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ブランド・リノベーション #3 なぜリノベーションが必要なのか?

ブランドも、ほっておくと劣化する

 「以前のように売上が伸びない」、「販促策の効果が表れない」など、
現状のマーケティング活動になんとなく行き詰まりを感じていませんか?  
 また「社内スタッフのベクトルがバラバラ」、「協力企業との意識統一が難しい」など、内部コミュニケーションに見えない壁があるように感じていませんか?
 それらの原因は、ブランドが劣化しているせいかもしれません。過去に築かれたブランドに頼ったまま、もしくはそれらを放置したままにしていると、企業や製品への求心力が失われていくだけでなく、営業活動などや様々な企業活動に悪影響を及ぼしかねません。
 もし、上記のような症状が認められる場合には、一度ブランドそのものを見直してみて、現状と将来に即したものになっているかどうか、検討されてみることをお勧めします。
 ブランドは生き物です。錆びついて機能しなくなる前に、早目の処置・療法が必要なのです。

ブランドが劣化する事例紹介

 では、ブランドの劣化とはどのようなものでしょうか? 最近の状況から起こりうるケースで見てみたいと思います。
 その洋菓子店はフィナンシェという焼き菓子に人気があり、近隣だけでなく少し遠くからもわざわざ買いに来る人が多くいるようなお店でした。ただ、昨今の物価高で、電気やガスなどの燃料費の高騰に加えて、卵やバター、小麦粉などの材料費も上がり、利益率が極端に低くなるという事態に陥ってしまいました。そこでオーナー店長は、やむなくサイズをひと回り小さくすることにし、価格はそのまま据え置きにする方向に舵を切りました。
 その後しばらくすると、フィナンシェを買いにくる客足があきらかに減って、フィナンシェ以外の商品を含めた店全体の売上が下がったのです。なじみのお客さんの顔を見ることもなくなり、サイズを小さくすることがそれほど響くものかということを知った店長でしたが、実は原因はそれだけではありません。ブランドの持つ信用力が失われてしまったことにあるのです。
 つまり、サイズを小さくする際に「原材料高騰などの事情により、しばらくサイズを小さくして販売します。但し、価格はそのまま据え置きにさせていただきますので、どうぞご理解ください」というひと言が貼り紙などで表示されていればよかったのですが、そういったアクション(お客様への説明)がないままサイズを小さくしてしまったため、客側に不信感が芽生えて、客離れが起きたのです。お客さんからすれば、「大事にしてきたのに裏切られた」という気持ちになって、そういったマイナス要素の口コミが広がったというわけです。
 いったんこうなった店が、ブランドを以前のような状態に回復するのは並大抵のことではありません。今回の話は少し極端な例ですが、このようにブランドはちょっとしたことで崩れ、劣化して、その後のビジネスに多大な影響を及ぼすものなのです。

ブランド・リノベーションとは?

 以前、ブランディングの目的は「消費者のブランドに対する忠誠心」を獲得することにあると書きましたが(ブランドリノベーション #2 ブランドとは[其の弐]参照)、ブランドの劣化は、その忠誠心を薄め、場合によっては失くしてしまうことを意味します。
 そうなる前に、ブランドを見直し、可能な範囲で手を加えていくことが、ブランド・リノベーションなのです。
 ブランド・リノベーションは、その言葉の通り、まったく新しいブランドを作り出すのではなく、過去から現在まで受け継がれてきたブランドを再検証し、将来に向けてふさわしいカタチになるように改革する、という考え方に基づいています。
 その方法については、次回以降の回で詳しく述べますが、もし現状のブランディングに少しでも疑問を感じている場合には、早めの手当てを考えた方が良いかもしれません。

 M.R.LABOでは、ブランド・リノベーションについて、様々なレベルでのサポートを行っています。自社ブランドとその周辺要素について、「少し心配」「何か手を打った方が良いかも」と思うことがありましたら、こちらまでメールでお気軽にお問い合わせください。

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