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新型コロナウィルスによってテナントビルは減衰していく

皆さんこんにちは。

新型コロナが起爆剤となり企業の働き方改革が半ば強引な形で進んでいます。

そんな中、先月初め富士通は国内8万人の社員を対象に在宅勤務を標準とした働き方へ順次移行すると発表がありました。これに伴い国内のオフィスは半減されるそうです。

在宅勤務は単純に出勤時間を無くすだけでなく、それに付随して人事評価制度や仕事の進め方も変化する必要があります。社員にとってはメリットも多い在宅勤務ですが、皆さんの会社はどうでしょうか?

ちなみに私の会社の場合、4月〜6月は100%近い在宅率でした。現在は半々程度です。

たしかに、こうなってくると都内の一等地にオフィス必要なの?という疑問も生じてきますね。

そこで今回は新型コロナウィルスによりもたらされた在宅勤務の影響で、オフィスを借用する企業側が被った機会損失について考えていきたいと思います。

日比谷ミッドタウン 某企業A社の例で考える

日比谷ミッドタウンに入居しております某企業A社の場合をとって考えてみましょう。まず以下のデータを整理します。

①新型コロナにより在宅となった期間

A社が原則的に在宅勤務としたのは緊急時代宣言が発令される少し前、4月頭〜6月いっぱいまでのあいだになります。従ってオフィスがほぼ使用されなくなった期間は約3ヶ月間となります

②A社の借用オフィス面積

A社のオフィス面積は18年にプレスリリースした情報によればその広さは約10,000坪とのことです。

③ミッドタウン日比谷の平均賃料単価

これについての情報は無かったので、日比谷駅周辺の平均賃料は以下の通りでした。
日比谷駅周辺 平均坪単価…30,782円
これは月々の賃料に相当します。ちなみに東京都の平均坪単価は基準階で約25,000円とのことですから、さすがに日比谷は高いですね!

これらの①〜③を踏まえて、A社にとって今回コロナ禍による貸しオフィス機会損失は以下のように考えることができます。

10,000坪 × 30,782円 = 307,820,000円/月
307,820,000円 × 3ヶ月 = 923,460,000円

3ヶ月在宅期間によってなんと約9億円もの機会損失が発生しているということになります!!

もちろんこの金額はイコール損失額ではなく、本来使用されるはずだったオフィスや設備の機会の損失分という意味合いです。

これわかりやすくいうと、独身なのに3LDKのマンション買ってしまい2部屋ぐらい全く使わず暮らしてるみたいなイメージですかね。

当然今回の場合結果論にはなりますが、ようはテナント側にこれだけ無駄にお金を払っているということになります…。

今後テナントオフィスから離脱する動きが出てくるか

今後富士通のようにテナントオフィス削減の動きが他社にも広がるかどうか、これは未知数です。

現在もコロナウィルスは下火になるどころか増え続けていますが、電車の混雑率を見るに在宅勤務自体はそこまで定着していないように感じられます。
日本のサラリーマン文化は「出社してなんぼ」という意識がまだまだ根深く残っていますし、特に中小企業にはそのような傾向が強いのではないでしょうか。
ですが、今後第2波、第3波が来る度に在宅勤務を繰り返していけば機会損失は無視できないほど大きくなってしまいます。どちらにしても考え直すタイミングがいずれ来ることでしょう。

今後も都内の大規模な再開発案件は続きます。そしてそのほとんどが基準階にオフィスを持つテナント商用施設になります。今後これらのテナント入居率が下がっていくのか、不動産業界の方々は戦々恐々としているのではないでしょうか。しばらく状況を注視していきたいと思います。

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