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M.R.LABO業務紹介:企業イメージ統一

自己満足に陥りがちな企業イメージの統一

 「企業イメージの統一って、何のこと?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、企業を取り巻く人々(ステークホルダー)に対するコミュニケーションツールにおいて、ビジュアルやメッセージなどの要素が一貫した考えやルールに従って表現されているかどうかということを指します。
 ごく最近のことですが、とあるクレジットカード会社がロゴ・マークを変更しました。それまではグラデーションのかかったブルーを背景に、シャープな白抜き文字が映えるロゴ・マークだったのですが、新しいものは黒1色地の端が頭文字分だけ白く欠けている(?)というもので、ロゴも黒く、どこにでもあるようなゴシック系の書体を使っています。
 どういったキッカケで変更したのかはわかりませんが、少し調べてみたところ、それなりの能書き(デザインコンセプトなど)も発表されていますので、おそらくはデザインのみでも相当のエネルギーを費やし、相当の金額をかけたのだと推察できます。
 これから、膨大な手間と時間をかけて色々なところで使われているロゴの変更を進めていくのでしょうが、こういったロゴ・マークなども、企業イメージの大切な要素のひとつになります。

変更する勇気と、それをやめる勇気

 昨年(2022年)の暮れのことです。ディスカウントストアのドン・キホーテが突然キャラクターを変更すると発表し、そのまま同日中に変更を撤回するという騒ぎがありました。
 本当に変更する気があったのか、単なる受け狙い(話題作り)だったのか、実のところはわかりませんが、変更予定のキャラクターを見た私の感想は「やらなくて良かったな」というものでした。
 ドン・ペンというペンギンのキャラクターは、完成度の高さは別としても、”親しみやすさ”があります。その親しみやすさが店のイメージに重なって、何かを買う目的がなくても「ちょっと寄ってみようかな」という気にさせてくれます。キャラクター変更を発表した直後から、子供たちやママさんたちから猛反発があったとのことですが、さもありなんという感じです。
 ロゴ・マークやキャラクターの変更は、それなりのリスクを覚悟する必要があります。なぜなら、企業イメージには長い年月をかけて培ってきたブランドがその背景にあるからです。(ここではブランドについて述べませんが、詳しく知りたい方は、こちらのnote記事をご参照ください)
 イメージ要素の変更は、それまで築いてきたブランドを一気に崩壊させるリスクも孕んでいるのです。

イメージ統一の事例~グループ会社統合

 私のクライアントで、3つのグループ会社をひとつに統合して再出発することになった企業がありました。たまたま、その新しい会社のVI(=ヴィジュアル・アイデンティティ)作りのお手伝いをさせていただくことになったのですが、通常のイメージ変更だけではない経験ができましたので、その紹介をします。
 まず、社名は親会社のものを受け継ぎながら、そこにコーポレーションを加えることで新しさを打ち出すものでした。それは当初から決まっていたのですが、各グループ会社の業務をそのまま事業部にして残したいという意向があったため、まず事業部のネーミング作りから始めました。それとともに、ロゴ・マークの開発をデザイナーとともに進めていきました。
 ここでポイントになったのは、3つの異なる業務分野を持つ企業であること「どうやって表現するか?」ということでしたが、その課題に対しては、業務分野(=事業部)ごとにキーカラーを設定し、それをVIシステムの中で展開していくことにしました。そして、会社そのもののロゴ・マークデザインには、その3色をあしらったものにしたのです。
 少しわかりづらいと思いますので、下に簡単な説明図を記しますが、企業全体としての統一性を保ちながら、各事業部の独自色を打ち出すことに成功したと思っています。

イメージ統一のプロセスを大事にする

 通常、(中小企業の場合は特に)上記のVIなどは経営陣を中心にして行われるケースが多いと思いますが、逆にこの機会を社員のエンゲージメントUPに生かすこともできます。よく「企業理念が社員に伝わっていない」とか「MVVを理解してもらえない」などという声を耳にしますが、こういった企業イメージをリニューアルする段階は、そういった課題を解決する最高のチャンスになると私は考えています。
 その方法は、社内の各部署から担当者を出してもらって結成する、プロジェクトチームを作ることから始まります。チームメンバーの役割は、もちろん新しいイメージ作りを進めることですが、そこでの状況を各自の部署に還元し、場合によっては部署からの意見をまとめるということもしてもらいます。ロゴ・マークやネーミングの最終案を、部署毎に投票して決めることができれば、一般社員にも「自分たちのことだ」という意識が生まれるはずです。しかも、普段はワンマンなTOPでも、充分に納得させることができるというわけです。
 ただ、このプロジェクトを社内メンバーだけで運営するのは、とても難しいと考えてください。ファシリテーション役やクリエイターなど、社外の専門家を巻き込んで、公平な視点とプロの技を使うことが成功するための秘訣となるからです。もちろん少しだけお金はかかりますが、かかわった全員が誇らしく思えるイメージ作りがきっとできるはずです。

 M.R.LABOでは、ヴィジュアル的なイメージ統一のほかに、ネーミングやメッセージフレーズ、コーポレートステートメントなどのプランニングも得意としています。もちろんプロセスコンサルティング(プロジェクトファシリテーション)も可能ですので、そういった必要性を感じている方は、こちらまで、メールでお気軽にお問い合わせください。
 

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