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ブランド・リノベーション #6 リノベーション方法-2:プロジェクト・チームを作る

慣習にとらわれないチーム作りを

 既存ブランドに何らかの手を加える場合、専門のブランド・マネジメント・チームがあればよいのですが、そういったチームがある企業はごく少数だと思いますので、おそらくどの企業でも、あらたにプロジェクト・チームを起ち上げることになると思います。
 そして通常、こういったチームは、社長もしくは担当役員が中心となって、経営企画室や広報などから選ばれた精鋭たちが”慣習的に”集められることになります。
 経営を左右する可能性もあるわけですから、そういったチームにしたくなるのはわからなくもないのですが、本気でブランドをリノベーションすると考えるならば、これまでとは違ったチーム作りに挑戦することをお勧めしたいと思うのです。

リノベーションの意味

 ここで突然ですが、私の提唱するブランド・リノベーションの言葉の意味についてご説明します。
 renovationとは、通常「修復」とか「刷新」といった意味がありますが、私の場合は[re+innovation]だと考えています。つまり、ブランドを「イノベーティブに見直す」ということです。イノベーションやイノベーティブという言葉は、皆さんご存じの通り「革新・革新的な」という意味があります。つまり、既存の視点にはない、まったく別の視点からブランドを見つめ直し、新しい価値を創造するということなのです。
 そのためには、これまでにはない新しい手法を採用しなければなりません。プロジェクト・チームの作り方も、革新的にする必要があるのです。

チームで取り組む

チーム作りのコツ▶その1:メンバーは全ての部署から集める

 革新的なプロジェクト・チームにする方法のひとつ目は、すべての部署からメンバーを出してもらうことです。拙稿の【#4 ブランドの役割】において、”インナーブランディング”の重要性を述べましたが、ブランド・リノベ―ションのプロセスにおいても、同じことです。
 企業内には様々な部門・部署がありますが、可能な限りすべてのセクションから人を出してもらい、その人はそのセクションの代表者というポジションを担ってもらいます。
 代表者は、プロジェクトで検討されている内容を各々の部署に持ち帰って報告するほか、部署内の意見を吸い上げてプロジェクトに持ち寄るという役割があります。
 「そんなことをしたら、メンバーの負担が重くなりすぎる!」というご意見もあると思いますが、負荷を減らす方法があります。それが次項の[外部スタッフを上手に使う]ことなのです。

チーム作りのコツ▶その2:外部スタッフを上手に使う

 ブランド・リニューアル・プロジェクトを、自社内のメンバーだけで遂行するためには、かなりのエネルギーが必要になります。専任の社内スタッフを置くことが出来ればよいのですが、ほとんどの企業には「そんな人的リソースの余裕はない」というのが実情だと思われます。
 そこで、外部の専門スタッフに依頼して、上手く活用するというのが現実的となります。プロジェクトの成功をバックアップするための外部スタッフには、大きく2種類に分けられます。
 ひとつは、プロジェクト・ファシリテーションを行うスタッフです。プロジェクトそのもののミッションを理解した上で、プロジェクトが円滑に進むようチームビルディングに取り組みながら、各種のサポートを行います。
 コンサルの先生は必要ありません。プロジェクト・ミーティングの進行を司るだけでなく、チームメンバーの負担軽減のために報告レポート作成やアンケートフォームの準備など、PMO的なタスクもこなせるようなスタッフを選んでください。
 もうひとつは、「ブランド要素」作りに関わるプロフェッショナルたちです。(ブランド要素に関しては拙稿【#2ブランドとは[其の弐]】参照)
 ロゴやシンボルマークなどを作成するデザイナーや、ネーミングやメッセージなどを考えるコピーライターなど、いわゆるクリエイターと呼ばれる人たちです。これらのスタッフは必要に応じて起用することになりますが、先にクリエイティブ作業をトータルにコントロールできるディレクターにまず参加してもらうと、その後の進行がスムーズになります。

チーム作りのコツ▶その3:双方向コミュニケーションの仕組み作り

 ブランド・リニューアルを完成形にさせるのは、全てのステークホルダーに浸透させることにあると以前述べましたが(拙稿【#4ブランドの役割】参照)、リニューアルの過程においても、それらを意識して可能な限りアプローチしていきたいものです。
 特に、コーポレート・ブランドなどに手を加える場合は、全社員を巻き込んで「自分たちのブランドだ」という意識を定着させることが理想的です。コツのひとつ目で述べた「すべての部署からメンバーを出してもらう」のはそのためですが、全社員とコミュニケートするにはそれなりの仕組み作りが必要です。
 例えば、新しいネーミングやロゴタイプの候補が出揃った段階で、社員に投票してもらうという方法もそのひとつです。ただこの時、単に候補案を並べて「どれがいい?」と選ばせるのではなく、候補案が作られた背景やコンセプトをキチンと説明し、それらを理解してもらった上で選んでもらうことが重要です。職場のセクション単位でミーティングを行い、その職場の”推し”を決めてもらうのも良いと思います。
 一方的に押しつけるのではなく、双方向コミュニケーションによって、皆んなが「参加している」という気持ちになれるプロジェクトにすることが、大切なのです。

 M.R.LABOでは、「どういったチームにするか?」といったチーム作りの最初期段階からのサポートが可能です。プロジェクト・ファシリテーションはもちろん、PMO的なお手伝いからクリエイティブ・スタッフの起用まで、幅広く対応いたします。
 お問い合わせは、こちらまでメールにてお気軽にご連絡ください。


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