見出し画像

【カヌーポロ】戦術とルール作りの話

ヨーロッパ選手権の続編はとりあえずお蔵入り。いつか書くかもしれませんが忘れましょう。(と自分に言い聞かせつつ…)

今回のテーマは戦術とルール。
ルール=決め事。または決まり事。競技のルールの話ではありません。チーム内の決め事作りの話です。

ルールって必要なの?

戦術を練り、それを実行するためには必ず決め事が出てきます。
「Aの選手がこう動いたら、Bの選手はこう動く。」というように細かく決めることもあれば、「右側から攻める」というざっくりとした決め事のみの戦術もあります。どちらが正解という事もありませんが、クラブチームで定期的に活動して練度を上げながら戦術を作り上げていくと、より確実に得点を上げるにはどうするかという事を考えて練習しますのでチームとしての理想形というものが見えてきます。この理想形に近づけるためにどう動くかというのが戦術のルールです。理想が具体的であればあるほど必然的に決め事は多くなっていくのではないでしょうか。長く一緒にやっていると感覚的に「あいつがこう動いたら自分はこう動こう」とか「自分がこう動いたら、あいつはこう動いてくれるはず」なんていう阿吽の呼吸みたいなものも生まれるでしょう。それはそれで非常に素晴らしいことですが、局地的な場面の話であって、チーム全体の戦術のことを考えるならやはりルール作りは必要だと筆者は思います。

ルールのもたらす効果

ビジネスの話ですが、組織のルールは以下の3つの条件を満たされているのが良いとされています。
・1つ目は、ルールの範囲内では自由に行動することが許されていること。
・2つ目は、ルールを守らなければならない強制力があること。
・3つ目は、ルールを守る限り安全な環境が保証されること。

これはカヌーポロにおける戦術を作っていく上でも当てはまるところが多いです。戦術の組み立て方としては、目指す理想形のゴールと、そこに向かうためのルール決めが必要になると思います。ルールはゴールのためのプロセスのためにあるべきで、ルールありきで戦術を作ると頭でっかちで無意味なものになりかねません。
また、ビジネスにおいては「ルールを守る限り安全な環境が保証される」かもしれませんが、カヌーポロにおいては攻撃時にノーリスクということはまずありえませんので、リスクの高さと成功確率とのバランスが重要になってきます。

強制力の粒度

先に述べた通りでルールの範囲内では自由に行動することが許されていることが良いとされています。ただ、そうは言っても絶対守らなければいけない大前提のルールがあります。それに基づいて行動した上に初めて個々の自由な選択が許されるのだと思います。
相手がいるスポーツなので、思い描いた通りにいくとは限りません。
守らなければいけないルールという強制力の中で自由に行動することが許されるわけですから「ここについては必ず守り、この部分は自分で自由に選択していいよ」と強制力の強さを決めなければいけません。
例えば「ゴール前までボールを供給する」という強制の中には、ゴール前までの進み方は自由です。自身でドリブルで真っすぐ行こうが、パスを回してほかの選手が到達させようがそこは自由です。一方「シュートを撃つ」という強制は本人がシュートは必ず撃たなければいけません。ただ、シュートの撃ち方については自由です。同じ「自由」と言っても随分自由度の幅が違うと思いませんか?
そんなわけで強制力について以下のように分類してみました。

①厳守

必ず守らなければいけないベースとなるルール。それぞれの役割(ポジション・陣形など)や、戦術の核となる基本的な動き方です。これが守られないと戦術が崩壊してしまいます。

②選択

戦術を進める上で、2択あるいは3択といった選択する場面です。パスかシュートの2択、ドリブルかパスの2択、などある程度絞られた選択肢の中でより良いものを選ぶことが求められます。
選択肢が絞られてはいるものの、選ぶのは自由です。選択肢に何があるのか周りの選手が把握していれば、連携やフォローはしやすいですよね。
実は、強いチームの戦術ってのは②の繰り返しだったりします。ドイツ代表の戦術なんかを見ていると恐らくそんな数多くルールはなくて、ただただ高いレベルでやるべき事をやっているという印象を受けます。

③判断

本来の戦術の選択肢から少し逸脱した行動を選手が判断する場面です。思いがけず生まれたチャンスやイレギュラーなミスなどを活かすなど本来の選択肢よりも優先すべきものがある時にとる行動です。大枠の行動範囲内で高い自由度があります。この部分をどの程度許容できるかは、互いのことをどれだけ理解しているかが重要です。本来のルールだったらパスがベストな選択だけど、A君はこのシチュエーションでのシュート決定率が高いので撃つことが多い。そしてそれがチーム内で許容されている。そんなイメージです。

④独断

自分だけで判断すること。強制力が働いていない状態です。特に、ルールを無視して自分勝手な独りよがりな考えで決めること。ルール無視の完全なる独断行動です。これがチーム内で横行すると戦術は成り立ちません。

便宜上、名前を付けていますがそれ自体は重要ではありません。伝えたいのは①→④に向かって強制力が低くなるという事です。
チーム戦術としては①~③の範囲内で行動して欲しいところです。
急造チームでは互いの癖や能力、得意なプレーなどわかってない要素が多いですから、戦術のコンセプトとルールは最低限決めないといけません。
難しい連携などは無理なので、誰がどの役割をするのか、どこでシュートを撃つのか(撃たせるのか)というくらいは決めておくべきでしょう。

まとめ

今回は戦術におけるルール作りについて書いてみました。具体的にカヌーポロ に落とし込んだ話が出てこないのでわかりにくかったかもしれません。
強制力についての解釈が一致していないと「何で勝手なことやってるんだよ」とか「さっきのケースはこう動いたのに、なんで今度は違う動きしたんだ」という齟齬が生じてしまいます。
同じルールを話していても、絶対なのか、どこまで個々に許容されている部分があるのか、そんなところも擦り合わせられると、より良いチーム作りができると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?