅かなもどかしさとなって心に燻っていたのだと思う。
横断歩道に近づくと点滅している。道路は黒い。頭より先に身体が走っていた。
これが、三つ目の失敗。スリーストライクでアウトである。

この時期の悪魔は地面に潜んでいる。忘れていた訳ではないのに、走る直前には頭に浮かばなかった。
そう、ブラックアイスバーンである。

傍目から見ていたら、気持ちの良い転びっぷりに拍手をしたのではと言うくらいの勢いのある転倒。
転んだ瞬間、刻が止まり、体勢を立て直す前に最初に思ったのは、
(あっ、左足が九十度まがってる……)
だった。

刻はすぐに動き出し、道路に居るわけにもいかないので妖怪のような動きで張って歩道まであがる。
幸い?転んだ瞬間は周囲に人は居なく、後から歩いてくる人に訝しげな目を向けられるも気にしてる余裕はなし。
なんせ、足首から体重をかける度に変な音がしているのだから。

(これは、多分ヤバい)
そう思ったのに、こういう時に変な行動をするのが自分である。
そのまま、痛くて変な感触の足を引きずりスーパーへ買い物へ行ったのだった。

スーパーでは、予定していた物を最短距離で購入した。
チルドカップコーヒーや乳酸菌飲料など、本当に急いで買う必要の無いものばかりだった。
もちろん足は既に限界なため、タクシーで帰宅。ワンメーターで家まで着いた。

家に帰り、買ったものを仕舞うのもそこそこに、足を心臓より高い位置になるようにしながらアイスノンで冷やす。
腫れのスピードが尋常ではなく、痛みも尋常ではない。

家から近い整形外科病院の午前診療が終わりを告げる時間になっていた。

なぜ、スーパーへ買い物へ行ったのか。
転んだ時点で病院へ行けば。

そんなことを思いながらも、昼休みの時間でも受付は出来る筈、というか早く行かないと家から出られなくなりそう、と病院へ行く決心をする。
なんとか保険証を引っ張りだし、念のため現金も財布へ入れる。
タクシーが着くまでの僅かな時間に、昼食としてあんドーナツを飲み込む余裕はあった。いつも通り美味しかった。

履きやすく脱ぎやすいという選択肢から、愛用の冬用長靴を履いて、死にそうになりながらタクシーの止まっている場所まで歩き始める。

途中、マンションの管理人さんに心配された。
「お母さんに続いてだね、大丈夫かい?」

そうなのだ、一月に母親が転んで左膝を骨折している。
今年の我が家は、そういう年なんだ。そう思いながら管理人さんに「ヤバそうなので、ちょっと病院へ行ってきます……」と弱々しく告げタクシーへ乗り込んだ。

しかし、「ちょっと病院」どころではなかったのである。

――続く


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