【迎えた大団円】第42節 ツエーゲン金沢戦【感想】

終わり良ければ全て良し、と言うにはあまりに大きなものを逃した今シーズン。しかし有終の美を飾って大団円を迎えることはできた。そんな試合だった。

①スタメン

金沢はどちらかと言うとボール非保持志向のチームで強力な2トップを軸にしたカウンターが特徴のチーム。シュート数はリーグ1位と精度の高い攻撃を持つが、失点数もそれなりに多く、派手な撃ち合いになる試合は少なくない。

②カイオ不在でも連動した攻撃

今シーズンは4バックで守る相手に強さを発揮した長崎、金沢にも再現性のある攻撃を展開していく。チームの心臓だったカイオがベンチ外となり磯村が先発起用されたことで中盤のタメは作りにくくなったものの、氣田・名倉・ルアンのうち1人がボランチの高さまで降りてくる3−2−4−1可変で前進を図った。左右の揺さぶり、サイド深くに侵入して3人で崩す、氣田のドリブルで切れ込む…ここまで積み上げてきた攻撃の形でシュート数を重ねていく。

先制点は富樫の粘りから金沢センターバックのミスを誘発、ボールを攫ったルアンが確実に流し込んだシュートから生まれた。前半はシュート数9対3、圧倒とまでは言えないが押し込むことに成功した。

後半の立ち上がりも悪くない入りをして、このまま押し切れるかと思いきや53分に大石が投入されてからは風向きが大きく変わる。小兵のドリブラーは右サイドを大いに活性化し、引っ張り出されたフレイレでは上手く対応できない。64分、大石のクロスを庄司がクリアし損ねてコーナーキックを与えた。

③いつもの失点、そして大団円

今シーズンの長崎には克服できなかった弱点があり、中でもセットプレーの守備は結局致命傷になってしまった。そしてこの試合でもまたコーナーキックの流れから失点してしまう。松本戦、甲府戦、そして金沢戦…ラスト7試合で喫した5失点のうち3つをセットプレーから失ったことになる。

何とも嫌な流れで失点し、このままシーズン終了かと思われた89分、試合途中から左サイドバックに回った磯村がほぼ独力でサイドを突破してクロスのこぼれ球を回収した所でPKを獲得。これを自ら決めて勝ち越しに成功した。磯村は在籍2年半で初ゴール、後のフラッシュインタビューでは退団を明言しており、長崎での最後の試合で決勝点を決めたことになる。

リードした状態で時計を進める長崎だったが、最終盤に今シーズン初出場となった新里のヒールパスから秋野がグラウンダーのパス、これを玉田が触れたのか触れなかったのか微妙なタッチで転がったボールがゴールに吸い込まれて3点目が入り、同時に試合終了のホイッスルが鳴らされた。京都戦や甲府戦ではあんなに遠かった1点がこんなに呆気なく入る、1年通して試合に絡めなかった新里が出場2分で得点に絡む…これがサッカーという競技の偶然性なのか、上手く言葉にできないけど様々な示唆に富んだ得点だったように感じた。

④おわりに

かくして長崎の航海は勝点80で終焉を迎えた。勝点を80に乗せても昇格できない事はある、コロナ禍でレギュレーションが変更されていなければ昇格プレーオフが開催されて勝ち上がれた可能性もあったが仕方がない。存分に贔屓目で見るが、今年の長崎は十分に昇格に値するチームだった。

だからこそこのチームをさらに補強してJ1で戦う姿を見れないのは残念すぎるが、来年また再チャレンジするしかない。そう思っていたので、翌日に手倉森監督解任の報を聞いたときには正直驚いたし意外だった。これだけの戦力を保有しながら2年連続で昇格に失敗し、長崎サポーターからも思ったより人気がなかっただけに、どちらかというと肯定派の方が多そうな雰囲気だ。吉田コーチが内部昇格して新監督に就くことが決まっている。

シーズンオフが本格化する前に手倉森長崎とは何だったのか、昇格失敗の要因から見える来季への修正点、監督解任へ至ったプロセス…書き残しておきたいことは色々ある。年末に向けて忙しくなる前に(主にゲーム)取り組みますので、もうしばらくお付き合いください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?