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ふたりが好き

『ねえ、カナ。ふたりの人を同時に好きになるって変だと思う?』

学校帰りにふたりで寄る、馴染みの喫茶店。
ミホはいつも、私にいろんな疑問を投げかけてくれる。

世界の不思議、映画や恋愛、そして心のこと。

『ふたりの人を同時に? 私は、変じゃないと思うけど・・・それって恋人として?』

私は、どうしてそんなこと聞くの?とはほとんど聞かない。だって、前置きなんていらないこの会話が大好きだから。わかっているから。

『うん。人を好きになるってことをずーと考えてたんだけどさ。なぜか恋愛だけはふたりの人を同時に好きになっちゃいけないんだよね。なんでかな?』

ミホは特に悩んでる風でもなく、優しい笑顔でそう言った。

『まあ。たしかにそうだよね。恋愛以外では誰を何人好きになってもいいけど、恋愛だけはなぜかひとりずつって決まってるよね』

『そうそう。不思議なのはひとりの人が終わって次の人を好きなるのはよくて、なぜか同時はダメなんだよね。交代ならOKで同時はNGってなんかちょっとおかしくない? なんで誰も疑問に思わないのかな?』

『ミホはおもしろいこと考えるよね。私は、特別気にしたことなかったけど、映画や音楽、いろんなものが恋愛はそういうものだって表現してるから、みんなそう思いこんじゃってるんじゃないかな』

『ああー。はやく愛の気持ちを自由に表現できる世界にならないかなー』

ミホはほんと嬉しそうな笑顔でそんなこと言うから、私まで嬉しくなって感じたこと、まんまこう言った。

『ミホがそう言うなら、なるよ、きっと』

『ありがとう。カナなら、そう言うと思ったんだ』

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