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ビジュアルブレストでイノベーションの種を見つける

※Medium再掲
先日とあるワークショップに参加した際に気づいたこと、思ったことを書き記します。

そのワークショップとは「Pinterestを使って、理想の〇〇をグループでブレストし、チームで出たアイディアを発表する」というものです。

Pinterestを知らない人向けに説明しておくと、様々なジャンルの自分の好きなイメージをボードと呼ばれるグループにピン止めをして、それをシェアできるサービスです。FacebookやInstagramが過去の出来事をアップロードして交流するもの、Twitterはリアルタイムの出来事をつぶやくことで交流するもの、それに対してPinterestは未来への行動のために利用されるものという解釈がなされているようです。Pinterestでは、イメージを発見→保存→行動をアシストするサービスだと自分たちのミッションを定義しているようです。

Pinterest is the world’s catalog of ideas. Our mission is to help people discover the things they love, and inspire them to go do those things in their daily lives.(about.pinterest.com)


さて、Pinterest自体の紹介はこの程度にして本題に入ります。

先に結論を言っておくと、以下の2点においてビジュアルイメージでアイディアを考えることは非常に有効だなと思いました。

ハイコンテクストな共有が可能になる
イノベーションの種を発見する手助けになる

1.ハイコンテクストな共有が可能になる

(Unsplash)
私たちは、普段の生活において言語を用いてコミュニーケションすることがほとんどかと思います。もちろん、最近ならLINEのスタンプやInstagramなどの画像中心のSNSがあるため、非言語的なものもありますが、それでもやはり我々のコミュニケーション手段の大部分を占めるのは言語です。

そのため良くも悪くも、コミュニケーションにおいて言語的な制約を受けることになります。特に自分のイメージを相手に、特に、初見の人に伝える場合には、よくミスコミュニケーションが発生します。

たとえば、初めていく美容室でなんとなくイメージを言語で伝えて、いざ切り始めると思っていたのと全然違った髪型になってしまう場合です。一度でもそういう経験がある人は、雑誌モデルの髪型を見せてイメージを伝達することでミスコミュニケーションを減らそうとしたはずです。

要は、イメージを通じてコミュニケーションをしたほうが他人とのアイディアの共有が容易になるということです。これは何も日常生活に限った話ではなく、仕事においても新しいアイディアをブレストしたり、共有したりする時にも有効なのではないでしょうか。逆にいうと、絵にできるくらい自分の考えていることが固まっていれば言語だけではなく、イメージを用いて相手に伝えることが重要だということです。

◇事例
以下は映画の役作りや世界観作りから、その共有において、Pinterestを活用したという事例を紹介したweb記事です。探せばまだまだ活用事例がありそうです。
http://kakeru.me/pinterest/rina-theintern-interview/https://blog.pinterest.com/jp/pinterest-x-映画「マイ・インターン」 特別試写会イベントを開催!

2.イノベーションの種を発見する手助けになる

Bhushan Sadani(Unsplash)
もう一つ、イメージ共有をしていて気づいたのが、「イノベーション」の種を見つける手助けになるということです。何だかイノベーションというと大げさですが、ここでは新しいアイディア、視点くらいに考えていただければと思います。

先に要点を述べておくと、新しい〇〇を考える時に、そのモノやコトを構成する要素を、様々な側面から分解して捉え、その要素から連想することが重要です。

実際のワークショップになぞらえて説明していきます。私のグループのテーマは『理想のトイレ』でした。Pinterestに各々が思い描く理想のトイレのイメージを探し、グループボードにPinをしていくというものです。

まずは自分が陥ってしまった典型的なバイアスを紹介します。それは”トイレ”というワードで検索してしまったことです。確かに”トイレ”と検索すれば、トイレと紐付いた画像がたくさん出てきます。しかし、考えてみると、それはあくまで私たちが一般的に思い描くトイレそのものの場合が極めて多く、そこに良い意味での逸脱があることは少ないはずです。

このように典型どストライクなイメージは前項で紹介したようなイメージの共有には最適なのですが、変わったものを創りたい、利用者をアッと驚かせたい、といった場合にはクリエイティビティに欠けるものがあるといえるでしょう。(トイレにクリエイティビティはいらない、機能が大事だというもっともな意見は置いといて。)

では、どうすれば発想を広げていくことができるのか。実際のワークショップでも発想を転換するきっかけになったのが、ある登壇者の方のアドバイスで、「理想の〇〇を探す時に、ネット(Pinterest)から答えを探そうとするのではなく、ヒントになるものを拾ってくる」という考えでした。典型的なイメージ群の中に一見全く関係なさそうなイメージが混じっているほうが発想のいい刺激になるという趣旨です。

私自身もこのアドバイスで少しハッとする部分があり、このようにテキストにまとめている次第です。ではもう少し具体的にみていきます。

トイレのケースに戻りますが、私たちが考える典型的なトイレというという以下のようなイメージではないでしょうか。これは実際にPinterestでトイレと検索した際に出てきたものです。十分におしゃれですし、こんなトイレがお家にあれば嬉しいですね。

さて、ここで重要なのが、トイレをトイレたらしめている要素を考えることです。たとえば、便器のもつ形質、トイレの目的、空間構成、私たちがトイレで為すこと(単に排泄するだけでなく)、私たちのトイレでの感情、全体の中の一部(建物全体におけるトイレという空間であったり、下水処理という大きな流れの中の一部分だったり。)といった感じでしょうか。そうすると、大きく「形質」と「意味(感情)」に分類することができるのではないでしょうか。

一つのモノゴトがもつ属性は、概して他のモノゴトの要素にもなっています。典型的なイメージそのものから探そうとすると、イメージを考える粒度が大きくなってしまいますがトイレを構成する小さい粒度の要素から出発して考えることで、アイディアのヒントが見つかりやすくなります。

トイレの例でいうと、便器という器に水が流れていく様から、「噴水」というキーワードヒントで考えてみるとか、トイレでは座るという行為をしているわけだから単純に「椅子」という切り口でヒントを探ってみるとか。また私たちはトイレでホッとひといきする憩いの場としても利用していることから、「安らぐ音楽」という視点で考えてみたり、小さな個室に入り込むのは、まさにモビルスーツのコックピットに乗り込むような感じだから、入り口からガンダムのコックピットのようなデザインにしてしまうとか。

アイディアを考えるという行為を、ゼロから何か考えないといけないと思うと詰まってしまうが、ビジュアル起点で考えてみると連想ゲームのように次々と広がっていくはずです。。

一見関係ない二つ以上の物事に相関を見出したり、結合させたり、今あるモノゴトに新しい解釈や意味を付与することは、「イノベーション」にもつながるはずです。。ちょうど、イノベーション研究の先駆者であるシュンペーターがイノベーションとは、新結合(ニューコンビネーション)によってもたらされると主張していたり、マルセル・デュシャンが便器を『泉』という作品として発表し、新しい視点で世界を見る契機を与えたりしたように。。。

まとめ

イメージと言語を往復し抽象化することは、新しいアイディアを発想する一つの手段として有効かと思います。また発見があれば追記していきます。

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