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何をするかではなく、どう在るか

『ねえ、カナ。在り方ってどういうことかわかる?』

『あり方? こないだ話してた、幸せになるのではなく幸せであるってこと?』

『そうそう、それもそうだけど、テスト前に話した答えの場所の話って覚えてる?』

学校帰りにふたりで寄る、馴染みの喫茶店。
ミホはいつも、私にいろんな発見を教えてくれるの。

世界の不思議、映画や恋愛、そして心のこと。

今日もちょっぴり難問みたい。けどそれが最高に嬉しい瞬間でもあるのよね。

『うん、もちろんよ。問題と同時に答えも発生してるっていう、あのヘンテコ理論でしょ?』

私は、なんでそんな話をするの?とは聞かない。だって、前置なんていらないこの会話が大好きだから。わかってるから。

『ははは。それそれ。でさー、答えが見つからないと感じたとき、在り方に目を向けるといいんだ』

『在り方が答えになるってこと?』

『うん。人はとてつもなく困難な状況に出会ったとき、ある意味あきらめてしまう事ってあると思うのよね。でも在り方はどんな問題にも関係なく使えるオールマイティなのよ』

『どういうこと?』

『例えばね、長い間解決できないような困難な問題が続いていたとしても、たまにはそんな世界を眺めて笑ってみるの、それが在り方であり問題の答えになりえるの』

『そっかー。心の受け止め方を変えるってことだよね。でもさ、それって結局は物事が解決するわけじゃないんでしょ?』

『状況は変わらない。でもその人にとって問題が問題じゃなくなるかもしれないんだ』

『えー?それは単にあきらめるってことじゃないの?』

『ちがうよ。それは決して物事を永遠に変えることができないというあきらめじゃなくて、困難を楽しみながら自分の世界を変えるってことなんだ。そして、それがまわりの世界を変える光になるの。例えばね、もし今日が人生最後の日だと思って穏やかな気持ちで物事に向き合えば、どんな問題も、問題ではなくなるかもしれないでしょ。それどころか、受け止め方を変えることでなぜか周りにも変化が生まれる、それが在り方の力なの』

『在り方は自分の世界だけじゃなく、まわりも変えてしまう力があるってこと?』

『うん。どうすれば解決するか、答えが見つかるのかってことばかりに目を向けるのではなく、まず私たちがどう在るかってことがとても大切なんだ』


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