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児童書・絵本・漫画など感想

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児童書や絵本、漫画の感想を中心にまとめています。
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記事一覧

埜納タオ『夜明けの図書館』全7巻 紹介と感想

暁月市にある暁月市立図書館の新米司書・葵ひなこ。 様々な利用者の「知りたい」という要望にひなこや同僚が応える、レファレンス・サービスを中心に描かれる人と人の関係性を描いた物語です。 双葉社の雑誌『JOURすてきな主婦たち』2010年12月号から~2020年12月号まで、年に2~3本のペースで連載されました。 全巻を通して「調べる」「分かる」という行為の面白さが描かれていました。 図書館職員には、市役所から出向してきた正規職員の大野さん、頼れる中堅司書の石森さん、元校長先生

ドラえもんプラス 第7巻(2023)各話感想

9年ぶりのドラえもんプラス最新刊なので、何か残しておきたいと思い、読みながら感じたことや反応した所を、簡単に書いていきます。 それぞれの話に良さがありますが、特に好きなのは、 4コマしか出ないおじさんの存在が完璧な「つきぬけざぶとん」 ホラーサスペンスギャグ漫画な「ドラえもんの歌」 ドラえもんのたたずまいが好きな「のび太放送協会」 自分も一緒に遊んでみたくなる「アニメスプレー」 ドラえもんというロボットの魅力溢れる「万能テントですてきなキャンプ」 になります。 ドラえもん

作/香山美子 絵/柿本幸造『どうぞのいす』(1981)紹介と感想

作/香山美子 絵/柿本幸造『どうぞのいす』ひさかたチャイルド, 1981 あらすじ うさぎさんは、自分が作った小さな椅子に「どうぞのいす」と名付けて大きな木の側に置いておきました。 大きな木の側は、たくさんの動物たちが通ります。 はじめにろばさんがやってきました……。 本の紹介と感想 「どうぞのいす」を中心に起こる、動物たちのコミカルで優しい循環を描いたお話です。 うさぎさんの優しさが、本人の知らない所で他の動物たちの優しと合わさって巡り巡っていく感じが心地よかった

宮野聡子/作・絵『あなたに あいたい』(2022)紹介と感想

宮野聡子/作・絵『あなたに あいたい』教育画劇, 2022 あらすじ 森の外れの丘の上にある小さな休憩所。 うさぎさんが掃除に来ると、前半分が消えていましたが伝言板に「あいたい」と書かれていました。 そこに、こりすとくまくんがやってきます。 3人で掲示板の内容について考えていると、子どもに会いたいかえるや友達に会いたいいたち、母に会いたいこじかが集まってきました。 会いたいのに会えない。皆が悲しい気持ちになっていると、一羽のわたりどりが飛んできて…。 本の紹介と感想

ヨシタケシンスケ『それしか ないわけ ないでしょう』感想

ヨシタケシンスケ『それしか ないわけ ないでしょう』白泉社, 2018  学校から帰ってきたお兄ちゃんが「みらいはたいへんなんだぜ。」って言ってた。ショックをうけておばあちゃんに話したら、「だーいじょうぶよ!みらいがどうなるかなんて、だれにもわかんないんだから!」って教えてくれた。お兄ちゃんに色んな未来の可能性を話していたら、どんどん面白くなってきて……。  ヨシタケシンスケさんのコミカルでかわいい絵から生み出される、自由で柔軟な沢山の未来の可能性に、ワクワクした気持ちに

モンポケえほんシリーズ『はじめてのともだち』『よるのたんけん』感想

まつお りかこ『ピカチュウとはじめてのともだち』小学館, 2021 まつお りかこ『ピカチュウとよるのたんけん』小学館, 2022 まつお りかこ『ピカチュウとはじめてのともだち』小学館, 2021 どこかに自分にぴったりすてきな場所があるはず。 小さな船で旅するピカチュウがたどり着いた島は「もんぽけじま」。 島の住人、デデンネの案内で、島中のお家を尋ねます。 イーブイやマネネなど、島の住人たちの家は、それぞれの個性にあふれています。 家にはいる前には、家の住人の一部分

戸森しるこ/作、結布/絵『トリコロールをさがして』感想

戸森しるこ/作、結布/絵『トリコロールをさがして』ポプラ社, 2020 あらすじ 小学四年生の真青は、二歳年上の幼馴染・真姫が大好き。 二人はいつも一緒に過ごしていたのに、六年生になってから真姫が変わってしまい距離ができたと感じていた。 真姫が離れてしまう事が寂しくて、ずっと一緒にいようとするほど、二人の距離は開いていく。 成長の早い子ども時代、真青は真姫との関係に悩みながら前に進んでいく。 感想 真青の一人称で語られる物語は、真青と真姫の関係を中心に、真姫が憧れてい

高橋真理子/文 早川世詩男/絵『星空を届けたい 出張プラネタリウム、はじめました!』(2018)本の紹介と簡単な感想

高橋真理子/文 早川世詩男/絵『星空を届けたい 出張プラネタリウム、はじめました!』ほるぷ出版, 2018 全国の小児病棟などで「出張プラネタリウム」を行っている著者が語る、星や宇宙に興味を持ったきっかけや、科学館で働いているときの思い出、プラネタリウムに興味を持ったきっかけや、現在の仕事について描かれています。 著者が自身の生き方や、出張プラネタリウムの活動から得た体験を通して、星や宇宙の魅力、「気持ちを込めた仕事をすることの大切さ」について優しい口調で書かれていました

武田綾乃『きみと雨上がりを』(2023)感想

武田綾乃/著、株式会社ポケモン・株式会社ゲームフリーク/監修『きみと雨上がりを』2023 あらすじ オレンジアカデミーで課外授業の「宝探し」が始まった。 生徒会長でありチャンピオンであるネモも、新しい出会い、新しいポケモン勝負を求めて課外授業を楽しんでいた。 ライバルになるかもれない、新しい友達「アンナ」のことを考えながら。 本編の紹介と感想 本作は、Switch『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』を原案として、『響け!ユーフォニアム』などでお馴染みの武

(社)日本児童文芸家協会【編】『メルヘン・オムニバス』(2002)紹介と感想

(社)日本児童文芸家協会【編】『メルヘン・オムニバス』パロル舎, 2002 日本児童文芸家協会の会員の応募作品から選ばれた、全12作からなる創作童話集です。各話20ページ以内で完結する短い話が揃っています。 収録作品あらすじ林 マサ子「幸せを呼ぶペンダント」 イタリアの港町でカメオ彫りをしているマルコ。彼の作るカメオは「幸せを呼ぶペンダント」と評判だった。 今日は、一か月に一度のペンダントのための皿貝を買いに行く日。マルコは島へ行くための船に乗った。 森木 林「オルゴ

2023年の読書振り返り

去年の読書記録と振り返りを簡単に残しておきます。 再読漫画など一部記録していない本もありますが、記録に残っているだけでも、特定の作家にはまりながら、他にも色々と読んでおり、バランスが思いのほか良い年でした。 また、新規の本だけでなく、クリスティー作品を中心に再読も程々にできたので満足感もありました。 1月 1月は新規の著者、久しぶりの著者、再読とバランスのよいスタートを切れました。 『静おばあちゃんと要介護探偵』は、続編を読もうと思って1年経ってしまいました。近いうちに読