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読書感想文

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2024年2月の記事一覧

ケサランパサランについて~『ケサランパサラン日記』の紹介と感想+ケサランパサランについて調べたこと

西 君枝『ケサランパサラン日記』草風社, 1980 西 君枝『ケサランパサラン日記』紹介と感想  自宅の庭先で偶然ケサランパサランと出会った事から始まる、孫にも協力してもらいながらの観察の日々。 そして、ケサランパサランの持主が多いと言われている宮城県への旅の記録を、豊富な写真と一緒に送る。  自分にとってケサランパサランと言えば、スーパーマリオワールドで登場し、スーパーマリオブラザーズワンダーでも再登場している、あれでした(マリオではケセランでした)。  しかし、この

黒岩涙香「無惨」(1889) 紹介と感想

黒岩涙香『黒岩涙香探偵小説選Ⅰ』論創社, 2006, p.1-54 黒岩涙香『黒岩涙香探偵小説選Ⅱ』論創社, 2006, p.249-255 黒岩涙香(1862~1920)は、主に明治期に活躍しており、ミステリー好きにとっては外国作家の小説を翻案して日本に紹介したことで知られています。 無惨(1889/明治二十二年) あらすじ 数多くの創傷、擦剥、打傷があり、頭も裂けている世にも無惨な死体が見つかる。谷間田と大鞆、二人の刑事が目を付けた手がかりは、死体が握っていた縮れた

芥川龍之介 読書記録①(蜜柑/疑惑/葱/河童/或阿呆の一生)

中学・高校時代を中心に夏目漱石を中心に文豪と言われる作品を色々と読んでいた時期がありましたが、その時期に殆ど読まなかった文豪も少なくありませんでした。 芥川龍之介もその一人で、教科書で「羅生門」を読み、何かの機会に「蜜柑」を読んで終わっていました。 しかし、「蜜柑」が面白かったこと、精神病との関りなどから、いつか読もうと考えており、一昨年にちょっとしたきっかけから、少しずつ読むようになりました。 今回は、これまでに読んだ作品から面白かった作品、印象に残った作品についての感

『ゴドーを待ちながら』雑談

忙しくなると今必要なこと以外の余計なことを考えがちになります。 急に『ゴドーを待ちながら』のことを考えてしまい、大したことは考えてないとはいえ、今考えたこととして記録しておきたくなりました。 ちなみに、この雑談は『ゴドーを待ちながら』の感想は書いていますが、有益な解釈とかは書いていないのであしからずご了承ください。 最初にゴドーを待ちながらを読んだのは3年ほど前。以下はその際の感想です。 相変わらず作中要素の理解は進んでいません。 そんな中で、急に「ゴドーってなんだ?

《海の上のカムデン》シリーズ2『氷の女王が死んだ』(1989)紹介と感想

コリン・ホルト・ソーヤー/中村有希・訳『氷の女王が死んだ Murder in Gray and White』東京創元社, 2002 あらすじ 前回の殺人から数か月、平和な空気に包まれていたカムデンに、またもや嵐がやってきた。エイミー・キンゼスが入居してきたのだ。 入居当日から女王のような態度のエイミーは、人に恥をかかせることが好きなのかのような行動を繰り返し、多くの人間が傷つけられた。 自分のプライバシーを守るために、疑わしき者は罰するの精神で怒鳴りまくるエイミー。当然、

《海の上のカムデン》シリーズ3『フクロウは夜ふかしをする』(1992)紹介と感想

コリン・ホルト・ソーヤー/中村有希・訳『フクロウは夜ふかしをする Murder by Owl Light』東京創元社, 2003 あらすじ ある火曜日の夜、自動販売機の管理をしていたエンリケ・オルテラーノが、カムデンで刺殺された。 事件はベンソン部長刑事が担当となったが、オルテラーノ自身に怪しい所はなく、捜査は進まなかった。 次の火曜日の夜、今度はカムデンの庭師、ロロ・バグウェルが自分の大バサミで刺殺される。 カムデンの入居者達は殺人事件の話題で盛り上がり始めるが、同じく

2024年1月の読書まとめ+『税金で買った本』4巻まで感想+『土を喰う日々: わが精進十二ヵ月』感想

今月は図書館関係の漫画2冊を少しずつ読み進めていました。 小説はあまり読めませんでしたが、読みたかったエッセイが読めたので比較的満足感がありました。 2月は引き続き忙しくなりそうですが、隙間読書をしながら読みたいものを読んでいきたいところです。 原作:ずいの 漫画:系山冏『税金で買った本』4巻まで読んだ感想 4巻まで読み進めて図書館に石平くんがいる風景もすっかり日常のものになりました。彼の真面目さが巻数を重ねる毎により強く出てきており、今後の成長にも期待してます。 巻末