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【150ccのプレス】第13節 ジェフ千葉戦【雑感】

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5連戦マジヤバい!過密日程マジパナい!今日も前置きは割愛!

今回も試合をじっくり観直す時間が取れなかったので、ざっと見た感じの雑感になりやす…

やっぱり山形は遠かったのか?

前回のレビューで山形は遠いという話をしたものの、個人的には「移動距離」はそこまで選手のコンディションに影響しないんじゃないかな?と思っていた。そうでないと琉球や札幌や長崎は地理的に不利というのが確定してしまうけど、札幌はJ2で優勝してJ1にもしっかり定着しているわけで。

だけど今節の長崎は山形戦とは動きが明らかに違った。マリオカートでいえば50ccと150ccくらいスピード感が違った(スーファミ世代)(ポケモンは初代緑)毎熊もインタビューで「アウェイはぶっちゃけしんどい」って語ってるくらいなので、移動距離は確実に選手の負担になってる。そういえば動きの悪かった徳島も地味に遠い。

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スタメン

①スタメン

長崎は前節から9人交代。玉田中心のいわゆる平日セット。DFラインには1ヶ月ぶりに角田隊長が復帰、待ってました。山形戦ではギアが上がらないまま完敗してしまったが、コンディション的にもメンタル的にも持ち直す必要がある試合となった。

対する千葉はフィールドプレーヤー10人全員をターンオーバー。この連戦では理想的な形ではあるけどやりすぎだろwと突っ込みたくなる。それでも積極的なターンオーバーで直近3連勝と結果を残しているあたり、さすが千葉の選手層(=資金力)というべきか、おそるべし尹晶煥と褒めるべきか。

前任のエスナイデル時代はハイライン・ハイプレスという言葉に代表されるようにアグレッシブな戦術を志向した千葉だが、尹晶煥監督に代わってからは基本に忠実でオーソドックスという印象になった。それでも豊富な資金力でJ2屈指のタレントを揃えてるから強い、的な感じである。このあたりは少し長崎に似通っている気がする。前節磐田戦ではボール支配率35%、被シュートは21本を記録したが1失点で耐え抜いて勝っており、粘り強い守備もできる。たぶんサボったら尹晶煥に怒られるんだろうな。

幅と深さを使った正しい攻撃

②ビルドアップ

例のごとくボール保持時は秋野が1列降りて3バック化する長崎。千葉2トップはプレスを頑張れるタイプではなく、かなり余裕を持ってビルドアップができた。山形戦ではどうにもプレースピードが上がらず山形のブロックを崩せなかったが、今節はその反省が活きた(というより良かった時に戻ったというべきか)

3バックから始まる攻撃には①秋野→加藤で中央に起点を作る②二見がドリブルで持ち出して左サイドで浮いている亀川に渡す③角田がワンステップキックで裏を狙うという3つの道ができた。とくに角田・二見が少しだけ前に運んで凸型ブロックの泣き所を突く動き、シンプルに裏を狙うボールというのは山形戦でほとんど見られない形だったが今節は無事に復活、この辺は選手に依存するということなのだろうか…

今節のボール保持のスムーズさは、簡単にいえば幅と深さを使えたと表現できる。幅と深さを使う、というのはかなり専門用語な気がするが、簡単に言えば「相手の凸型ブロックを広げて中の選手(主にインサイドハーフ)にプレーする空間と時間を与える」ということになる。字面では伝わりにくいので下の2図をご覧いただきたい。

④幅と深さを使えない場合

⑤幅と深さを使った場合

パススピードが上がり、サイドを変える大きなパスがつながり、ウィングバック(亀川・毎熊)がタッチライン際に立ち、角田が裏のスペースに蹴り込むことで千葉の凸型ブロックは横と縦に少しずつ広がった。結果的に千葉の守備者は選手間の距離が遠くなり大竹や吉岡、玉田がボールを受けてターンするorパスを繋ぐ(時間的・空間的)余裕ができたことで相手を押し込むことが出来た。

またフリーマン玉田が群馬戦に続いて積極的な姿勢を見せたのも千葉の脅威になった。玉田が1列降りる事で千葉のダブルボランチの立ち位置をズラせたことも攻撃を大いに助けたと思う(ちゃんと見てないので内容は割愛)

--得点の前、カットインからシュートまで持っていった。
前節、後ろからのビルドアップがあまりうまくいかなくて、今日は後ろからのビルドアップがうまくいって、間で受けることができて何度かチャンスシーンを作れていた。そこは良かったんじゃないかなと思います。
(大竹洋平)
前半に組織として揺さぶられた部分がこの結果につながったと思います。(中略)相手がボールをつなぎながらビルドアップをしているとき、われわれがスライドしながら横ズレをしなければいけないシーンで、そこがうまくいかなかったところ。また、ラインを上げたり、われわれが守備でやってきたことが前半は出なかったと思います。
(尹晶煥監督)

ながさき の プレス こうか は ばつぐん だ

サッカーは「攻撃」「攻撃→守備」「守備」「守備→攻撃」の4局面を連続的に繰り返す競技であり、特にこの4局面においてチームの特徴が表れる。この日の長崎が抜群に良かったのは「攻撃→守備」の局面(ネガティブトランジション)だった。攻撃が失敗に終わって相手にボールが渡った瞬間にチームの意図がありありと見えた。

前回の雑感でも書いたが手倉森監督の「点を取られないなら失点しない」という哲学が悪く作用したのが山形戦で、ボールを失ったら簡単に自陣に撤退してしまった。結果としてプレスが掛からず「ずっと山形のターン!」のような状態になり苦しい試合となってしまった。コンディションが悪いせいか、体力温存作戦だったのか分からないがボールを失った瞬間のファーストプレスも出足は遅かった。

③ネガティブトランジション

今節はボールを失った瞬間、一番近い選手がまずプレスを掛ける。パスを出されたら二度追いして、新たな選手もプレスに加わる。さらにパスを出されたらまた二度追いして、新たな選手がプレスに加わる…このファーストプレスの出足の早さと二度追いの強度が抜群に良かったのである。魚の追い込み漁のように千葉のボールをサイドに誘い込みサイドバックが刈り取るor千葉が耐えきれずクリアしたらプレスは成功、セカンドボールを回収して二次攻撃、三次攻撃に繋げる。ボール保持志向とネガティブトランジションは切っても切り離せない、チーズバーガー頼んだらポテトも頼むでしょ的な関係である。この2つが上手く噛みあったのが千葉戦の大きな勝因になった。

先制点となった場面は一見すれば高橋のパスミスだが、吉岡が追い、加藤が睨みを効かせたこと、なにより大竹が簡単に下がらずパスコースを切ったことでミスを誘発したとも捉えられる。山形戦の内容であれば大竹は簡単に帰陣して、あのスーパーゴールは生まれなかった可能性が高い。

この即時奪還プレスがこんなに効果覿面なら毎試合やってよ、と言いたいところだが実際は諸刃の剣である。プレスに行くタイミング、選手間の距離、わずかなサボりが致命傷になって簡単に剥がされてカウンター→失点というリスクを内包している。事実、後半75分に毎熊がGKまでプレスに行ったシーンではカウンターから決定機を作られた(大竹の立ち位置がまずかった)

平日セットは比較的守備を頑張れる選手が揃っており特に今節は畑、大竹、吉岡の守備貢献が大きかった。またアンカーの位置で加藤がバランスを取っているのも大きい。二度追いができないイバルボ、スペースを埋めるのが苦手なカイオがいるとなかなか前から追いかけるのが難しい(リスクが高い)という判断からリトリート志向になってる気がする。

千葉は4バックのチームにしては珍しくボランチを下げて3バック化ビルドアップをせず、長崎にとっては数的同数プレスを掛けやすいという事情もあったと思う。やっぱりプレスが効けば相手の攻撃力を半減できるわけで、この諸刃の剣をどう振るうのか、どうリスク管理して運用するかというのが今後の連戦でも鍵になりそうな予感である。

大竹のスーパーゴールから間髪入れずに畑が追加点を挙げて2点リードを確保。どうにもボールが繋がらない千葉は後半頭からクレーベを入れて前線にパワーを掛けるが状況は改善できない。交代カードも南米特盛セットを頼んだ長崎の方が効果的、カイオのぬるぬるドリブルやイバルボのパワー、ルアンのオーラで千葉を攻め倒した。3点目、4点目を取れる内容だったが千葉のGK新井が立ちふさがり2-0のままタイムアップ。山形戦の完敗を払しょくする内容となった。

おわりに

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5連戦の締めくくりはアウェイ水戸。いい加減蓄積疲労がやばそうだけど(特に秋野)なんとか踏ん張って、今節のアグレッシブさを継続してもらいたい。

今回の5連戦は約22人で乗り切った形になったが、今シーズンはこの連戦があと5回も続く。さすがに負担の重い左サイドバックやボランチが補強ポイントになりそうだが、長崎強化部は動くだろうか…

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