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アガサクリスティーについて

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アガサ・クリスティー関係の記事をまとめています
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#ミステリー小説

アガサ・クリスティー『殺人は容易だ Murder is easy』(1939)紹介と再読感想

アガサ・クリスティー/高橋 豊 訳『殺人は容易だ』早川書房, 1978 『ゼロ時間へ』を再読した流れから、去年のBBC製作クリスティー原作ミニドラマシリーズに選ばれた『殺人は容易だ』も、10数年ぶりに再読してみました。 あらすじ 植民地で警官をしていたルークは、引退してイギリスへ戻って来た。 友人の家へ行く途中の列車で同席したピンカートンという老婦人から、ウイッチウッド・アンダー・アッシュと言う小さな町で3人の人間が殺され、近く4人目が殺されそうなのでロンドン警視庁へ行

アガサ・クリスティー『ゼロ時間へ Towards Zero』(1944)紹介&再読感想

アガサ・クリスティー/田村隆一訳『ゼロ時間へ』早川書房, 1976 BBC製作のクリスティー原作ミニドラマシリーズの次作が『ゼロ時間へ』だと発表され、最近読んだ『殺人は容易ではない アガサ・クリスティーの法科学』の著者が好きだと言っていたのもあり、10数年ぶりに再読しました。 あらすじ 著名な弁護士であるトリーヴス氏は常々、「殺人というものは終局であり、ゼロ時間の一点に集中されている」と考えていた。 1月、マクハーターという男が自殺に失敗し病院に入院していた。 2月、一

アガサ・クリスティー『忘られぬ死』(1945)紹介と再読感想

アガサ・クリスティー  中村能三訳『忘られぬ死 Sparkling Cyanide』早川書房, 2012(電子書籍) 個人的に、BBCミニシリーズでドラマ化して欲しい作品で上位に来る原作を、久しぶりに再読しました。 あらすじ 自身の誕生日パーティーの最中に青酸カリを飲んで死んだローズマリー・バートン。その死は、自殺として処理された。 それから1年が経ったが、妹のアイリス、夫のジョージ、ジョージの秘書であるルース、ローズマリーの不倫相手だったスティーヴン、スティーヴンの妻

アガサ・クリスティー『終りなき夜に生れつく』Endless Night(1967)紹介と再読感想

アガサ・クリスティー 矢沢聖子訳『終りなき夜に生れつく』早川書房, 2012 (電子書籍) 昔から大好きな作品の一つであり、時折再読したくなります。この作品もBBCミニドラマシリーズの計画が発表された時から映像化されないかなぁと思っています。 あらすじ マイクは、様々な職を転々としながら生活をしている青年だった。 彼は、ある時出会った〈ジプシーが丘〉に一目惚れし、友人である天才建築家・サントニックスが設計した家を建てたかった。 ある日、マイクは〈ジプシーが丘〉でエリーと