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稽古場レポート(再開)3回目

こんにちは。Mr.daydreamerの上野です。

ロクコレの本番も近づいてきて、稽古の方も佳境に差し掛かっています。稽古も通し稽古を中心にして、本番に向けた修正を行うというフェーズに入っています。道具類も揃い、照明スタッフの方との打ち合わせも無事に済んでおります。

今回の稽古場レポートは、前回の告知通り小道具の使い方を書いていきます。

今回使用する小道具は、芝居の空気感を作ったり、脚本で出てくるモノを用意したのはもちろんですが、それ以上にラストの儚さと今後の彼女たちの運命を予感させるために活用するという目的があります。

以前のレポートで書いた通り、今回の創作にあたって、都市のミニチュアを作ってみるということを試しました。その結果として、都市のミニチュアは作らず、都市の中にいる人間にフォーカスした演出をすることにしました。

その上で、小道具の配置をアクティングの外に配置し、アクティングエリアを小道具で囲った形式で舞台を作っています。

使用する主な小道具をいくつか挙げると、カーペット(白)、机(白、正方形)、木箱(マスクケース)、食用植物、水瓶(ガラス)、小瓶(白、食糧入れ)、バッテリーケース(銀)、レインコート、ザル(銀)、ボウル(ガラス)、灰(ビーズを使用)、毛布、古本といった、多様な小道具を用意しています。余談ですが、私は上演時間25分の作品で、ここまでの小道具を用意したことは今までにありませんでした。

今回主なアクティングエリアを絨毯の上に限定しています。今回の舞台が約3間×3間(※1間=約180㎝)であるのに対して、絨毯が約1間×1間と限られた空間になります。その絨毯の周囲に机、レインコート、毛布、古本以外の小道具が配置されています。つまり、机以外の立体感のある小道具は、基本的にアクティングエリアの外にあるという状態になります。もっと簡単に言えば、アクティングエリアは小道具に囲まれた状態となるわけです。

この状況の中で、役者は過去の都市での身体を再現するシーンがあります。その状況においても、周りを小道具で囲まれているという状態になります。また、アクティングエリアの外に出るという演出を行うシーンでは、毛布を被っていたり、口元をマスクのように手で覆っていたりと、室内の状態とは異なる状態で出て行くようにしています。

これらの演出の意図としては、アクティングエリアの周囲を囲む小道具を都市に見立てたいという目的があります。また、都市に見立てた小道具の中で、役者は過去の都市に生きた人間を再現します。これによって、前回のレポートで述べた通り、都市の中の人間にフォーカスを当てた表現を行うということになります。

しかし、この演出意図はなかなか観客には伝わらないかと思います。しかし、こうした細かな演出意図が作品の空気感を作っていくものと私は考えています。むしろ、細部にこだわらなければ、作品のクオリティを担保できないとさえ考えています。よって、この演出意図で小道具の配置を行っています(小道具の配置位置や、アクティングエリアの設定も「なんとなく」で決めるべきではないと思います)。

このような演出意図から、アクティングエリアの周囲に小道具の配置をして中盤は進んでいくのですが、終盤でこの配置を変更します。

以前のnoteで脚本を読んでいただいた方は既にご存じかと思いますが、この作品のラストには救いはありません。登場人物の選択は「現状の問題の先延ばしに過ぎない」からです。登場人物の2人に課せられた問題は、一方を選択して一方を捨てなければ生命が脅かされるというものになります。しかし、登場人物はその選択を放棄するわけです。したがって、登場人物の2人は今までの生活(日常)を失うことを暗に選択したと言えます。よって、この作品のラストには喪失感を持たせたいと考えました。

では、それをどのように演出していくかという問題になりますが、私はアクティングエリアからほとんどの小道具を取り払うという選択をしました。

また、中盤までの流れで、小道具に「都市」という要素を持たせようと試みているわけですが、終盤でそれらを舞台後方に横並びで展示していきます。登場人物が過去の人々に思いを馳せるシーンがあるのですが、そのシーンの表現で、(役者の位置から見て)遠くに過去の都市(並べられた小道具)を見つめるという演技を挟むことによって、よりセリフの説得力を増させることができます。また、部屋にあったものが遠くにあり、それを見つめるという状態を作ることで、身近にあった登場人物たちのこれまでの生活(日常)が、もう戻ってこないという暗喩も込めています。つまり、小道具を都市のミニチュアとして捉えられなかったお客さんにとっても、喪失感を感じやすいようになります。

この2つの目的から、舞台終盤で小道具を舞台奥に配置するという演出を取り入れました。役者は、遠くに配置された小道具を眺めながら終盤を演じてもらいます。また今回のロクコレは、3方向を囲まれているという客席配置ですが、どの方向から見ても役者の正面は見えづらくなります。このように役者を配置することによって、お客さんに登場人物の心境を想像してもらいたいという思いがあります。

今回は、小道具と舞台配置に関する内容でした。本番前にもう1つnoteを書こうと思いますので、よろしくお願いします。

また、ロクコレ本番は今週24日、26~27日となっております。お席の方もまだ余裕がありそうなので、ご予約もお待ちしております。

※ご予約はこちらから↓↓
https://www.quartet-online.net/ticket/roku-colle?

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