toBサービスのスタートアップのペルソナ(という名の属性仮説作成・検証)

この記事は何か

現在スタートアップで1人デザイナーをしているのですが、最近ペルソナをまとめた方がよさそうだと思う機会がありました。
その中で、
- そもそもなんで作るの?
- どこまでやるの?
- 必要なくない?
といった声がメンバーから挙がったため、自社のケースの場合という前提で、その答えを整理する為に書いた記事です。

今回の記事よりもっと広く一般的な"ペルソナとは何か"、"一般的な作り方how to"等は、Goodpatchさんの記事を一読頂くと良いかもしれません。
https://goodpatch.com/blog/persona/

WHY: なぜ作るか

端的に言うと、チームの中に(個人的に)課題を感じており、その解決のためです。具体的にどんな課題だったかというと:
[ 1 ]  施策のやるやら/優先度判断が"見込顧客がどう思いそうか"ではなく”自分がどう思うか”になっていた
[ 2 ] 見込顧客(ユーザー)像がぼんやりしているため、想像できるペイン・課題の数が増え、開発が多岐に渡り過ぎていた
[ 3 ]  チーム内で見込顧客(ユーザー)の共通イメージがなく、開発のレビューなどが噛み合わず結果全体のスピードが落ちていた

For WHAT: なんのために作るか
WHYを裏返して目的は3つだと思っています。
[目的1] ”自分がいいと思うかどうか”からチームメンバー全員の目線を"見込顧客がいいと思うかどうか"に切替えるため
[目的2] 見込顧客に近い人を絞り探し易くし、その人から経験・ペインのヒアリングをすることでサービス開発を効率化させるため
[目的3] (チームで作成することで)見込顧客像をより具体的に共有し、メンバー個々の判断の質を上げる&同じ目標に向けてチームワークを強化するため

"作ったペルソナを共有"ではなく"一緒に作る"方がよいのは、議論に混ざって(たまに発言しながら)想像する方が、下記の作用があるためです。
- 人物像を格段に具体的に捉えられる
- 一斉に複数のメンバーの頭の中に具体的な像をイメージできる

また上記はすべて"メンバー全員の判断精度を上げることでPMF到達のための速度を上げる"という大目的に繋がります。

WHAT: 何を作るのか

よくあるのは一人の人物像ですが、とかくtoBサービスの場合そこまで強烈に個人にはこだわらなくても良い気がしています。性格や人間性面よりも、業務や組織など周囲の環境に重きを置くイメージです。

ただ、ペルソナの作成に慣れないメンバーで作成する場合、人間性の部分からが話し始めやすく、結果全体が早くまとまるケースが多いです。

極論、ペルソナ自体、"みんなが共通認識を持ち易くするためのフレームワーク"にすぎず、必ずよくある型にはめないといけない訳ではないと思っています。フレームワークをカスタムするでも、フレームワーク自体を作るでも。
ただゼロから作ると時間がかかるので、作り方の議論に時間を費やすよりも、スピード優先で素直に作ってもよいと思います。

HOW: どうやってペルソナを検証するか

大まかな流れ
ペルソナも、ジャーニーマップなどと同じくas-isとto-beを作り、その差分を検証する事で解像度を上げていきます。大まかな流れとしては:
[STEP1] 最初はto-beペルソナのみを仮説として作成し、
[STEP2] 検証1サイクル目でto-beペルソナをas-isにアップデートし、
[STEP3] 次のto-be(つまり仮説)を作成し、
[STEP4] 検証2サイクル目以降は2と3を繰り返す。

※既存のデータが何もない場合、1はメンバー間の妄想で手早く作る様でよいと思います

STEP2とSTEP3の粒度
数個の項目追加の場合も、人物像を新規作成する場合も色々あります。
ただし、数個の項目追加でも振返りの場でみんなで確認した方が、チーム内で共通認識を齟齬なく持てる様になります。

殆どの場合、数個の項目追加で終わると思います。
ただ、項目を追加し続けるとどんどんピンポイントな人物像になり、該当する人が極端に見つけづらい、最初のターゲットとして狭すぎる、などの弊害がいつか出ます。そうした時に、新しい人物像を作成するor1つだった人物像を分割して優先度を決める等の大きなアップデートが必要になります。

どうやって検証する?
大体下記のいずれかで答え合わせをする形になる気がしています。
A: 定性インタビューで
  A-1: ペインを探る質問に付随して明らかになった事実を元にする
  A-2: 検証用の質問項目をいれる
B: 定量的な情報を探して照合する
  B-1: ネットアンケートなどの定量調査を実施
  (B-2: 一般的な統計情報を調べる)

A-1: ペインを探るインタビューに付随して解った事実で答え合わせする
ペルソナそのものを探る質問を設置しなくても、ペインを探る質問に付随して見えてくるものがあるため、それを元に答え合わせをします。

A-2: 検証用の質問項目をいれる
どんな質問をするかが悩ましい所ですが、(具体的に何を検証しようとしているのかはぼやかしつつ)例えば下記。
- 今まで集中してXXについて学んだ時期がありましたか?
- その時どうやって学びましたか?
- 以前の会社の先輩など、気軽に相談できる人はいますか?
- 会社でXXに払っている費用は、コストとして気になっていますか?

B-1: ネットアンケートなどの定量調査
- 顧客のメールアドレスリスト
- (ある程度いいねが付いている)FBページ
など、熱量がゼロではない顧客との接点が構築できている場合、そこにgoogle formやServey Monkeyなどでアンケート依頼を流し、その回答を元に答え合わせをる方法もあるかなと思います。

(B-2: 一般的な統計情報)
デザインコンサル業の方は、行政が発行する統計情報を元にペルソナを構築する事があるそうです。スタートアップでは中々そこだけに時間を使う訳にもいかないので、現実的には次点になるかと思います。

---

ということで、ペルソナについて、(主に弊社のケースの)なぜ作るのか?どうやって検証するか?のご紹介でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?