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ワーホリ中、他人のおばあちゃんからの電話で泣いた話

「おばあちゃんな、元気になって退院したよ。」

恋人の電話から漏れる声。彼の祖母からの電話だった。

声を聞いて、自分の中に何か衝撃のような、強い感情が生まれていることに気づいた。


もう何年も聞いていない、田舎特有の訛りがあるおばあちゃんの話し方。数年前に亡くなった自分の祖母を思い出した。

母方の祖母はまだ元気にしている。もちろん大好きだ。でもそっちのおばあちゃんは、都会育ちなので訛りがほとんどない。

だから田舎のおばあちゃんの話し方は、数年前に亡くなった祖母と重なり、わたしの涙腺を狂わせた。

「そっちはどうや?」

「そろそろ地元が恋しいよ。おばあちゃんは体調大丈夫?」

「元気になったけどな、歳やからあっちが悪なったりこっちが悪なったりよ。この前来てくれたとき二人に会いたかったんやけどな。また二人で顔見せてな。彼女にもよろしくゆうといて。体にきぃつけてな、楽しんでな~。」


田舎のばぁちゃんに会いたい。あ、でもわたしのばぁちゃんもういないんだった。

おばあちゃんに会おうと思えば会えるのに、日本に帰る気はしばらくないと言っていた彼を思い出して少し恨む。

これがわたしのばぁちゃんからの電話やったらよかったな、謝りたいこといっぱいあったのに、と思って一人で泣いた。


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