「鯖そば」で勝負する熱い思いの詰まった「らーめんどんぐり」@調布・柴崎【調布ブレス Vol.1】
「調布STORY」あらため「調布DIG」
「調布を掘り起こす」という意味を込めました。
単なる街情報ではなく、ここで息づく人々の思いや生きざまをお伝えできればと思います。
(その後シリーズ名を再度変更しました。。)
初回ご紹介するのは、ママ店主が1種類のラーメンで勝負する「らーめんどんぐり」です。
京王線の各駅停車しか停まらない柴崎駅から徒歩5分の小さな商店街のはずれという、決してよくはない立地に2018年12月オープンした「らーめんどんぐり」。
細身でおっとりした印象の女性店主が営んでいて、どんぐりの可愛いイラストが目をひく小さなラーメン専門店なのですが、今は亡き旦那さまとの夢だったラーメン店を一人で開業したという、実はとんでもなく熱い思いが詰まったお店なのです。
旦那さまがラーメン好きで独立に向けてラーメン店で修業、店主も飲食店で経験を積んでいて、初めて持つ自分たちの店の物件を探している最中に病気が発覚して、あれよあれよと悪化し他界されてしまいました。息を引き取る日まで、二人のお店のことを話していたそうです。
料理の専門家ではなく小さな娘2人を抱えながらも、旦那さんの夢、夫婦の夢だったラーメン店の開業を決意した店主は、フランチャイズだったらできるかも?と調べ始めたところ、店主の生まれ故郷、長崎の名店「らーめん砦」と出会いました。
長崎では食べログ連続1位を獲得している「ラーメン砦」代表の川尻龍二さんが、自分の店を始める以前に料理人として携わっていたラーメン店に夫婦で訪れたことがあり、普段は味の意見が合わなかった夫婦揃って美味しいと思った味だったそうです。
川尻さんはフランチャイズだけでなくお店のプロデュースもしていて、事情を話し相談している最中にその偶然が発覚してご縁を感じ、プロデュースの依頼を即決。ラーメン砦グループの一員としてお店を持つことになりました。
旦那さまが病気で亡くなったこともあり、とにかくヘルシーなラーメンにしたいとの要望に川尻さんが応え、焼きサバを使ったスープと鶏肉のチャーシュー、野菜のトッピングというヘルシーなオリジナルメニューが完成。料理方法も細かく指導を受け、開業を迎えました。
旦那さまの一周忌を終えた約2カ月後にお店をオープン。見かけはおっとりされていますが、どれだけパワフルで熱い思いを持っている方なのでしょう。コロナ禍では、食料品がスーパーからなくなっているというニュースを見て、「近隣の方が食べるのに困ったら配ろう」とラーメンの材料を大量に発注したそうで、愛情深いとはこういうこと、地元に店を持つということは地域の人々のために生きるということをあらためて気付かせてもらいました。
店名の「どんぐり」は娘さんが歌っていた姿を夫婦で見ていた幸せな風景から名付けたそうですが、花言葉「永遠の愛」も込められているというのは内緒だそうです。
唯一のラーメン「鯖そば」は鯖の味がしっかりと、トッピングはさっぱりと、身体によいものを食べている感じがします。食べ終わったラーメンに加えておじやのように食べる「ダンクライス」や、当初は日によって異なる味にしようと思っていたけれど鯖を使った味が人気なので今は毎日鯖を使った「おうちカレー」、砦グループ共通の「黒豚ぎょうざ」、夏には冷やしも提供しています。
1周年を過ぎて新ラーメンも検討していましたが、コロナ禍で保留中。2周年にはお目見えするかも知れません。
カウンターだけの店では、見知らぬお客さんと花が咲くこともよくあるのは店主が作り出す空気感だから。
常連さんも増え、地域のニュースや「ラーメンぴあ」「Hanako web版」などにも取り上げられ、今年6月には「ぶらり途中下車の旅」で太川陽介さんが立ち寄りました。
ジワリジワリと地元に根を張っている「らーめんどんぐり」さん。長いおつきあいになりそうです。
らーめんどんぐり
https://www.instagram.com/ra_men.donguri/
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