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2.世界で一番好きな人。

あなたが、この世界で一番好きな人は誰ですか?

子どもの頃、何度か聞かれたことがある気がします。

私の答えは、幼い頃から一択です。


とても優しい人でした。


怒られたことはほとんど記憶にありませんが、礼儀や所作、挨拶にちょこっとだけ厳しかったような気がします。


母方の祖母です。


私の知らないことを沢山知っていて、見ていて、そして私じゃ想像もできない辛いことや悲しいことを、祖母はなんとか乗り越えて生きている。

そんな祖母を、幼ながらに尊敬していました。

その尊敬の気持ちは、20年以上経った今でも変わっていません。


家庭の事情で、祖母が家に来るか私が祖母宅へ行くかのどちらかを、幼少期は毎日交互に過ごしていて、年がら年中熱い緑茶を片手に祖母と色々な話をしました。

私の夢の話、祖母の夢の話、祖母の故郷の話、幼少期の話、戦争の話、母や叔母の話、祖父の話、私の兄弟の話……

その他にもたくさんのことを話したと思います。


その中でも私は、

「生まれてきてくれてありがとう。」

月並みの言葉ですが、優しい表情で向けてくれたこと言葉が、じんわりと暖かく私の心に染みたのを今でもよく覚えております。


祖母がいたからこそ、私の中の優しさや思いやりは無くさずに生きて来れたんだと思います。


ずっとそばで手を握り、

抱き締め、私の涙を拭い続けてくれました。


いつか絶対、祖母へ恩返しをするんだ。

その為に、今ある全てを頑張ろう。

そう思っていたから私は、色々なことをがんばれるようになりましたが、


病に何十年も苦しんだ祖母は、静かに、

みんなに見守られながら、1人で旅立ちました。


夏にしては涼しい、優しい朝焼けの朝でした。


可愛くて、寂しがり屋で、気遣い屋さんで、茶目っ気たっぷりで、オシャレで、誰よりも優しかった。



8月は、そんな祖母の命日とお盆があります。


私の中で、世界で一番大好きな人へたくさん思いを寄せていられる月です。


会えないことはわかってるけど、とてつもなく会いたくなり、寂しさの溢れる月です。



でも、それでいいんだよと、祖母から昔に教わりました。


「会いたいという想いも大切だと思うから。

捨てずに心の中で涙とともに受け止めて、

生きていくしかないんだよ。」


そう話してくれたあの日を、

涙を溜めながらも真っ直ぐな瞳で教えてくれた、私が世界一大好きで、尊敬してやまない祖母のように。


この想いとともに今年も迎えようと思います。



世界で一番大好きなばあちゃんへ


今年も無事帰ってきてね。


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