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コント台本『このシュートが入ったら』

杉本(男)
18歳高校三年生。帰宅部。何かにつけて揚げ足をとってくる。地頭は悪いが勉強は出来るタイプ。

田宮(女)
18歳高校三年生。茶道部。中学の時は自分の机にポエムを書いていたタイプ。

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杉本「もうすぐ卒業だな~。」

田宮「そうね。」

杉本「この体育館とももう少しでお別れか。」

田宮「寂しくなるね。」

杉本「なぁ…、卒業する前にどうしてもお前に伝えたい事があるんだ…。」

田宮「伝えたい…事?」

杉本「うん。実は…俺、ずっと前からお前が好きだった!俺と付き合ってくれ!!」

田宮「え?私と…?…嬉しい。とっても嬉しい!…でもあんた、高校卒業したら東京の大学行っちゃうんでしょ?私もこっちの大学通うし離ればなれになっちゃうじゃん。付き合ってすぐ遠距離だなんて…。」

杉本「…分かった。じゃあ俺がここからあのリングにシュートを決めたら付き合って欲しい。」

田宮「ここからって、ここ3Pラインだよ?あんたバスケやってたっていったって…。」

杉本「そう、怪我でたった一年で辞めちまった。そんな俺がここからシュート決めるのなんて半分…いや、それ以下の確率かもな。でも想いの力で絶対に決めてみせる!だから!」

田宮、だまって頷く

杉本「(深呼吸してボールを見つめて構えた後、ドリブルしてレイアップを打とうとしながら)絶対に決めてみせる!」

田宮「(それを見てすかさず止めながら)いやいやいや、 え?」

杉本「え?」

田宮「え?え?レイアップ?(笑)」

杉本「(再びレイアップをしようとしながら)絶対に決めてみせる!」

田宮「ちょっと待ってちょっと待って。え?(後ろを指差しながら)あそこから打つんじゃないの?」

杉本「いやだからあそこからドリブルしてレイアップを…」

田宮「あぁそういう意味だったの!?(笑)いやいや、相場はあそこからこう(3Pシュートのフォームをしながら)よ?そんなの絶対入るじゃない。」

杉本「馬鹿野郎!この緊張感の中で打つレイアップのドキドキ感舐めんなよ!」

田宮「何に怒ってんのよ。」

杉本「この緊張感はもう3Pを越えるね。ここでレイアップ外してみ?死ぬほどダサいよ?」

田宮「あ、その自覚はあるのね。(笑)」

杉本「だから俺は…、(再びレイアップをしようとしながら)絶対に決めてみせる!」

田宮「ちょっと待ってって! いちいちフォームダサいな。そうじゃなくて、(3Pライン指差しながら)あそこから打ちなさいよ!」

杉本「え?やだけど。」

田宮「はぁ?」

杉本「だって絶対入んないもん。(笑)やだよぉ、一世一代の告白にそんな賭けに出るの。」

田宮「それを決めるから意味あるんでしょうよ!」

杉本「じゃあ聞くけど、お前絶対に当たりませんよ~って言われてる宝くじ買う?お前が言ってんのそういう事よ?」

田宮「あんた自分で言ってて恥ずかしくないの?」

杉本「だって無理なんだもん~。ねぇ、お願い!レイアップで勘弁して?レイアップもムズいよ?結構プロでも外したりするよぉ?(田宮に泣きつきながら)」

田宮「あんた自分が今から告白するって覚えてる?(笑)(呆れたように)…分かったわよ!レイアップで良いわよ!その代わり…絶対に決めてよね。」

杉本「あぁ、良いよ。(泣)」

田宮「良いよって何よ。(怒)」

杉本「よし、じゃあ気を取り直して…。このシュート決まったら俺と付き合ってくれ!(深呼吸して)絶対に決めてみせ…」

杉本、こけた瞬間暗転

おしまい。

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